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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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きいろいゾウ*西加奈子

夫の名は武辜(むこ)歩、妻の名は妻利(つまり)愛子。お互いをムコさん、ツマ、と呼び合う都会の若夫婦が田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物の声が聞こえてしまう繊細なツマを、優しく見守っていた。夏から始まった2人の生活はゆっくりと進んでいくが、ある冬の日ムコはツマを残して突然東京へと向かう。それは背中の大きな鳥にまつわることだった。
(西加奈子)1977年テヘラン生まれ大阪育ち。関西大学法学部卒業。『通天閣』 で織田作之助賞受賞。主な著書に 『あおい』  『さくら』  『うつくしい人』  『きりこについて』 『漁港の肉子ちゃん』 など。

映画公開ということで原作をまず読もうと思って読んだのですが、映画は結局観に行けなかったという本作。まぁそういうもんだ。

ムコさんもツマもあらすじにある通り、そうとう変な2人なのですが、この2人が通じ合っていたはずなのになぜかある日突然ムコはツマを置いて出て行ってしまう。

こういうことってなさそうでありそうで、やっぱりあるのかもね。と思う。大体背中に大きなタトゥがあるというところで、こういう展開を求めちゃうのかもしれないし。でも、西加奈子なのでみんなめでたしめでたし、で終わります。ご心配なく。

評価:emojiemojiemojiemoji(5つ満点)
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私はフーイー*恒川光太郎

沖縄怪談短篇集
願いを叶えてくれる魔物やニョラの棲む洞窟、林の奥の小さなパーラー、祭りの夜の不吉な予言。時代を超えて輪廻転生を繰り返す少女フーイーが見た島の歴史と運命とは。 沖縄を舞台にした怪談短編集。『幽』掲載などを加筆修正し書籍化。
(恒川光太郎)1973年東京都生まれ。沖縄県在住。 『夜市』 で第12回日本ホラー小説大賞を受賞
(収録作品)弥勒節/クームン/ニョラ穴/夜のパーラー/幻灯電車/月夜の夢の、帰り道/私はフーイー

沖縄は、不思議な呪力を持った島なのかもしれない。そんな気にさせる怪談集。ちょっと難解なものもありますが、夜に突如出現するパーラーなどはすぐそこにあるような気がするし、輪廻転生を繰り返す少女フーイーの運命は、切なくも芯の通った清々しさが感じられて、やっぱり恒川光太郎はいいなぁと思うのでありました。

ちょっと怖い。けどすぐそこにある物語。を書かせたら、恒川氏の右に出る人はいないのでは。と恒川作品に惚れ込んでおります。また早く新刊出ないかな~。

評価:emojiemojiemojiemoji(5つ満点)

ラブコメ今昔*有川浩

 突っ走り系広報自衛官の女子が鬼の上官に情報開示を迫るのは奥様との馴れ初め。双方一歩もひかない攻防戦の行方は?表題作のほか自衛官を主人公にした全6編を収録。自衛官でも恋愛はベタ甘なのである。
(有川浩)1972年高知県生まれ。ライトノベル作家。2003年 『塩の街』 で電撃小説大賞を受賞しビュー。『図書館戦争』 で星雲賞日本長編作品部門受賞。主な著書に 『三匹のおっさん』 『県庁おもてなし課』 『クジラの彼』 など。
(収録作品)ラブコメ今昔 /軍事とオタクと彼/広報官、走る!/青い衝撃/秘め事/ダンディ・ライオン

制服さんが大好きらしい有川浩氏の、自衛官を主人公にした短編集。元自衛官で今は自衛官の奥様、という職場の先輩が貸してくれました。結論から言って、自衛官でも恋愛中はただのバカップル、いや失礼、普通の若者と変わらないわけですね。

ホントにこんなに自衛官の毎日が楽しそうなのか?ということはさておき、普段知らない自衛官の方々のお仕事が垣間見えて面白かったです。

有川浩お得意の、ツンデレ全開です。

評価:emojiemojiemoji(5つ満点)

