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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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百万円と苦虫女

nigamusionna.jpg生きる単位は百万円
深い。ひょんなことで人は社会の見えない落とし穴に落ちてしまう。姉 鈴子と弟 拓也の2人の兄弟愛、互いを思いあう気持ちが素晴らしい。同じ家に暮らしていた頃は姉をののしってばかりいた弟が本当は自分に甘えたいことを知っている姉、姉が家を出てから2人が交わす手紙、そのやりとりは鈴子の放浪と共に続いていく。

『ややこしい人間関係から逃げるため』 百万円貯まるたびに住処を変える鈴子。3つめの逗留先である地方都市で、最もややこしい人間関係の一つと言える【恋愛】を見つけてしまいそれにハマりこむ鈴子。幸せな日々が続くがやがて鈴子は恋人の裏切りを知る。その地を去る日、裏切ったはずの恋人が実は…というラストも素晴らしい。

この地方都市、大宮っぽいなーと思っていたらエンドロールでやはり大宮だった。こうして見るといいところだなぁ。映画の設定ではもう少し東京から離れた地方都市、ということになってます。

2つめの逗留先の山村も良かった。村の人々の、排他的で責任を他所に押し付けようとする激しい悪意。素朴を装いながら村の外に対して激しいまでの怒りをぶつける村人の描き方にリアリティを感じましたね。

全編を通じ蒼井優の演技力、表現力が素晴らしい。細い身体ながら骨太な存在感。ピエール瀧、森山未来も必見。またこういう映画観たい。

評価:(大満足。)
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夢をかなえるゾウ*水野敬也

yumezou.jpg変わりたいけど変われない。いろんな自己啓発の本を読んだり意を決してインド旅行にも行ったけど、結局自分は変われないんだ。諦めかけていたある日、突然枕元に関西弁を話す謎の生物ガネーシャが現れる。自らをインドの神様と名乗るガネーシャ、その破天荒な行動に振り回されながらも 『成功する』 という夢を叶えるために、ガネーシャの出す課題に日々取り組むことになった。奇想天外な神様ガネーシャを案内人に、ドラマ形式で進む自己啓発のための小さな行動提案。
(水野敬也)1976年生まれ。慶應義塾大学卒業。『恋愛体育教師・水野愛也』 として雑誌 『KING』 『サイゾー』 などにコラムを連載、講演を行う。主な著書に 『ウケる技術』 など。

このドラマ仕立てなのが売れてる理由ですね、なるほど。TVドラマ化も決まっており、それも狙っていたとか?
多くの自己啓発本に書かれていることとほとんど変わりはないのですが、その行動規範を日々【忘れずに】【着実に】行う、ことが何よりも大事ですね。

全部できないので印象に残ったことを書き出してみます。

その日頑張れた自分をホメる
今日もよく生きた。それだけで十分なのだがなかなかそれができず。

運が良いと口に出して言う
前はこれができていたのだが最近できてないなぁ。そう、何があってもとりあえず 『私はラッキー』 そう思わねば。

やらずに後悔していることを今日から始める
ずっとやりたいと思っていたことは、今日からやれ!そのためには

一日何かをやめてみる
いつもしている何かを今日はやめてみる時間が空く前からやりたかったことができる
(私の場合)インターネット/DS/ケータイをやめる。うーんこりゃあ効果期待できそうだ!ってやめるができないから毎日だらだらと時間が過ぎてゆくのだが…。

人が欲しがっているものを先取りする
仕事でも何でも相手が喜ぶだろうということを推測し、それを提供する喜ばれる評価が上がる成功する!なるほど。

応募する
『才能を認められる』 ため応募する。自分自身を世の中にアピールする、プランをプレゼンする、資格試験を受ける。自分の才能が他人に判断される状況に置く。
これって要するに、自分から会の役職についてみるとかそういうことも含まれますね。チャレンジ、ということですな。

貢献できることを考える
それが、長続きの秘訣。なるほどなるほど。仕事でも趣味の活動でも、それが果たして誰か、どこか、世間に貢献できているか?大げさなようで実は大事な考え方。貢献って大切です。

それでも自分は変われない  という方にはとっておきの秘策が!それは

劇的に変わる方法は 『不幸』
不幸を演出しろ!とまでガネーシャは言う…じゃなくて本当は、どうしようもなく取り返しのつかないほどの事態に追い込まれたとき、実はそれが大きな転換期なのだということでしょうね。
不幸だ、と落ち込むだけではなくそれをチャンスと思い大きく方向転換しろ、ということでしょう。

