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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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しゃぼん玉*乃南アサ

e85efe46.jpeg通り魔や傷害を繰り返す翔人は逃亡途中に成り行きで助けた老婆の家に滞在、野良仕事を手伝ううちに村に馴染んでいくが…。現代の若者の 『絶望感』を細やかな心理描写で描く。 『小説トリッパー』 連載を単行本化。
(乃南アサ)のなみあさ。1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『団欒』 『あなた』 など。


感涙。と紹介されたので期待大で読みましたが私は泣きませんでした。でも私が泣かなかったのは、やはり同じ母親であるおスマ嬢の立場から物語を読んだからかも。

何に対しても自暴自棄で通り魔や傷害事件を繰り返してきた翔人が改心していく展開はやはり2時間ドラマ的だけど、こういうラストは気持ちがいいなぁ。シゲじいがとても存在感あり、ベスト。それにしても乃南氏は方言にも地方の風土にも非常に詳しく、やはり作家はこうでなくては、と思わせます。トリッパーっぽいと言えばそれっぽいとも言えます。

乃南作品をこれまで数冊読みましたが、結構ヤングアダルトにも適な感じです。YAの皆さん、乃南アサをどんどん読みましょう!

評価:(5つ満点)

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幸運を呼びよせる朝の習慣

asano.jpg成功者は朝の時間を大切にしている。朝の光はポジティブ思考をもたらす。ひとり静かに夢のイメージを広げる方法を獲得しよう。確実に運が良くなる52の魔法を紹介、朝を大切にすれば人生が変わる!
(佐藤伝)明治大学文学部卒業。学習方法論を研究し創造学習研究所を主宰。幼児から小・中・高・大学生までを幅広く指導、効果的な学習法を伝授。主な著書に 『1日5分頭がよくなる習慣』 『7日間で人生を変える魔法の習慣』 など。

正直こういう実用書系は読んでもすぐ忘れてしまう…ダメじゃん。
ということでせめて3つはこの本から得たポイントを日々実行したいと思ってます。

成功を導くルーティンを作る
これができれば本当に苦労しないのだが…おまじないのようなもの?

朝の光で目覚める
遮光カーテン使ってる時点でダメなのかも、カーテン開けて寝ろとか書いてあるし。夏はいいけど冬は寒いからヤダな。

グレープフルーツの香りをかぐ
グレープフルーツには脳を活性化させる作用があるとかないとか。要するにシャキッとするそうです。柑橘系、グレープフルーツが大好きな私にはいいかも。

目薬をさす
目、は身体の中で最も酷使されている機能だとか。常日頃から目薬をさして目を労わりましょう。

陰惨な映像は見ない
これはちょっと目からウロコだった。常日頃から世事にはさとくなくては、とニュース映像やドキュメンタリーなども見なくてはと思ってましたが、あまりにも悲惨な映像だとそれで自分が落ち込んでしまうとのこと。確かにそうだわ。かと言ってまるきり無視するのもどうかと思うけど、時と場合により陰惨な映像は避けてもいいのだという意見にはなるほどです。

ラッキーアイテムを持つ
これは成功ルーティンと同じく一種の思い込みだね。でもこれがあれば私は大丈夫!というものがある人は確かに強いです。それが思い込みだろうがそうでなかろうが、それは問題ではない。ということで私も何かそういうものが欲しいわ

スケジュールをチェックする
朝、それも早朝に行うべしとのこと。毎朝必ずスケジュール帳をチェックし一日の流れを頭に描く。なるべく無駄をなくし、無駄をしてしまったことで後悔する、という悪循環を減らす。確かに。私も一応スケジュール帳派なので毎朝実行してみよう。

こだわりの文房具を使う
その辺にあるボールペンではなくお気に入りのきちんとしたペンを使いましょう。とのこと。そうすると自然と姿勢も伸び書く文字にも気持ちがこもる、のだそう。確かにそうなんだけど、逆を言うといつものペンがないとそれだけでパニックになってしまう私のような性格の場合はどうしたら…。ペンをなくさないのが一番だけどペンのことばかり考えていると本末転倒な気もするし。

玄関を掃く
玄関を清める、は大事。だそう。靴を揃える。みたいだねこりゃ。ということで時間があれば玄関を掃くようにしてます。

朝ガムする
これは面白い。ガムを噛むと脳が活性化されるそうです。この頃キシリトールガムなどのおかげで以前ならば虫歯の元と言われていたガムの立場もだいぶ変わりましたね。しかしガムを食べだすと止まらない私の場合はほどほどにしなくちゃ。

と…上記から3つ選ぶだけでも大変だ(笑)。また明日から実行します(と毎朝思ふ)。

評価:(5つ満点)