拉致と決断*蓮池薫

監視下の生活、偽装経歴、脱出の誘惑。戦争の恐怖、飢餓と配給。拉致被害者の著者が 『北』 での24年間を綴った迫真の手記。北朝鮮の招待所生活で接した人達や平壌市内の市民についても叙述する。『波』 連載を加筆修正して単行本化。
(蓮池薫)1957年新潟県生まれ。中央大学法学部3年在学中に拉致され24年間北朝鮮での生活を余儀なくされる。帰国後中央大学に復学。新潟産業大学専任講師。『半島へ、ふたたび』 で新潮ドキュメント賞受賞。主な著書に 『蓮池流韓国語入門』 『私が見た、「韓国歴史ドラマ」の舞台と今』 など。翻訳書に 『孤将』 始め多数。

前作 『半島へ、ふたたび』 よりも、具体的な 『北』 の地での生活について書かれていて興味深い。実際のところ、蓮池氏とご家族は、本書にあるとおりスパイ的な活動とはそれほど深く関わっていなかったということだろう。もちろん今までもこれからも言えないこと、は多々あるのかもしれないが、それでも氏がこれまで経験したことを自分の言葉で伝えよう、という気持ちは本書でもよく伝わってくる。

拉致問題が解決に向かうには、蓮池氏をはじめとする被害者の方々が声を上げ続けていくしかない。その覚悟が表れている本書。市井の人、しかもまだ大学生だった氏と夫人が経験したことは、決して他人事ではない、という事実。

蓮池氏の感情に流されない文章が、かえって心を打ちます。

評価:emojiemojiemojiemoji(5つ満点)

ソロモンの偽証 第2部 決意*宮部みゆき

中学校の裏庭で死体で発見された柏木卓也。保身に身をやつす教師らを見限った生徒達は彼の死を明らかにすべく学校内裁判を計画する。学校から与えられた期限は15日。突如現れた弁護人と検事らの攻防は真実を見出すことができるのか。『小説新潮』連載を単行本化。
(宮部みゆき)1960年東京都生まれ。 『我らが隣人の犯罪』 でオール讀物推理小説新人賞、『魔術はささやく』 で日本推理サスペンス大賞、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、『火車』 で山本周五郎賞、『蒲生邸事件』 で日本SF大賞、  『理由』 で直木賞、 『模倣犯』 で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞、『名もなき毒』 で吉川英治文学賞を受賞。

加速する面白さ。そして夜も眠れず。感想は <ソロモンの偽証 第3部 法廷> へ。

評価:(5つ満点)

ソロモンの偽証 第1部 事件*宮部みゆき

クリスマスの朝、雪の校庭で中学生の遺体が見つかる。自殺と思われた彼の死に、匿名の告発状が学校に届く。彼は殺されたのか。犯人は、同じ中学に通う同級生なのか。新たな殺人計画、マスコミの過剰報道、連鎖する犠牲者。事件は中学生と周りの大人を否応なく巻き込んでいく。宮部みゆきの真骨頂、『小説新潮』連載を単行本化。
(宮部みゆき)1960年東京都生まれ。 『我らが隣人の犯罪』 でオール讀物推理小説新人賞、『魔術はささやく』 で日本推理サスペンス大賞、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、『火車』 で山本周五郎賞、『蒲生邸事件』 で日本SF大賞、  『理由』 で直木賞、 『模倣犯』 で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞、『名もなき毒』 で吉川英治文学賞を受賞。やっぱり書ききれない。

感想は <ソロモンの偽証 第3部 法廷> へ。

評価:(久々に長編!)

ビブリア古書堂の事件手帖3*三上延

栞子さんと消えない絆
鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂はその佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や困惑するような珍客も。4冊の本が見えない絆をあらわにした時、栞子さんの母親への想いは変わるのだろうか。
(三上延)1971年横浜市生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ライトノベル作家。『ダーク・バイオレッツ』 で電撃小説大賞三次選考を通過し同作でデビュー。本書で2012年本屋大賞にノミネート。主な著書に  『ダーク・バイオレッツ』  シリーズ、『偽りのドラグーン』 シリーズ。

ビブリア古書店も3冊目。今回もマニアックな本が4冊。今可愛いキャラクターとして有名なあのチェブラーシカは、ロシア(ソ連?)のキャラだったとは!しかもふるーいチャブラーシカは、何だか可愛くないらしい。オリジナルを見てみたい。