不幸か…なるほどなるほど。という一冊でございます。

評価:(5つ満点)

ヒットラーのむすめ*J.フレンチ

musume.jpgみんな知らないけれど、ヒットラーにはむすめがいたのよ…。もし自分がヒットラーの子どもだったら戦争を止められただろうか?子ども達が戦争や親子関係について悩む姿を描く。オーストラリア児童文学賞、産経経児童出版文化賞JR賞受賞。
(ジャッキー・フレンチ)オーストラリアの児童文学作家。過去10年間に出版した本は100冊を越え10か国以上で翻訳出版されている。本作でオーストラリア児童文学賞受賞。


『もしヒットラーに娘がいたらどうなっていただろう?』 という創作ごっこをするぼくと友達のシーンと、友達が語るヒットラーの娘の物語が交互に挟まれる章立てになっている。のがかなり読みにくい…。極端に短い章もあり、これだけ短くするなら後ろの章に足してくれればいいのに?なぜこの構成?なんてことが気になってしまいあまり集中できなかった。

最後になぜこんな創作ごっこをしたのかの真実が明らかになるが、やや唐突な気もする。
子どもの目から見た戦争、について考えるいい機会にはなったと思う。

評価:(5つ満点)

崖の上のポニョ

ponyo.pngスタジオジブリ4年ぶりの長編
って毎回*年ぶり、とかいう宣伝にはもう飽きてはいるのですが。
前作、前々作とスタジオジブリの時代はもう終わったのか…と思ってもいたりしたのですが、子ども向けアニメはやっぱり王道だよなと結局第2王子を連れて行って来ました。

一言で言って、ポニョ可愛いです。もうそれだけでいいや。
この画像のクラゲの下になっているポニョが一番可愛い!!!
もうそれだけでよし。

………

もう少し感想いってみます。
今回良かったのは宗介の母リサの言葉。
『分からないけど、今起こっていることを受けとめること』
この一言に尽きます。

今回のポニョという存在の位置づけやその父母の存在など分からないことだらけでしたが、分からなくても彼らが現実に存在し宗介らと出会いふれあった、この事実だけでいいのではないでしょうか。とこのリサの一言で思いました。

私はポニョはお魚時代が一番好きですね、非常に愛らしい。またしてもラストを寝ていて見逃しましたが…やはり第2王子に聞いてもよく分からなかった。

評価:(5つ満点)

弁護士のくず

bengosikuzu.jpg人権派で知られる白石誠法律事務所。だがそこに所属する弁護士 九頭(くず)元人は裁判で勝つためならどんな手段も厭わないため 『弁護士のくず』 とまで言われている。破天荒で無茶苦茶な言動の九頭を中心に、弁護士事務所に舞い込んでくる様々な依頼を通じ思わぬ手法で依頼を解決する様や依頼の裏に潜む人間模様を描く。
(井浦秀夫)1955年長野県生まれ。早稲田大学卒業。東海林さだおのアシスタントを経てデビュー。『弁護士のくず』 で小学館漫画賞一般向け部門受賞、テレビドラマ化もされた。主な著書に 『職業・AV監督』 『AV烈伝』 など。

友人が 『弁護士のくず、読む?』 と貸してくれました。ずいぶん長いこと愛読誌だったビッグコミックオリジナルを買うのをやめて早数年…懐かしい。ということで久々にくずさんに会いました。

破天荒なんだけど依頼の解決方法は見た目に似合わず人情派?という九頭。相棒の後輩弁護士、マミ先生にセクハラをかけつつアドバイスを与えつつ後輩として鍛えつつ、共に事件を解決。ってところはカッコよすぎるけどマンガなので可。

弁護士事務所の所長 白石弁護士(TVにもよく出るが実は小心者)を始め、所長の息子で元引きこもりの寿仁也弁護士(じゅにや。こんな変な名前ばっかり出てくる、笑)、おっちょこちょいのマミ弁護士、そして生き別れになっていた娘の美月ちゃんなど、キャラクター設定も周到で楽しませてくれます。美月ちゃんはずいぶんしっかりしているからてっきり中学生くらいだと思っていたらまだ小5だった!なんてエライのかしら。

こういう事件あるよね、と思いつつも九頭ならどんな解決を?と毎回楽しませてくれます。読み物として楽しめかつちょっぴり裁判についても知識がつく、教養マンガです(えっ!?)。

評価:(5つ満点)

