植草杏は12歳の冬、両親の離婚を機に母 美和子の実家の島根に越してきた。田舎独特の雰囲気にとまどう杏だったが大悟や藤、椎香という友人もでき馴染んできた頃、母が自殺する。母の死に傷ついた杏を受け止めた大悟、2人は強く惹き合うようになる。その後杏は父に引き取られ東京で高校時代を暮らすことになり、2人の遠距離恋愛が始まった。東京と島根という遠距離、同じ東京で暮らす藤の杏への想い、同じ島根で暮らす椎香の大悟への想。2人を取り巻く環境は、常に杏の心の奥底にある母親への断ち切れない想いへと終結されて行く。徐々に引き裂かれていく2人、別れを選んだ2人の未来はどうなるのか。
(芦原妃名子)あしはらひなこ。1994年 『その話おことわりします』 でデビュー。2005年 『砂時計』 で小学館漫画賞少女向け部門を受賞。2007年同作品がTBS系 『愛の劇場』 枠でドラマ化。
『久々にハマった!』 という友人から貸してもらいました。正統派少女マンガは久しぶり、しかしまだまだイケル!と思っている30代女子(!?)でございます。
TBS系 『愛の劇場』 というのはお昼1:00~放映されている奥様向け毎日続きが見られるドラマ枠、のことです。毎日見られるのは嬉しいのですが見逃すと大変、という枠で、ここにハマっちゃうと毎日ビデオセットをしなくてはおちおちお出かけもできません(笑)。しかしこうしてたまに骨太ドラマをやっていたりするので見逃せない枠だったりします。私は今回ドラマは全く見られなかったのですが、チャンスがあったら見てみたいなぁ。
内容はあらすじ通り、12歳で母を自殺という形で亡くした杏は、最も近い位置にいた自分を常に責めながらいき続けています。それを支えたいとずっとそばにいた大悟も、杏の心の奥底にいる母の影に悩まされ、2人はくっついたり離れたりを繰り返し、20歳の時に一度完全に別れるのです。大人向けの小説ならここで終わりだな…と思いきやそこは正統派少女マンガ、物語は26歳の主人公達でクライマックスを迎え、大団円!更に番外編では2人は30歳という…コマ脇の作者の独り言コーナーにも 『主人公が30歳で読者付いて来られるだろうか…』 とあり確かに、と思ってしまいました。でも30代読者はバッチリよ♪
評価:(5つ満点)
新年明けましておめでとうございます
皆様、昨年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。本ブログもご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
年末は何が忙しいのか、ブログ記事の日付がカレンダーに全く追いつかず、いつもご覧いただく皆様には大変ご迷惑をおかけいたしておりました…。思い切って追いつかない記事は切り捨てる!という案もあったのですが、もしやブログのために本を読んでいるのか?という部分もあり、本末転倒ながらも絶対に読んだ記事はUPする!という執念が打ち勝ち今日に至っております。
子ども達も無事に元気に育っております。
第1王子はいよいよ小学校卒業の年を迎え春からは中学生!背丈は相変わらず私よりもチビですが足のサイズが24.5センチと私を超えました、ヤラレタ!足が大きくなれば背が大きくなる、というセオリーを信じ、あとわずかでも背丈が伸びてから、と学生服の注文はギリギリにする予定です。
第2王子は長かった保育園生活も6年目、年長組です。来年は小学校、心配していたスイミングやピアノもとりあえずは順調に行っています。最近の子どもの運動能力が下がっている、というニュースを見るにつけ体操教室へ通わせるか?などと考えますが、親がもっと外遊びをしてやるのが先決だな。と反省しきりです。
私は…。
3月で修了予定だった通信大学での図書館司書資格修得が、なんと!
