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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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ヒットラーのむすめ*J.フレンチ

musume.jpgみんな知らないけれど、ヒットラーにはむすめがいたのよ…。もし自分がヒットラーの子どもだったら戦争を止められただろうか?子ども達が戦争や親子関係について悩む姿を描く。オーストラリア児童文学賞、産経経児童出版文化賞JR賞受賞。
(ジャッキー・フレンチ)オーストラリアの児童文学作家。過去10年間に出版した本は100冊を越え10か国以上で翻訳出版されている。本作でオーストラリア児童文学賞受賞。


『もしヒットラーに娘がいたらどうなっていただろう?』 という創作ごっこをするぼくと友達のシーンと、友達が語るヒットラーの娘の物語が交互に挟まれる章立てになっている。のがかなり読みにくい…。極端に短い章もあり、これだけ短くするなら後ろの章に足してくれればいいのに?なぜこの構成?なんてことが気になってしまいあまり集中できなかった。

最後になぜこんな創作ごっこをしたのかの真実が明らかになるが、やや唐突な気もする。
子どもの目から見た戦争、について考えるいい機会にはなったと思う。

評価:(5つ満点)
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弁護士のくず

bengosikuzu.jpg人権派で知られる白石誠法律事務所。だがそこに所属する弁護士 九頭(くず)元人は裁判で勝つためならどんな手段も厭わないため 『弁護士のくず』 とまで言われている。破天荒で無茶苦茶な言動の九頭を中心に、弁護士事務所に舞い込んでくる様々な依頼を通じ思わぬ手法で依頼を解決する様や依頼の裏に潜む人間模様を描く。
(井浦秀夫)1955年長野県生まれ。早稲田大学卒業。東海林さだおのアシスタントを経てデビュー。『弁護士のくず』 で小学館漫画賞一般向け部門受賞、テレビドラマ化もされた。主な著書に 『職業・AV監督』 『AV烈伝』 など。

友人が 『弁護士のくず、読む?』 と貸してくれました。ずいぶん長いこと愛読誌だったビッグコミックオリジナルを買うのをやめて早数年…懐かしい。ということで久々にくずさんに会いました。

破天荒なんだけど依頼の解決方法は見た目に似合わず人情派?という九頭。相棒の後輩弁護士、マミ先生にセクハラをかけつつアドバイスを与えつつ後輩として鍛えつつ、共に事件を解決。ってところはカッコよすぎるけどマンガなので可。

弁護士事務所の所長 白石弁護士(TVにもよく出るが実は小心者)を始め、所長の息子で元引きこもりの寿仁也弁護士(じゅにや。こんな変な名前ばっかり出てくる、笑)、おっちょこちょいのマミ弁護士、そして生き別れになっていた娘の美月ちゃんなど、キャラクター設定も周到で楽しませてくれます。美月ちゃんはずいぶんしっかりしているからてっきり中学生くらいだと思っていたらまだ小5だった!なんてエライのかしら。

こういう事件あるよね、と思いつつも九頭ならどんな解決を?と毎回楽しませてくれます。読み物として楽しめかつちょっぴり裁判についても知識がつく、教養マンガです(えっ!?)。

評価:(5つ満点)

新潮(特集)源氏物語

sintyogenji.jpg◆特集 源氏物語◆【新訳・超訳 源氏物語】
夕顔(江國香織)/若紫(角田光代)/末摘花(町田康)/葵(金原ひとみ)/須磨(島田雅彦)/柏木(桐野夏生)

この企画は最高に面白い!と思い書店に走り、そして見事アタリでした。なんといっても【新訳】そして【超訳】ですよ、超約とはまた面白い言葉を作り出したものです、文字通り 『ハチャメチャな訳』 という仕上がりになってます。

このうち 『新訳』 の範疇に含まれるのは江國香織の 『夕顔』 、島田雅彦の 『須磨』 ぐらいで、あとはもう 『超訳』 。特に角田光代の 『若紫』 桐野夏生の 『柏木』 は良かったです。