新潮(特集)源氏物語

sintyogenji.jpg◆特集 源氏物語◆【新訳・超訳 源氏物語】
夕顔(江國香織)/若紫(角田光代)/末摘花(町田康)/葵(金原ひとみ)/須磨(島田雅彦)/柏木(桐野夏生)

この企画は最高に面白い!と思い書店に走り、そして見事アタリでした。なんといっても【新訳】そして【超訳】ですよ、超約とはまた面白い言葉を作り出したものです、文字通り 『ハチャメチャな訳』 という仕上がりになってます。

このうち 『新訳』 の範疇に含まれるのは江國香織の 『夕顔』 、島田雅彦の 『須磨』 ぐらいで、あとはもう 『超訳』 。特に角田光代の 『若紫』 桐野夏生の 『柏木』 は良かったです。

『若紫』 舞台を貧しい外国にし、そこの女郎屋へ裕福な外国人の客(源氏)が通ってくるという設定。源氏は店のお姉さんではなくどうやら自分に興味があるようだ、と気付いた下働きの若紫は、源氏が自分をここから連れ出してくれるのではないかという期待を抱く。

『柏木』 大胆にも語り手を女三宮にしたところが素晴らしい。自分を躾けようと躍起になる源氏に最初から愛想を尽かし、同年齢の自分に執心している柏木に興味を持つ女三宮。浅はかな振りを装い柏木に自分の姿を垣間見させることから始まる、女三宮の源氏への復讐。実際に桐野氏の解釈通りでは?と思わせる、世の中の源氏びいきにやや不満の読者の気持ちを晴らしてくれる。

『末摘花』 これも新訳というか超訳というか…町田康のロック節で爆笑の末摘花のできあがり。ただでさえこの章はギャク的要素が高いのに、これじゃ本物のギャグで、町田氏にかかれば末摘花の侍女たちが食べていたという粗末な食事は 『じゃがりこをお湯にひたしたようなまずしい食べ物』 だそうだ!いったいそれはどんなものなのだー!

いずれも必読、いつでも貸出可です。

評価:(5つ満点)

20世紀少年 第1章

20thcenboys.jpgあの作品が、ついに映画化です。

原作マンガは一話ごとに見えない敵に対する恐怖が高まってくるところがウリなので、正直映画のようにパパーッと展開が早いとその恐怖をあまり感じないところが残念です。大人になったヤンボーマーボーや 敷島教授の娘、そして 『ともだち』 の得体のしれない恐さが映像だとやっぱりあんまり怖くないかも。

かつて少女とずっと年上の恋人、という役柄で共演していた常盤貴子とトヨエツが今回の映画では同級生という設定は歳月を感じましたね…などと違う方向でしみじみもしましたが、この難解かつ壮大すぎる設定の原作を映画化しようとした製作元には、それだけで拍手です。

スター総出演なところもスゴイ、お金かかってる~。続きもできればどんどん観たいですね。

評価:(5つ満点)

長い終わりが始まる*山崎ナオコーラ

nagaiowari.jpg大学4年生の小笠原はマンドリンサークルに所属している。就職活動に熱心な同級生をよそに未来になどは興味がない。就職活動よりも人間関係よりも趣味のマンドリンに命をかけている。小笠原が求めるのは音楽性の高さ、そしてそれを共に理解してくれるはずの、好きな男。極端に対人関係が苦手の大人になりきれない少女を描いたほろ苦い物語。
(山崎ナオコーラ)1978年福岡県生まれ。国学院大学卒業。『人のセックスを笑うな』 で文芸賞を受賞。 主な著書に 『浮世でランチ』 『指先からソーダ』 など。

既読2冊に比べるとだいぶ小説らしくなったもののイマイチ全体的に 『浅い』 イメージしか湧かなかった。

小笠原が好きだった田中のDSをゴミ箱に捨てて初めて、彼に対して消化しきれない想いを抱えたいたことが分かる、つまりそこまで小笠原の感情の起伏がほとんど伝わってこない。山崎氏の描く主人公たちはみな感情の起伏に乏しく、若いというのに半分死んでる感じ。現代の若者の無常観、無気力を表現したいのかなと思いきや、小笠原はマンドリンサークル内での自らの地位、コンサートミストレスやパートトップの座に異常にこだわりを見せており、そういうことでもないらしい。
もっと強い意志を見せて欲しい。

しかしながら学業よりもサークル活動に重点を置いてしまう学生、の描き方はなかなか秀逸です。こういう方は確かに私の時代もいました。人生はバランスが大事かと思いますが、現代社会に生きるって学生であろうと社会人であろうと、難しいということでしょうか。

評価:(5つ満点)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
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車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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