と去年の元旦にも書いております…。大学仲間にも職場同僚にも 『終わった?えっまだ…?』 と聞かれ、段々と返事をするのが苦しくなる始末。スクーリングを思い出せ!と自分を叱咤激励しつつ、今年こそ終えたいと思います。
昨年入会したストーリーテリングサークルも順調で、まだまだではありますが少しずつ自分の成長が感じられてきて嬉しいです。仲間と一緒に学び自分自身も成長していける。これこそサークルではないか!と改めてサークルと仲間との出会いに感謝です。今年もサークルでのイベント盛りだくさん、しっかり勉強して成長して行きたいと思っています。
ちくま文庫版 『見晴らしガ丘にて』 及びカワデパーソナルコミック 『悲しき街角』に分散されて収録されていた当シリーズ。今もなお傑作との聞こえが高い作品が完全版となって蘇る。郊外の街 見晴らしガ丘に住む人々の生活の中に潜む悲しみと幸福を捉えた作品。
(近藤ようこ)1957年新潟県生まれ。国学院大学卒業。漫画家。新潟中央高校在学中に同じく同校在学中であった高橋留美子らと共に漫画研究会を設立した。 『見晴らしガ丘にて』 で漫画家協会賞優秀賞受賞。主な著書に 『ルームメイツ』 『アカシアの道』『うきうきお出かけ着物術』 など。
(収録作品)初恋/GALS LIFE/ママ…DORAEMON/かわいいひと/HAPPY BIRTHDAY/となりの芝生/プレゼント/なつめ屋主人/ご相談/ロマンス/野守は見ずや/改心/宇宙爺/誠実
私は近藤ようこ氏の漫画が好きです。他と比べて地味に見える絵ですが内容は間違いなくヒューマンドラマ。二度三度と読み返してますますしみじみ来てしまう。本作も 『傑作と名高いシリーズ、待望の単行本化!』 の宣伝文句に思わず購入してしまいました。
ただ時代が80年代と結構古いので現代の感覚とややそぐわない部分もあり評価はイマイチです。逆に80年代ってこうだったかも、という視点で見ると面白いかもしれません。私の一番のお気に入りは 『なつめ屋主人』 かな。夫婦のすれ違いを描いたものが多く、身につまされます(苦笑)。
やっぱり近藤ようこは 『ルームメイツ』 が最高傑作ですね。何度読み返しても不思議と飽きないのです。
2007最後の読書となりました。
評価:(5つ満点)
北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠。その2時間後、複葉輸送機で500人の特殊部隊が来襲、市中心部を武力制圧した。彼らは 『北朝鮮反乱軍』 を名乗り福岡に新しい国家を建設すると言う。テロを恐れ福岡市を封鎖した日本政府の対応、福岡市民に募る政府への不信感。反乱軍後続部隊12万人が博多港に接近する。恐ろしいまでに冷徹非情で組織化されている北朝鮮反乱軍に対し、立ち上がったのは社会から爪弾きにされていたホームレスの少年達だった。毎日出版文化賞、野間文芸賞受賞。
(村上龍)1952年長崎県生まれ。武蔵野美術大学中退。 『限りなく透明に近いブルー』 で群像新人賞、芥川賞、『コインロッカー・ベイビーズ』 で野間文芸新人賞、 『村上龍映画小説集』 で平林たい子文学賞、『インザ・ミソスープ』 で読売文学賞小説賞、『共生虫』 で谷崎潤一郎賞受賞。主な著書に 『69 sixty nine』 『ラッフルズホテル』 『トパーズ』 『5分後の世界』 『13歳のハローワーク』 など。
久しぶりに読了まで2週間以上かかった本です。それだけすごい量と内容でした。読了後もしばらくサトウの指に書かれていた 『コリョ』 の文字が頭から消えず、頭の中で 『コリョコリョコリョ…』 とリフレイン(笑)。恐るべし、コリョ。
人は集団に属さなければ生きていけないものなのか、集団とは何か?を問う作品ではないでしょうか。仲間、友人、そして国家。全て普段は意識していない集団と、全ての人はつながっており、そこから逃れる術はないという事実。
物語は目まぐるしく多くの登場人物の視点で展開します、一人称が次々と変わる小説の中には視点が捉えきれず煩雑な印象だけを残すものが多い中、本作はさすが村上龍と感じさせる作品でした。それぞれの立場の人物の視点にブレがない、だからこそ他人から見れば 『狂気』 に見えるその人物の意志が直に響いてくる感覚。登場人物の誰にも共感はできないけれども誰に対してもおまえの考えは間違っているとは言い切れない。人の信条、生きるための理念というものは他人が変えることはできないということだろうか。
コリョの兵士達の視点が多く、殺人兵器として育成された彼らもまた、平和な日本に暮らす私達と同じヒトなのだと、そう描いた村上氏。日本と北朝鮮、退廃した資本主義と退廃した共産主義、行き着くところは同じなのか、異なるのか。
この小説の本当に恐ろしいところは、今すぐにも現実として目の前に迫っているということだろう。
年末にすごい本読んじゃったな。
評価:(5つ満点)