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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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心のナイフ*パトリック・ネス

kokoroknife.jpg新世界のたったひとつの町プレンティスタウンでは、女は死に絶え男は互いの考えがすべて 『ノイズ』  として互いに筒抜けで聞こえる状態にある。町で最後の子どもであるトッドが成人する日が迫っていた。町の人間がすべて大人になった時、何かが起ころうとしている。この世界には本当に人間は自分達しかいないのか?少年トッドが巡る新世界の物語。『混沌の叫び』  シリーズ第1作。金原瑞人、樋渡正人 訳。
(パトリック・ネス)1971年米国生まれ。カリフォルニア州で大学を卒業。99年に渡英。本作でガーディアン賞、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞、ブックトラスト・ティーンエイジ賞を受賞。


ヤングアダルト向け三部作の第1作。金原瑞人訳だしじゃあ読んでみよう、と思ったのがそもそも…!なんとひどいことに、この 『心のナイフ』 のラストは、トッドにとって最悪の結末を迎えてしまうのであります。これって三部作ですぐ次の巻が出ているならまだいいけど、日本ではまだこの本しか出版されてなかったのです!ああこの重苦しい想いをあと何年引きずって、次巻を待たねばならんのだ…とまずそこでゲッソリきちゃいました(苦笑)。

トッドは利発な少年。町で一番年少でもうすぐ15歳(16だったかも)を迎えると、大人として扱われる。町の大人達は自分達の考えがお互いに聞こえてしまう 『ノイズ』 という病気にかかっている。くだらないことばかり考える人、いつも文句ばかり言っている人、お互いのノイズが聞こえないよう最小限の付き合いしかしない人々。そんな中で大人になっても希望など何もないように思えたが。

トッドはある日育ての親から町から逃げ出すようにと言われる。逃げるって誰もいないんじゃないのこの星には?と半信半疑で逃げ出したトッドは、町の外の人に初めて出会う。というのはまぁお決まりのパターンでありますが。それにしてもせっかく入植してきたのにちっとも成長しない大人達、狭い社会でも延々と争いを続ける大人達。かなりゲッソリ来ます。

そんな中でも希望を失うな、という育ての親の言葉を信じ進んできたトッドが、本作で迎えたラストは!かなりの衝撃であり、あんまりじゃないかと思います。せっかくヤングアダルトに勧められる本を少し読もうと思って読んだのに、これじゃ誰にも勧められないじゃないのっ。という本作。続巻を読むまでは、何とも言えないです。この本だけでは、壮絶すぎるラストで勧められません…。

評価:(金原さん早く続きを…)
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筆談ホステス*斉藤里恵

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耳が聴こえない青森一の不良娘が筆談だけで銀座No.1ホステスになった。 難聴者としての人生や想い、家族のこと、これからの夢などを綴るほか、筆談での接客術もあわせて紹介。
(斉藤里恵)1984年青森県生まれ。病気の後遺症で1歳10ヶ月で聴力を完全に失う。銀座のクラブで人気ホステスとして活躍。著書に 『筆談ホステス67の愛言葉 青森一の不良娘が銀座の夜にはぐくんだ魔法の話術』 『筆談ホステス母になる ハワイよ61の愛言葉とともに…』 。


職場で本の話になり、本書の話が出てそう言えば話題になった時読んでみたかったけど読まなかったんですよ、と言ったら先輩が貸してくれました。ありがとうございます。

ということでさっくり読みました。こういう自身の体験談で大事なのは、いかに読者に負担をかけず自分の話を読ませるか、ですね。構成も巧くサクサクよめました、やはり構成が大事ですね。斉藤さん自身の負けん気の強さというか芯の強さが成功の一番の秘訣だったとは思いますが、大事なのは決して夢を諦めないこと、お客様の心に沿う努力を常に続けること、これに限ります。

そしてそれはどんな仕事に就いていても、当てはまることなのでした。機会がありましたらご一読を。

評価:(5つ満点)
 

わたしたちが孤児だったころ*カズオ・イシグロ

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上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクスは10歳で孤児となった。貿易会社勤めの父と反アヘン運動に熱心だった美しい母が相次いで謎の失踪を遂げたのだ。ロンドンの伯母の元に帰され寄宿学校に学んだバンクスは、両親の行方を突き止めるために探偵を志す。やがて幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た彼は、戦火にまみれる第2次大戦下の上海へと舞い戻るが。記憶と過去を巡る一人の探偵の冒険譚。
(カズオ・イシグロ)1954年長崎県生まれ。5歳の時父親の仕事の関係でイギリスに渡る。ソーシャル・ワーカーとして働きながら執筆活動を開始。著書にブッカー賞受賞作 『日の名残り』 『わたしを離さないで』 など。


