宝くじでコンサート
宝くじ主催の都交響楽団コンサートがH市にやってきました。オーケストラなんて何年振りだろう…音楽を聴きたいと常々思っていましたが、なかなかH市ではコンサート開催がないのです。そこに宝くじコンサートの広告を発見、喜び勇んでチケット発売初日に買いに行きました。
何といってもすごいのはその価格、 大人3000円、子ども1500円 超~破格!というのもチケット代の半分は宝くじが負担してくれるそうなんです。宝くじは200円のスクラッチしか買ったことがないくせに、ありがたくその恩恵にあずかってきました。
この頃何に誘っても 『やだ。めんどくさい。』 という第1王子にも、大好きなドラクエ交響楽(だ、そうです)とはオーケストラデビュー(※聴く側)としては、ピッタリの曲目です。
東京都交響楽団による演奏で、指揮とトークはすぎやまこういち氏。言わずとしれた作曲家でゲームシリーズ ドラゴンクエスト の音楽も担当しています。驚いたのはトークの中ですぎやま氏自身もゲーマーだとカミングアウト(?)されたこと!幼少のみぎりは花札に始まり、トランプにルーレットに、ゲームなら何でもこなされたそうで…もちろんドラクエもプレイなさっているとか!これにはビックリ、じいちゃんゲーマーだったとは。
評価:(また聴きたいなぁ)
春一(はるいち)は昔飛び出した故郷に帰ってきた。父が亡くなったのだ。様々なしがらみから逃れるために飛び出したはずなのに、今生きている場所でもしがらみから逃れられない春一。自分の居場所はどこにあるのか。再会したかつての恋人とその娘 一花(いっか)との交流を通じ、春一は自分自身と居場所を探っていく。yomyom4号掲載。
(山本文緒)1962年横浜市生まれ。神奈川大学卒業。OL生活を経て 『プレミアム・プールの日々』でコバルト・ノベル大賞の佳作を受賞し少女小説家としてデビュー。『恋愛中毒』 で吉川英治文学新人賞、『プラナリア』で直木賞を受賞。主な著書に 『ブルーもしくはブルー』 『ファースト・プライオリティ』 『パイナップルの彼方』 など。
人物設定がいいですね。ソリチュード:孤独。孤独を抱えながら生きている主人公、春一の置かれている立場と心情が説明がましくなくストーリーの流れに沿ってだんだんと読者に伝わってくる、展開が見事です。
まあー春一は万事いい加減な男で、それがいけないことは自分でも自覚しているのですが、故郷に戻り久しぶりに会った友人の武藤に
『オマエは優柔不断じゃなくて融通が利かなすぎる。義理堅いのではなく傲慢なんだ』
と言われた時の春一の狼狽ぶりがまたいいですね。あまりにもそれが的を得た発言なものだから。
周囲の女達の要望に全て応えようとするのは単にオマエの傲慢だ、と言い切られ、春一は自分の生き方そのものを否定された気持ちになります。そしてそこから、その気持ちから這い出すにはどうしたらいいか、をようやく自問自答し始める。
やはり読者であるこちら側に 『再婚生活』 後の復帰第一弾、という見方が強く出てしまっているのは否めません。でも男性が主人公という点でもちょっと新境地かなと感じました。ソリチュード、孤独を抱えているのは自分だけではなく誰もがそうだということ。それはまだ小学生である一花も同じだと、春一も読者も気付く。というラストはいいですね。
評価:(5つ満点)