『若紫』 舞台を貧しい外国にし、そこの女郎屋へ裕福な外国人の客(源氏)が通ってくるという設定。源氏は店のお姉さんではなくどうやら自分に興味があるようだ、と気付いた下働きの若紫は、源氏が自分をここから連れ出してくれるのではないかという期待を抱く。

『柏木』 大胆にも語り手を女三宮にしたところが素晴らしい。自分を躾けようと躍起になる源氏に最初から愛想を尽かし、同年齢の自分に執心している柏木に興味を持つ女三宮。浅はかな振りを装い柏木に自分の姿を垣間見させることから始まる、女三宮の源氏への復讐。実際に桐野氏の解釈通りでは?と思わせる、世の中の源氏びいきにやや不満の読者の気持ちを晴らしてくれる。

『末摘花』 これも新訳というか超訳というか…町田康のロック節で爆笑の末摘花のできあがり。ただでさえこの章はギャク的要素が高いのに、これじゃ本物のギャグで、町田氏にかかれば末摘花の侍女たちが食べていたという粗末な食事は 『じゃがりこをお湯にひたしたようなまずしい食べ物』 だそうだ!いったいそれはどんなものなのだー!

いずれも必読、いつでも貸出可です。

評価:(5つ満点)

長い終わりが始まる*山崎ナオコーラ

nagaiowari.jpg大学4年生の小笠原はマンドリンサークルに所属している。就職活動に熱心な同級生をよそに未来になどは興味がない。就職活動よりも人間関係よりも趣味のマンドリンに命をかけている。小笠原が求めるのは音楽性の高さ、そしてそれを共に理解してくれるはずの、好きな男。極端に対人関係が苦手の大人になりきれない少女を描いたほろ苦い物語。
(山崎ナオコーラ)1978年福岡県生まれ。国学院大学卒業。『人のセックスを笑うな』 で文芸賞を受賞。 主な著書に 『浮世でランチ』 『指先からソーダ』 など。

既読2冊に比べるとだいぶ小説らしくなったもののイマイチ全体的に 『浅い』 イメージしか湧かなかった。

小笠原が好きだった田中のDSをゴミ箱に捨てて初めて、彼に対して消化しきれない想いを抱えたいたことが分かる、つまりそこまで小笠原の感情の起伏がほとんど伝わってこない。山崎氏の描く主人公たちはみな感情の起伏に乏しく、若いというのに半分死んでる感じ。現代の若者の無常観、無気力を表現したいのかなと思いきや、小笠原はマンドリンサークル内での自らの地位、コンサートミストレスやパートトップの座に異常にこだわりを見せており、そういうことでもないらしい。
もっと強い意志を見せて欲しい。

しかしながら学業よりもサークル活動に重点を置いてしまう学生、の描き方はなかなか秀逸です。こういう方は確かに私の時代もいました。人生はバランスが大事かと思いますが、現代社会に生きるって学生であろうと社会人であろうと、難しいということでしょうか。

評価:(5つ満点)

よつばと!*あずまきよひこ

yotubato.jpg夏休みの前日強烈に元気な女の子 『よつば』  と 『とーちゃん』 の親子が引っ越してきた。外国の子どもらしいよつば、本当の親子ではない?様子のとーちゃん。破天荒なよつばはご近所さんを巻き込みながらも毎日楽しく精一杯生きている。よつばととーちゃん、おとなりさんととーちゃんの友達の触れ合いを描く。月刊コミック電撃大王連載を単行本化。
(あずまきよひこ)1968年兵庫県生まれ。主な作品に 『あずまんが大王』 『よつばと!』 。アニメ風の人物でのんびりとした日常を描く。 『あずまんが大王』 はTVアニメ化。 『よつばと!』 で2006年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。

人気なんです 『よつばと!』 。前から読みたいと思っていましたが、ようやくレンタルで7巻まで借りました。ハマりました。新刊8巻を買いに走ってしまいました。

(ところがその買った本をその日お店に置いてきて、遺失物係の方に 『よつばと!というマンガの8巻なんです…』 とか電話したことも今思い出しました。翌日取りに行ったら 『ああよつばと、8巻ですね』 警備のおじさんもよつばと好きなのかも??)