カズオ・イシグロの代表作と言われる本作、 『私を離さないで』 に感銘を受けた私は読んでみたのですが。ミステリーと思わせておいて実は…という作品で、読了後かなりの重苦しさが残ります。私にはシビア過ぎました。

列強の支配下にあった中国、上海の描写はとても魅力的に書かれているのですが、社会の最も見たくない醜い部分、偽善の部分をこれでもかと押しつけてきます。社会にはびこる様々な偽善について問われると、その答えを探すのに相当な覚悟が必要です。バンクスの立場、父と母の立場、周囲の人々の立場。複雑な環境で繊細に育ったバンクスが、上海に戻り見た風景は。

主人公バンクスのこれからの人生が、本当に心配です。ひたすらに、重いです。

評価:(5つ満点)
 

やまんば山のモッコたち*富安陽子

yamanba.jpgまゆはやまんばの娘。やまんば母さんと一緒に北のお山の三本杉の下の家に住んでいる。ふもとの村の人間の子ども啓太はまゆと仲良くなり、まゆとやまんばと一緒に山に暮らす様々な妖怪達 『モッコ』 と一緒に冒険を繰り広げる。『まゆとおに』 『まゆとりゅう』 などまゆの絵本の原作。富安陽子 作、降矢奈々 画。
(富安陽子)1959年東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、『小さなスズナ姫』 シリーズで新美南吉児童文学賞、『空へつづく神話』 でサンケイ児童出版文化賞、『盆まねき』で野間児童文芸賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。『やまんば山のモッコたち』 はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。著書多数。
(降矢奈々)1961年東京都生まれ。チェコスロバキアのブラチスラバ美術大学で版画を学ぶ。スロバキア在住。画家 降矢洋子は母、画家 アンヴィル奈宝子は妹。主な作品に 『めっきらもっきらどおんどん』 『ともだちや』 『ちょろりんのすてきなセーター』 『ちょろりんと とっけー』 『きょだいな きょだいな』 『まゆとおに』 『まゆとりゅう』 など。私が最も愛する絵本作家の1人。


長年読まねばと思い続けてきた本作、第2王子に読み聞かせをして読了しました。そうかそうすれば良かったんだ、私も読めて第2王子も読めて一石二鳥とはまさにこのことだ!とか今更ながら何言ってんだか。

やまんばとその娘 まゆの物語。絵本では出てこない人間のお友達、啓太が大活躍します。まゆは物語ではついこの前生まれたばかり、でも飛んだり跳ねたり走ったり、重い物持ったり空飛ぶ雲(筋斗雲か!?)に乗り回ったりできます。啓太もよい子なので一緒に空飛ぶ雲に乗ることができます。その2人がやまんばと楽しく暮らす物語。

やまんばはやはりかなりワイルドなお母さんで、沼に住むカッパ達の女王と相撲対決をして勝ったり、世にも恐ろしい雪女と真っ向タイマン張ったり、本当に頼りになるお母さんです。恐ろしい雪女の元へもまゆを信じて行かせるところとかも素敵。すべてにおいて自信に溢れ、自分の腕一本でまゆを守ろうという強い意志に溢れており、まさに理想の母親像ですね。

様々なエピソードがあり楽しいのですが、私が一番好きなのは山の貯蔵庫(冷蔵庫)のお話。冬に備えて食糧を溜めておいて、保存食も作っておいてそれを取りに行く時の楽しさ。その大事な食糧を使ってまゆのお誕生日パーティをする話もすごく楽しいです。って要するに食べることばかり?

(追記)本作は少し前の作品のためか日本語がやや難しいです。小学校高学年でもかなり本に親しんでいる子どもでなければ読了は難しいかもしれません。つまり昔の子どもはこうしたちゃんとした日本語の本をしっかり読んでいたわけですね。


評価:(たくさんのまゆに会えます)

阪急電車*有川浩

hankyu.jpg隣に座った女性はよく行く図書館で見かけるあの人だった。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差しやがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車。人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を今日も走っていく。
(有川浩)1972年高知県生まれ。ライトノベル作家。2003年 『塩の街』 で電撃小説大賞を受賞しビュー。『図書館戦争』 で星雲賞日本長編作品部門受賞。主な著書に 『三匹のおっさん』 『県庁おもてなし課』 『クジラの彼』 など。


『図書館戦争』 でおなじみ有川浩。最近はライトノベルだけでなくフツウの小説家でもあります(笑)。本作は人から勧められたこともありましたが、私の性格では 『二人以上に勧められた本』 でないとすぐに手にとらないという妙な性癖があり、ずっとしまいっぱなしになってました。折しも1年だけ所属していた読書会のテーマ本だったので購入済だったのですが買って1年位してやっと読了しました。なんのきっかけで読んだんだっけ…それも思い出せない。

