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読書と映画と観劇と

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トロン:レガシー

toron_legacy.jpgデジタル業界のカリスマ、フリンが謎の失踪を遂げてから20年、27歳に成長した息子サムに父からのメッセージが届く。サムは父の消息を追ってかつてのゲームセンターの地下にある父のオフィスに足を踏み入れる。父の遺したデジタル世界への入り口がそこに待っていた。 『トロン』 (1982年)の28年ぶりの続編。

冬休みだしどうするかな~とテレビを見ていたら本作の宣伝。宣伝って本当に上手にできていて、こりゃあ今すぐ劇場へ!という気分にさせてくれますよね(笑)。ということで冬期講習で忙しい第1王子はさておき、第2王子と行ってきました。

ディズニー映画だそうですが前作は82年といったらかなり昔で私は全然知りませんでした。前作を見ていなくても楽しめますが、デジタルワールドの成り立ちについてもう少し詳しく知っていた方が楽しめたかも?ちょっとストーリー展開に付いてゆけず、第2王子分かっているのか…と横目で見てみたら3Dメガネをしっかりかけながら熱心に画面を見つめておりました。

3D、昨年度から始まりましたがその技術は日々上がっているようで美しい映像でした。でも画面の暗さだけはどうにもならないみたいですね、メガネそのもののレンズが暗いのでどうしても画面が暗くて見にくいのです。私は何度もかけたり外したり、第2王子の目が悪くなりはしないかなどと思いましたが、第2王子は初めての3D映画に夢中のようでした。行く前も 『3Dなのっじゃあ混んでるかもしれないから急いで行かないと!』 って大丈夫、席ガラガラでしょ…。

バイクレースや戦闘のシーンの3D映像の美しさが魅力で、ストーリーは伏線があったにも関わらず私は気付かなかったのか、と友人に聞いてみたのですが特にないそうです。

評価:(5つ満点)
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往復書簡*湊かなえ

oufuku.jpg手紙だからつける噓。手紙だから許せる罪。手紙だからできる告白。あのこと、の真相が封筒からこぼれ出す。行き来する書簡のみで綴った連作ミステリー。パピルス連載に書き下ろしを加えて単行本化。
(湊かなえ)1973年広島県生まれ。武庫川女子大学卒業。『聖職者』 で小説推理新人賞、『告白』 で本屋大賞を受賞。主な著書に 『少女』 『贖罪』  『Nのために』 。
(収録作品)十年後の卒業文集/二十年後の宿題/十五年後の補習

湊かなえお得意の、後味の悪さを期待しつつ警戒しつつびくびくしながら読んだので、読み終わって3章とも 『いい人』 の話だったことに気付いて、ちょっと愕然としました。そのくらい、湊かなえと言えば悪い人ばかり出てくる本を書いている、という期待が大きすぎたらしいです。

仕掛けは今回もとても上手なのですが、上手なだけではなかなか読者の琴線には響かないのであります。などと偉そうに書いてみました。

ダ・ヴィンチ2011年2月号に特別書き下ろし 『一年後の連絡網』 往復書簡番外編 もありマス。

評価:(5つ満点)

武士の家計簿

bushikake.jpg会計処理の専門家、御算用者として代々加賀藩の財政に携わってきた猪山家八代目の直之。江戸時代後期、加賀百万石とうたわれた藩も財政状況は厳しく、加えて武家社会には身分が高くなるにつれ出費も増えるという構造的な問題があった。一家の財政が破綻状態であることに気付いた直之は家財道具を処分し借金の返済にあてることを決断する。猪山家の人々の倹約生活が始まった。森田芳光監督作品。

ファンの方々には本当に申し訳ないのですが、私は堺雅人がちょっと苦手です。にも関わらず彼が主演の映画を結構観ています…ホントは好きなのか。なぜ苦手かって、演技がいつも過剰な気がするのです。そして今回の相手役は仲間由紀恵!ダブル演技過剰でどうなる、この映画!でしたがコメディタッチな作りなので楽しめました。そして森田監督ということも大きいですね、森田監督作品はやはり観ておかないとなりません。