何が面白いのか?と聞かれるとちょっと答えにくいマンガです。別段、どうということないストーリー展開だからです。
毎日、よつばは在宅で翻訳の仕事をしているとーちゃんの仕事の邪魔をしながら、ほぼ毎日お隣りさんに遊びにでかけ、お隣りのお母さんやお姉ちゃん達に遊んでもらい、たまにとーちゃんが出かける時(納品?打合せ?)は近所に暮らすとーちゃんの友人で花屋さん(つまり自営で時間の自由があるという設定らしい)のジャンボが子守りに来てくれ、とーちゃんとジャンボの可愛くない後輩であるヤンダもよつばをからかいに遊びに訪れ…
その繰り返し。全然なんでもない(笑)。でもそのなんでもなさに妙ーーーに惹かれてしまう。

NHKの夜中にやっているサブカル:マンガ研究(って何だ?)みたいな番組で取り上げられていたのですが、エライ専門家の方々?の説明を聞いても良く分からんかった(笑)。でも現代的な要素が多く、現代マンガだとか言ってたような気がする。
確かに今までにないタイプ、ニュータイプってやつか?

うちには8巻しかないですが…皆さんもよつばちゃん読んでみてください。
今年は大人気の 『よつばとひめくり2009』 (4月始まり日めくりカレンダー)私も予約します。
ホント人気ですよ、ウソじゃないです。今年のよつばとひめくり2008、定価1500円位なんですがAmazonで9700円!!!!!ついてましたから!(ウソじゃないです)。
みなさんもぜひ書店で予約をオススメします。

評価:(5つ満点)

メタボラ*桐野夏生

metabora.jpg気がつくと僕は記憶を失い沖縄のジャングルを逃げ惑っていた。なぜ自分はここにいるのか、なぜ逃げるのか。記憶はなぜ失われたのか?孤独に苛まされる僕にギンジという名前を与えてくれたジェイク。ギンジとしてジェイクを頼りながら日々を生き抜くうちに徐々に蘇る僕の記憶。なぜ僕は記憶を失うまでに至ったのか。記憶と共に浮かび上がる虐待、家庭崩壊、ニート、ワーキングプアという過酷な現実。社会に搾取され漂流をよぎなくされた現代の若者である僕の姿を通じ、強烈に格差社会、搾取社会という現実を突き付ける。朝日新聞連載を単行本化。
(桐野夏生)1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。『顔に降りかかる雨』 で江戸川乱歩賞、『OUT』 で日本推理作家協会賞、『柔らかな頬』 で直木賞、『グロテスク』 で泉鏡花文学賞、『残虐記』 で柴田錬三郎賞、『魂萌え!』 で婦人公論文芸賞、『東京島』 で谷崎潤一郎賞を受賞。 また 『OUT』 で日本人初のエドガー賞候補となる。

久々に☆5の小説。冒頭記憶喪失で 『ぼく』 ギンジの物語がスタートするところからもう目が離せない。本当に夢なのではと思わせるほど恐ろしく迫ってくるジャングルの暗闇、そこから命からがら逃れ、自身の記憶喪失に気付き通りすがりで知り合ったジェイクに仮の名をもらうギンジ。ギンジはそこからまさに生きるために、歩き始める。

家庭環境もそれまで歩んできた道のりも正反対のギンジとジェイクの章が交互に繰り返される構成も素晴らしい。主人公がギンジだけならばここまでの説得力がない。

テーマは家庭内暴力による家庭崩壊、日雇い労働、学歴社会、派遣という名の請負労働、資本家による搾取、裏社会の仕組み、定住しない若者たち、外国へ逃避する外こもりの若者たち、そして選挙に熱狂する若い世代など盛りだくさん、現代社会の闇の部分をこれだけ盛り込んでストーリー展開のできる桐野氏の技量はやはりさすがとしか言いようがない。その 『世間という荒波』 の中に生きながらなおお互いの存在を求めあうギンジとジェイクの友情が、まぶしい。