ということで読めて良かった本作。阪急電車を舞台にした連作短編集です。この電車に出てくる阪急電車、関西の方にはおなじみの路線のようですが私達関東人にはちょっとピンと来ないですね。多分東急世田谷線とか、江ノ電のような雰囲気と思われます。そのイメージで読みました。

よくできた連作集です。ですがよくできすぎていて、練りに練ったという感じが伝わってきてしまい私にはちょっと、でした。映像化を最初から意識していたのかもしれませんね。映画も評判が良かったそうなので映画も近いうちに観てみたいと思います。

評価:(5つ満点)

タダイマトビラ*村田沙耶香

tadaima.jpg自分の子どもを愛せない母親のもとで育った恵奈は家族欲を満たすため自分だけの秘密の行為に没頭する。高校に入り年上の学生と同棲を始めるが心の渇きは止まない。その彼女の世界がある日一変する。『新潮』 掲載を単行本化。
(村田沙耶香)1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部卒業。 『授乳』 で群像新人文学賞、『ギンイロノウタ』 で野間文芸新人賞を受賞。


自分の子どもを自分が庇護すべきだと認識できない母親。とその子ども達の不幸な生活。を描いているのはよく分かるのですが、ラストがあんまりでかなり読後感悪いです。新聞の書評を見て読んだのですが、なんであのラストなのか?頑張って頑張って生き続けて、ついに壊れた恵奈に、明日は来るのだろうか。

途中いいところもあるのですが、全体としてオススメいたしません。

評価:(5つ満点)



雪と珊瑚と*梨木香歩

yukisango.jpg珊瑚21歳、シングルマザー。生まれたばかりの雪を抱え、明日生きていくのに必要なお金もない追い詰められた状況で、ある女性と出会い温かい言葉とスープに生きる力を見出す。やがて珊瑚は食を提供する店を経営することを計画する。珊瑚と雪と、周囲の温かい人々との触れ合いと成長を描く。
(梨木香歩)1959年鹿児島県生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞、『沼地のある森を抜けて』でセンス・オブ・ジェンダー賞大賞、紫式部文学賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門を受賞。主な著書に『からくりからくさ』 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 、絵本に 『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。


珊瑚、シングルマザー21歳。0歳児の雪を抱え仕事なし、夫なし、親なし、家なし。と言うとさも悲愴な状況ではあるのですが、あまりそう感じさせないのはやはり梨木香歩はファンタジー作家だからでしょうか。梨木作品に限っては現実味とかそういうことはあんまり考えないのです、考えなくてもいいのです。既に世界観ができあがっているからです。そんな梨木香歩が、好きなんです。

本作の主人公の珊瑚はこれまでの主人公達とちょっと違っていて、何となく結婚しちゃって何となく夫は出て行っちゃって、自分はとても困った状況にあるんだけど、どうしようかな。という雰囲気の少女なのです。そう、おかあさんだというのにまだまだ中味は少女なんです。そこでこの珊瑚に対しどんな想いを抱くか。普通の本なら人物描写がイマイチだとか言いそうな私ですが、梨木作品だとそれもアリかと思ってしまう。この梨木マジック、スゴイです。

ということで全面的に珊瑚と雪の味方で物語は進んで行きます。珊瑚は運良く、本当に運良く、素晴らしいベビーシッターに出会い、彼女から料理を教わりそれをカフェにすることを思いつき、一緒にやりたいと言ってくれた大学生の女の子をアルバイトに雇い、無農薬野菜を作っている農家に出会い、そして森の中の素晴らしい一軒家を見つける!とまぁ良いこと尽くしでこれまた他の作品なら 『………』 とか私は言いそうですが、それも梨木さんの世界ならOKなのです。何度も言いますが、梨木香歩は私には特別なのです。

それで終わってもよいのに、本作では珍しく社会の毒のようなものが出てきます。読了後もなぜこの毒を描いたのだろうか、必要ないのではないかとまで思ったのですが、敢えてこの物語に毒を盛り込んだ梨木さん。それが現実ということかもしれません。でも私は私達の生きる社会に毒は必要ないと思うのと同様、梨木作品には毒はいらないと、思うのです。

愛らしい雪と、珊瑚に。そして周囲の美しい人々に。現代のファンタジー作品として楽しんでください。

評価:(ファンタジーを愛するあなたに)