家財道具を売り払い、の後弁当箱も売り払ってしまい、毎日のお弁当は笹でくるんだおにぎりとタクアンだけ、というシーンとても笑えました。見かねた同僚が 『うちに弁当箱が余っているから』 と言うも父上はきっぱりと遠慮する。何事も信念を通すという武士の生き様、よろしいですね。

武家社会の色々汚い面も描きながら敢えてそこに焦点を置かず、誰もが楽しめるエンタメとして作り上げてしまったのがいいですね。同じテーマを現代でやってもこれほど面白くならないでしょう。映像も美しいです。

評価:(ちょっとオマケ)

ピスタチオ*梨木香歩

pisutatio.jpg緑溢れる武蔵野に老いた犬と住むライターの棚。アフリカ取材の話が来た頃から不思議な符合が起こりはじめる。彼女が訪れた先のアフリカで見つけたものとは。物語が人を生かす物語。ちくま連載を単行本化。 
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な著書に『からくりからくさ』 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 、絵本に 『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。


舞台はアフリカ、ナイロビというはるかな地であるのに、少しも遠さを感じないのはなぜでしょうか。主人公 棚の気持ちがそのまま日本につながっているからでしょうか。正直もっとアフリカらしさ、異郷らしさを期待して読み始めたのですが、案外本当にアフリカの地を訪れても同じ地球上、大した違いはないのかもしれませんね。

内戦やゲリラ、呪術医などが出てきて異郷であるにも関わらず、そこで棚が出会う人の縁、について棚本人はいたっ非常に変冷静なのです。それは 『からくりからくさ』 はじめ梨木氏の描く小説の主人公はみんなそうであるので、それはそれで梨木カラーということでいいのかな、とも思うのですが、棚の冷静ぶりには本当に驚きます。それがやはり受容、ということでしょうか。

テーマは 『死者には物語がある』 だと感じました。梨木文学はこのところ特に 『物語があること』 を意識しているように感じます。不思議な感覚のする小説です。

評価:(5つ満点)

パンドラム

pandorum.jpg西暦2174年地球は滅亡を迎えようとしていた。ある惑星へ移住するため6万人の人類が宇宙船エリジウムで出発。やがて2人の飛行士が冷凍睡眠から目覚めるが2人は記憶を失ってしまっていた。船内にいるはずの乗組員らが見当たらず、代わりに恐ろしい何かが存在することに気付く。

毎回言っておりますがB級映画の中にもかなりB級でないレベルのものは多く、そういう映画を観るとすごくお得な気分になって嬉しいもので、本作も観てきました。これは…内容もB級でしたねすみません。それなりに面白かったですが、ちょっと 『恐ろしい何か』 が物語の早いうちから分かってしまうのでつまらないかな。

設定はすごく面白いのに…乗組員交代のため冷凍睡眠から冷めると、当番だったはずのクルーが消えていた。そして誰もいなくなっている。なんてもうワクワクしてくるんですが、誰もいなくなっているんじゃなくてみんないるじゃん(笑)。だし。6万人も乗る宇宙船ってすごいねー一つの街が引越しするようなものですね。

パンドラムというのは宇宙病のことだそうです。

評価:(5つ満点)

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

saibancho.jpg美人プロデューサーから依頼された愛と感動の裁判映画の脚本を書くため、三流ライターのタモツは生まれて初めて裁判所に足を踏みいれる。トンデモ事件の傍聴を繰り返すうちに傍聴マニアらと親しくなり、マニアのアイドル美人検事マリリンともお近づきになるチャンスが。マリリンに人の裁判をおもしろがっているだけだとなじられたタモツは傍聴マニアらと共にある冤罪事件を支援することとなるが。原作 北尾トロ。主題歌 バービーボーイズ  『ごめんなさい』 。

トロさんのファンである私は行きましたよ。バナナマンの活躍する映画です(笑)。バービーボーイズの歌も懐かしく、嬉しいです。正直映画というよりTVの2時間ドラマみたいな感じなのですが、それはそれでいいと思います。トロさんが傍聴をする理由として挙げているのは