いつも感じるのですが、桐野氏の描写はとても気配りが効いていて、安易に社会現象をなぞっただけの他の小説とは全くデキが違います。今回は特に家庭崩壊の章(デストロイ)には鬼気迫るものがありました。必読。

評価:(5つ満点)

ひとりの時間*華恵

hitorinojikan.jpg15歳の著者は暮らしの中でいろんな人たちとふれ合い様々な出来事に出会う。そこで感じ考えたことを少女らしい伸びやかな文章で綴る。webちくま連載に加筆、書籍化。 
(華恵)1991年アメリカ生まれ。6歳から日本に住む。10歳からファッション誌のモデル、女優として活動。2000年、2001年と全国小・中学校作文コンクール東京都審査・読売新聞社賞を連続受賞、2002年、全国小・中学校作文コンクール文部科学大臣賞を受賞。2003年にこれらをまとめた 『小学生日記』 を刊行。著書に 『本を読むわたし』 『ひとりの時間』 『キモチのかけら』 がある。

華恵ちゃんの著作3作目。前2作の高い評価からかなりの期待で読み始めましたが、残念ながら本作は前2作ほどの勢いがない。web連載だったそうで、おそらく読者それも自分よりも年上の読者を強く意識し過ぎていたのか、言葉を慎重に選んでいる感じでリズムがあまり感じられなく、正直読んでいてあまり面白くなかった。

それがあまりに残念で、友人に 『3冊目はあまり面白くなかったよ…』 と話すと友人は 『書きたくて書いた文章と書かされた文章じゃやっぱり違うんじゃない?』 。なんという的確な書評!その通りだと思います、webちくま連載は華恵ちゃんにとっては【仕事】だから。小学生日記時代に出てきた2番目のお父さんのことやお兄ちゃんモトイ君のことも非常に気を遣って書いたりわざと書かなかったりしているように感じました。それだけ華恵ちゃんが配慮のできる、大人になったということなのでそれはとても喜ばしいのですが…。

読者としては小学生日記の衝撃をもう一度味わいたい!と思ってしまうのです。それがもう小学生ではない著者に求めるのは違っているということも分かってはいるのですが。もちろん普通のエッセイとしても著者が若干15歳だということを踏まえても、本作は上質なエッセイであることには違いないのですが。

評価:(5つ満点)

4コマちびまる子ちゃん

4komamaruko01.jpg4komamaruko02.jpg2007年7月より地方新聞にて連載開始。北海道新聞、中日新聞、東京新聞、 西日本新聞、河北新報、神戸新聞、中国新聞、徳島新聞、新潟日報に掲載を単行本化。各巻収録は約4ヶ月分。
(さくらもももこ)1965年静岡県清水市生まれ。漫画家、エッセイスト。主な著書に 『ちびまる子ちゃん』 『神のちから』 『コジコジ』 エッセイに 『もものかんづめ』 『さるのこしかけ』 『たいのおかしら』 など。


ちびまる子ちゃんが新聞の4コマに!というニュースを友人から聞いた時は喜び勇んで、図書館2Fの古新聞コーナーに1ヶ月分まとめて見に行ったこともありました私でございますが、その後すっかり忘れてました。偶然にも会社で一緒だった方がちびまる子ちゃんが好き、と話していてそういえば単行本は出てるはずじゃないの?とハタと気付いた次第です。

もう既に2巻出てましたね、1巻はおよそ4ヶ月分。しかし読めば 『あっっっ!!』 という間でした。こういう時は早読みの自分が恨めしいです。

最初はぎこちないオチの4コマだったのですが徐々にさくら先生の4コマの腕が上がってくる様子が手に取るように分かるのが面白いです、読みたい方はいつでもご連絡くださいね。

評価:(ホッと一息。)

2007-07-03記事
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今週の私
急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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