今回のテーマは 『絆』 。栞子さんは小さい妹と自分を置いて出て行ってしまった母親に対して激しい感情を抱いておりますが、その母親ともやはり絆があるらしい…ということに気付くという展開。栞子さんのおかあさんはなぜ家を出たのか?その、不可解なスパイ的活動は、何のためだったのか?とまぁ物語は徐々に探偵風。

引っ張り方が上手いのは、さすが。続きも楽しみにしています。

評価:(5つ満点)

屍者の帝国*伊藤計劃×円城塔

19世紀末フランケンシュタイン氏によるクリーチャー創造から約100年、その技術は全欧に拡散し屍者たちは労働用から軍事用に至るまで幅広く活用されていた。英国諜報員ワトソンは密命を受け、軍医としてボンベイに渡りアフガニスタン奥地へ向かう。彼の密命は 『屍者の王国』 の建国を確認することだったが。早逝した伊藤計劃の未完の絶筆を盟友 円城塔が引き継ぎ完成。
(伊藤計劃)いとうけいかく。1974年東京都生まれ、2009年没。武蔵野美術大学卒業。『ハーモニー』 で 日本SF大賞、星雲賞日本長編部門、フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞。著書に 『虐殺器官』。
(円城塔)1972年札幌市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。『オブ・ザ・ベースボール』 で文学界新人賞、『烏有此譚』 で野間文芸新人賞、『道化師の蝶』 で芥川賞、本作で日本SF大賞特別賞受賞。主な著書に 『バナナ剥きには最適の日々』。

伊藤計劃の絶筆となった本作のエピローグはSF短編集に収録されています。わざわざ借りてきてそこだけ読んだ伊藤ファンの私。本作が発表されると聞き興奮し過ぎて、ちょっと期待が大きすぎたかも。でもエピローグしかない物語を完成させてくれた円城氏には、感謝です。

死者を蘇るフランケンシュタインが 『技術』 として確立された19世紀。不死身の身体を持ち感情を持たない彼らは、軍事利用に持ってこい。戦争の勝敗はいかに多くのフランケン兵士を所有しているかにかかる時代となった。

舞台は第2次大戦前夜、世界は情報合戦となり『全地球通信網』 なる【インターネットケーブル】が海中に敷設されたという設定。

無線LANhaはまだないからケーブルそのものを海中に張り巡らせる。コンピュータもないからどうやってデータを取り出すか、というと、そこでフランケンが登場。フランケンをケーブルで繋ぎ、通信網経由のメッセージをフランケンが読み上げる(書き出す)という…!

この発想はかなり斬新。データのやりとりはICチップもまだ開発されてないため、なんと【パンチカード】を使用。パンチカード…名刺大の厚紙に色々な大きさの丸を穿けてデータを記録するものです。大昔(でもない)のテレックスとかで確かパンチカードを利用していたはず。

つまり大容量のデータは送れないはずなのですが。個々の細かい設定が19世紀という時代設定に合わせて非常に興味深く設定されています。そこはとても楽しめますが、全体のテーマ展開がかなり大胆で、着地点は若干納得いかないです。

フランケンを作る技術を開発した研究者が研究施設から逃亡、屍者を連れ 『屍者の帝国』 を建設しようとしているという。彼の目的は、その情報の真偽は。密命を受けたワトソンは何度も死線をかいくぐって何とかその研究者と接触するが…。

この研究者が世界的に有名なあの人物だった!という突飛な設定も面白いけどちょっと強引かも。屍者を作った彼の想いはどこへ行くのか。そしてワトソン、君の選択はそれでいいのか。

というラスト。すさまじい時代の変化という潮流に巻き込まれたワトソンと彼をめぐる人々。この時代ではそれも抗いがたい流れだったのかも、と読後しばらくしてから思うのでした。

若干納得しがたいラストですが、様々な設定は綿密で非常に興味深く、伊藤計劃のことをよく知る盟友 円城氏による創作だなぁと感動します。持つべきものは、良い理解者である良い友。

評価:(5つ満点)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
読書 映画鑑賞 観劇
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車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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