傍聴により裁判が密室で行われないよう、監視する。裁判に関わる検察、弁護人、そして裁判官が裁判に対して手ヌキしないよう、抑制力となる。

なのだそうです。そのテーマがしっかり盛り込まれた作品に仕上がっています。もちろんそれだけではなく、途中からタモツが巻き込まれる冤罪事件の支援、このラストの展開がまたいいですね!最後に爆笑してしまう映画に仕上がってます。

裁判に興味のある方はもちろん、裁判なんて縁がないと思っているとある日突然裁判所に呼び出されないとも限らない今のこの時代、ぜひ一度見てくださいね。

評価:(5つ満点)

歌うクジラ*村上龍

utaukujira.jpg2011年のクリスマスイブにハワイの海底でグレゴリオ聖歌を正確に繰り返し歌うザトウクジラが発見された。そして1000年後の日本では階級化格差が完全に進み人々は違う格差同士の交流は全くない社会で暮らしている。極端に合理化が進み敬語を使う人間がいなくなる中、最下層に属しながらも正しい敬語を操る 『敬語使い』 である少年は、不老不死の遺伝子を巡り階層を奪取する旅を始める。毎日芸術賞受賞。群像連載を単行本化。
(村上龍)1952年長崎県生まれ。武蔵野美術大学中退。 『限りなく透明に近いブルー』 で群像新人賞、芥川賞、『コインロッカー・ベイビーズ』 で野間文芸新人賞、 『村上龍映画小説集』 で平林たい子文学賞、『インザ・ミソスープ』 で読売文学賞小説賞、『共生虫』 で谷崎潤一郎賞受賞。主な著書に 『69 sixty nine』 『ラッフルズホテル』  『トパーズ』 『5分後の世界』 『半島を出よ』 など。

半島を出よ、から早数年。待ちに待った(ということでもないが)村上龍氏の新作は、またしても問題作です(笑)。

見事に未来の格差社会を描き切った村上氏の潔さに、まず拍手です。格差の行き着くところはこういう社会か…とぞっとしてきます。最初は 『敬語使い』 がキーワードなのかと思いきや、途中から展開がドンドン裏切られていくので読了直後は何なんだよーと思ったのですが、後から考えてみると段々と納得してきました。何よりも 『歌うクジラ』 そのものの存在の裏切り方が、もう巧いです。

未来社会は実に複雑に5層位の生活層にカッチリ分かれています。隔離されGPSを体内に搭載された性犯罪者の暮らす最下層『風呂』 が唯一の娯楽だという下層 、ひたすら機械のように交代勤務を繰り返し経済食である 『棒食』 (イメージとしてうまい棒?)を食べ続ける中間層、政治・経済一切の世界の管理を行う上層、そしてひたすらに娯楽だけを追求し  『死なない(死ねない)生命維持システム』 によって生かされ続ける最上層。この各層を主人公の少年と共に縦断する旅は、幻滅もし、さもありなんと納得もしつつ、それぞれの世界を観終わった後ははーっとため息をつくほどでした。

途中あちこち 『こんなに社会を揶揄しちゃって村上さんだいじょうぶう…』 と心配になるほど、過激なところも多々あって誠に刺激的です。そしてラスト、人類の行きつく果ては 『歌うクジラ遺伝子』 なのか、本当に?

希望の感じられるラストでようやくちょっと救われた気持ちになりました、大人の方はぜひご一読を。

評価:(5つ満点)

魚神*千早茜

iogami.jpg生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて政府によって造られた一大遊廓があった。廓に売られた白亜と薬売りのスケキヨ。美貌の姉弟の魂は惹きあい、反発し合う。小説すばる新人賞、泉鏡花文学賞受賞。
(千早茜)1979年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。小学生時代の大半をザンビアで過ごす。本作で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。同作で泉鏡花文学賞受賞。 

ちょっと宮木あや子風でなかなかに私好みの小説でした。千早茜も今後要チェックです。

あまりに幻想的すぎる世界観で、ラストはまさかの夢オチじゃなかろうな、とまで思ってしまいましたがそうではなくて安心しました。途中いろいろと、あれはこういうことの隠喩では…と考え出すとすごくややこしくなりそうなので、あえてサラッと読んで終わりにしてしまいました。

愛は、実に難解であります。

評価:(5つ満点)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
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