八日目の蝉*角田光代

youkame.jpg蝉は土中で成長し、地上に出てからは7日で死んでしまう。しかし8日目まで生き延びることができたら、新しい世界が見えるのではないだろうか?8日目が来ることを信じ不倫相手の生まれたばかりの子どもを誘拐してしまった希和子。誘拐犯に育てられた子どもである恵理菜。それぞれの心を描き、家族という不可思議な枠組みに迫る。読売新聞連載、中央公論文芸賞受賞作。
(角田光代)1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『幸福な遊戯』 で海燕新人文学賞、『まどろむ夜のUFO』 で野間文芸新人賞、『ぼくはきみのおにいさん』 で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』 で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、路傍の石文学賞、『空中庭園』 で婦人公論文芸賞、『対岸の彼女』 で直木賞を受賞。 主な著書に 『この本が、世界に存在することに』 『あしたはうんと遠くへいこう』 『庭の桜、隣の犬』 『ピンク・バス』 など。

0章、1章、2章という組立てがいい。
0章、1章は誘拐犯である希和子の一人称なので、ここだけ読んでいると希和子に感情移入してしまいつい応援してしまう。この小説のすごいところは2章だ。

2章では誘拐され4年後に実の親の元に帰された恵理菜の、 『誘拐され誘拐犯に育てられた子』 としての苦労がまざまざと書き綴られており、気が滅入りそうになる。しかし恵理菜がだんだんと事件のことを振り返っていくと同時に読者も事件の真相を知ることとなるのだ。

いったい誰が悪いのか。恵理菜の父である秋山も、母である秋山の妻も、そして希和子もみな愚かな大人だ。間違いなくその犠牲になったのは恵理菜。ただ3人の愚かな大人達は本当に愚かなだけで、つまり幸せを掴む力が弱かった、それが愚かということなのだろうか?

両親も、赤ちゃんの頃誘拐された子ども、という自分の運命も、すべて諦めて恵理菜は大学生になっている。そして自分も愚かな大人と同じように、愚かな大人と不倫の関係にある。その中で恵理菜は自分自身を見つけようともがき始めるのだ。

きっかけはエンジェルホームで出会った千草。このエンジェルホーム、という設定も上手い。宗教色の濃い団体の共同生活を送るためのこのホームならば、確かに誘拐した子どもを連れた希和子が何年も身を潜めることができたというのも納得できる。そのホームでの出会いが希和子と薫を小豆島へ誘い、描かれる小豆島の人々の優しさと美しい自然がこれまたいい。

設定、場面展開、実によく練りこまれた完全な小説だが、その上で琴線に響くシーンがこれまたいい。
希和子と薫が別れる時の一言 『その子はまだ朝ご飯を食べていないの』 。ぐあーん。と来る。

母として…子どもには朝ごはんを食べさせましょう。じゃなくて人は愛すべき、守るべき者があれば生きていけるのだと、その守るべき者のために生きるのだと強く訴えてくる小説。角田氏はやはりテーマ【家族】が上手い。必読。

評価:(必読。)

カツラ美容室別室*山崎ナオコーラ

katura.jpg桂美容室別室の店長、カツラさんは美容師なのにカツラをかぶっている。なぜかは分からない。カツラをかぶる店長・桂孝蔵の美容院を舞台に、淳之介とエリ、梅田さんらの友情とも愛情ともつかない交流を描く。 
(山崎ナオコーラ)1978年福岡県生まれ。国学院大学卒業。『人のセックスを笑うな』 で文芸賞を受賞。 主な著書に 『浮世でランチ』 『指先からソーダ』 など。

主人公の淳之介は27歳。『人のセックスを笑うな』 の磯貝くんと同じく、主体性がほとんどなくギラギラしてなくてボーッとした感じ。テレビ欄を作る会社に勤めてるって… 『人のセックス…』 のユリのダンナ、猪熊さんと同じ会社か!?

桂さんの美容室でのやりとりが中心に描かれているが、淳之介の交友関係は梅田さんと桂美容室別室の人々としかないのだろうか?とやや疑問。狭すぎる社会(桂美容室別室)だが、その中だけで生きていければ人は幸せなのかもしれない。

しかし相変わらず、何を言いたいのかテーマは不明で、消化不良。

評価:(5つ満点)

後には脱兎の如し*近藤ようこ

dattono.jpg漫画家の日々の暮らしはおかしくもあり哀しくもある。デビュー25年目にして初めて自己を語ったエッセイ集。描き下ろし漫画 『タマちゃんアイス』 収録。
(近藤ようこ)1957年新潟県生まれ。国学院大学卒業。漫画家。新潟中央高校在学中に同じく同校在学中であった高橋留美子らと共に漫画研究会を設立した。 『見晴らしガ丘にて』 で漫画家協会賞優秀賞受賞。主な著書に 『ルームメイツ』 『アカシアの道』『うきうきお出かけ着物術』 など。

以前も言いましたが私は近藤ようこ氏のファンなので近藤氏のエッセイとあらばもちろん拝読します。近藤氏は折口信夫に憧れて国学院の文学科で民俗学を学んだという、自他共に認める【オタク】だそうですが…民俗学ってやっぱり?オタクなのでしょうか?民俗オタクとは史学科卒の私と通じるモノがありますね、やはり…。