孤宿の人*宮部みゆき

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讃岐国 丸海藩。不幸な身の上のほうは、金比羅代参を言い訳にこの地に置き去りにされる。捨て子となったほうは藩医を勤める井上家の親子に引き取られ可愛がられるもある日突然井上家の娘が頓死したことで運命が大きく動き出す。折しも幕府の要人であった加賀が丸海藩に流罪となる。幽閉の日々を送る加賀様の怨念が次々と丸海藩に厄災を運んでくるのだと信じ怯える丸海藩の人々。ほうはその加賀様の屋敷の下働きとして働くことになる。加賀様は本当に鬼なのか。一方水面下では加賀様預かりと同時に藩の存亡を賭した秘策が進んでいた。大きな歴史の渦の中で力強く生きる無垢な少女、ほうの姿を描く。宮部みゆきの真骨頂、時代小説の最高峰。
(宮部みゆき)1960年東京都生まれ。 『我らが隣人の犯罪』 でオール讀物推理小説新人賞、『魔術はささやく』 で日本推理サスペンス大賞、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、『火車』 で山本周五郎賞、『蒲生邸事件』 で日本SF大賞、  『理由』 で直木賞、 『模倣犯』 で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞、『名もなき毒』 で吉川英治文学賞を受賞。書ききれない。


久々の宮部時代物です、公文の教室のKG先生に貸していただきました、ありがとうございます。さて読書家でいらっしゃる先生のおかげでうちの教室の公文文庫の本棚には絵本も大人向けの小説も良書が揃っているのですが、わざわざこの本は先生から直々にお借りしたのです。それはなぜかと言えば(長いよ前書きが)。

中学校時代から本っ当に本を読まない第1王子、もはや彼の読書人生はこれまでかと諦めかけていたところ、ある日突然本を読むようになりました!きっかけは日本アカデミー賞 『八日目の蝉』 (映画)です。一緒にテレビで日本アカデミー賞を見ていて、この映画そんなにいいのか、というので良かった良かった、なんてったって劇団ひとりの演技がすこぶる良かった(自説)、とか話していて、やっぱりこれは原作読まなきゃ、原作のラストの希和子のセリフが素晴らしいのよね、と話したことがきっかけで、一緒に古書店に文庫本を買いに行きました。

そして見事 『八日目の蝉』 にハマりました第1王子!もっと読む本ないかと言うので(失礼ながら)当たり外れのある角田光代は避け、高校生男子に何を勧めるべきか?映画原作だと読むのか?とまずは 『容疑者Xの献身』 を買いました。

そして再び当たりました!こうなると第1王子、ママのオススメする本はなかなか面白いじゃん、と学習し一気に読書生活へ!みんながテスト自習してる間も読んじゃってオマエ余裕だなとか言われちゃったよ…と言いつつも、読め読めヨメヨメ第1王子。普段自分のために文庫本は買わなくてもムスコのためなら買ってしまう(笑)。そのうち自分でも買ってくるようになりました、私の未読本もありなかなか興味深いです。

角田光代 『八日目の蝉』
東野圭吾 『容疑者Xの献身』
薬丸岳 『天使のナイフ』
東野圭吾 『白夜行』
鈴木光司 『リング』 ※ブログ以前既読
吉田修一 『悪人』 ※未読
万城目学 『プリンセストヨトミ』 ※未読…いつ読める

などなど。私も読まないと。それにしても人に本を薦めて 『面白かった~』 と言われることって、なんて快感なんでしょうねぇ!そのために読んでるのか私。あー本読みで良かった(笑)。

ということでやっと本作の感想。さすが宮部みゆき、本当に読者を裏切らない素晴らしい展開。終章は先生お勧めの通り、涙涙でした。宮部の作品はどれもそうですが、前半がかなり綿密で若干読むのが辛い時があります…私も今回上巻に2週間位かかってしまいました。ところが中盤から一気に本が手放せなくなり、下巻は一日で読了(笑)。この頃宮部はいつもこのパターンです。

ほうを始め登場人物らの描写が実に綿密で、しかもそれが後半に入ると必然だとつくづく感じてしまうのです。やっぱり小説は人物描写が一番大事ですね。みなしごのほうは 『阿呆のほう』 と言われても優しく見守ってくれる井上家の人々と幸せに暮らしていたのに、なぜ鬼と言われる加賀様の屋敷にやられることになるのか。我が身を嘆くほうに、加賀様と触れ合う機会が与えられる。徐々に加賀様の人柄を理解していくほう。ほうの生きる狭い社会が、加賀様を取り巻く幕府、丸海藩重鎮らの陰謀という大きな社会とどう交わるのか、を様々な登場人物らを描くことで大きくしっかりと描ききった本作。

宮部みゆきを読み終わるといつも思うことですが、今回もしみじみ思ってしまいました。宮部を日本語で読める日本人で本当に良かった。KG先生、ありがとうございました、またお勧め教えてくださいね。

評価:(日本人なら宮部を読め)
 

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年齢:
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誕生日:
1972/02/16
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