自分は世の中のことに疎い、と近藤氏はこのエッセイでしばしば語ってますが、何の何のです。氏の著作を読めば、人と人との関係、社会というものに対する深い造詣と愛情が伝わってきます、だからこそ近藤作品は面白いのです。着物好きなところもイチイチ理由を挙げ連ねる点で、やっぱり立派なオタクぶりに感服。でございます。

これからも漫画を描き続けていただきたい、私の好きな漫画家さんです。

評価:(ファン必読)

鍵*乃南アサ

kagi.jpg高校2年の麻里子は両親を亡くしてから姉の秀子、兄の俊太郎と3人暮らし。母の死後、自分に冷淡になった兄との関係を麻里子は悩んでいた。その頃世間では奇妙な通り魔事件が頻発、犯人は女子高生のカバンばかりを狙っていた。そして麻里子の親友が麻里子宅から帰る途中にこの通り魔に襲われ。やがて通り魔事件の犯人は殺人死体となって発見されるが、麻里子にはこの一連の事件で兄に相談できずにいる秘密があったのだ。兄弟の確執、麻里子の悩み、そして通り魔事件。それぞれのもつれた糸がほどけていくにつれ複雑な事件の全容が明らかになってくる。
(乃南アサ)のなみあさ。1960年東京都生まれ。早稲田大学中退。広告代理店勤務等を経て作家活動に入る。『幸福な朝食』 で日本推理サスペンス大賞優秀作、『凍える牙』 で直木賞を受賞。主な著書に 『団欒』 『あなた』 など。

乃南氏の場面設定は本当に秀逸、そもそもなぜ 『鍵』 が麻里子のカバンに入っていたのだろう?それぞれの考えと方法で事件を解こうとする兄と妹、その確執は氷解するのだろうか。

途中からやや急展開になり2時間ドラマ的な雰囲気になってしまうが、兄 俊太郎、妹 麻里子、それぞれの心情が丁寧に描かれており、好感が持てる。見事なミステリー仕立て。

評価:(5つ満点)

私の男*桜庭一樹

watasino.jpg優雅だがどこかうらぶれた男。一見大人しそうな若い女。アパートの押入れから漂う罪の異臭。父娘はどこから来てどこへ向かうのか。時系列を逆に遡り父娘の壮絶な親子の愛情を描いた作品。第138回直木賞受賞作。
(桜庭一樹)1971年島根県生まれ。小説家、ライトノベル作家。フリーライターとして活動後コンピュータゲームシナリオ、ゲームノベライズ等を手がける。 『赤朽葉家の伝説』 で日本推理作家協会賞受賞、本作で第138回直木賞受賞。主な著書に 『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』 『赤×ピンク』 『青年のための読書クラブ』 など。

久々に直木賞受賞が納得の作品だが、この作品は大衆文学というよりむしろ純文学ではないのだろうか?などと思ってしまう。この頃ますます大衆文学(直木賞)と純文学(芥川賞)の区別が付きません。

現代から過去へ遡るという構成がまず面白い。娘である花と義父である淳悟の関係が徐々に変わっていく様を、なぜ時の流れと逆に描いたのだろうか?血は本当に水よりも濃いのか?家族とは何なのだろう。ただ頑なまでに排他的な花と淳悟の親子関係は、やはり血のなせる技なのだろうか?

正直展開が途中から見えてしまうところがマイナスだが、時系列を現在から過去へと逆にしているところが新鮮でプラス1。高校生から小学生の頃の花の視点が見事に描かれているところが素晴らしい。花と結婚する美郎が、なぜあの?花と結婚しようと思ったのがよく分からないけど…。美郎自身もつまらない男だし。ここに登場させることで淳悟と正反対の男を描きたかったのかな?

評価:(5つ満点)

3月のライオン*羽海野チカ

3gatulion.jpg東京の下町に一人で暮らす17歳の少年、桐山零。彼は幼い頃に事故で家族を失った。内弟子として入った将棋の師匠の家で、同じくプロ棋士を目指すその家の子ども達との軋轢、プロとしての軋轢、学校での孤独。様々な状況から人との関わりを否定してきた零の前に、近所で暮らすあかり、ひなた、モモの3姉妹、彼女たちとの交流を通じて零は少しずつ人との関わり方を取り戻していく。
(羽海野チカ)うみのちか。東京都生まれ。東京都立工芸高等学校デザイン科卒業。デザイナー、イラストレーターを経て漫画家に。  『ハチミツとクローバー』 で講談社漫画賞を受賞。

零はハチクロで言えばモロ真山。やっぱりウミノさん真山タイプがスキみたい。あとメガネフェチなのも間違いなし!しかし私は今シリーズでも森田タイプの晴信が気に入りました。

スミスと一砂は藤原デザインの野宮と山崎だし、ひなはあゆ、あかりはちょっと違うけど藤原デザインの美和子さんかな、オタクなところ?がおんなじだ。とどうもハチクロ目線で見てしまいますが、ウミノ作品はキャラクター設定とギャグのノリがやはり私好みなので、この作品も連載に大いに期待しております。

ハチクロがツボにハマった方には強力オススメです。次巻発売が待ち遠しいわー。

評価:(やっぱり女の子達が可愛いマンガはいい)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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