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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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【再読】西の魔女が死んだ*梨木香歩

nisinoajoga.jpg中学に進んでまもなくどうしても学校へ足が向かなくなったまいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを西の魔女ことママのママ、大好きなおばあちゃんの家で過ごす。イギリス人のおばあちゃんはまいに魔女の手ほどきすることになった。魔女修行の肝心かなめは何でも自分で決めるということ。喜びも希望も、そして幸せも。その後のまいの物語 『渡りの一日』 併録。
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な著書に『からくりからくさ』 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 、絵本に 『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。

再読の重みがある一冊。映画化も大成功だったし。
『まいも、何がまいを幸せにするのか、探していかなければなりませんね。』
この一言に出会えた意味は大きく、深い。

自分が本当に心から幸せだと思える 『こと』 は何か。それを自分自身で知っている人がどんなに幸せか。
またそれを知るために人は生きているのではないだろうか。

『魂は身体をもつことによってしか物事を体験できないし、体験によってしか、魂は成長できないんですよ。(中略)春になったら種から芽が出るように、それが光に向かって伸びていくように、魂は成長したがっているのです』
魂は成長したがっている。だから肉体が必要、肉体がなければ経験ができないから。経験、良いことも悪いこともすべて経験。

MASTER OF LIFEを目指し、日々研鑽、日々精進。
いくつからでも、いつからでも読み返したい一冊。

評価:(5つ満点)

2004-07-27記事
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あいうえおみせ*安野光雅

aiueomise.jpg【こどものとも2008年7月号】あめ屋、石焼きいも屋、運送屋、えんとつ屋、おけ屋。『あいうえお』 と 『いろはにほへと』 で始まるお店屋さんが大集合。ページをめくるたびにたくさんのお店が現れます。どんなお店があるのか、どこでどんなものが買えるのか、絵をじっくり見て楽しむ絵本。著者31年ぶりのこどものとも書き下ろし。
(安野光雅)1926年島根県生まれ。画家、装幀家、絵本作家。美術のみならず科学、数学、文学などにも造詣が深い。原色や派手な色をほとんど使わない淡い色調の水彩画が特徴。主な著書に 『ふしぎなえ』 『天動説の絵本』 『ABCの本』 『旅の絵本』など。

ここ数年定期購読中のこどものとも。安野氏がこどものともに登場するのは実に31年振りとは!しかも前作は 『もりのえほん』 だって。とうの昔に古典?に入っている作品ですな。

変わらぬ優しい水彩画のタッチ、たくさん並ぶお店達。繊細な描写かつ風刺の効いた内容は、他の著書と同じく小さい子ども向けでは決してなくむしろ大人向けの絵本。本作もハードカバー化が待たれます、また大人へ贈ることのできる絵本のリストが増えて、嬉しい限りです。

評価:(5つ満点)

星に降る雪/修道院*池澤夏樹

hosinifuruyuki.jpg(星に降る雪)雪深い観測所で静かに働く田村。ある日亡き親友の恋人亜矢子が訪れる。親友の死を共に悼む2人。田村は彼を亡くした時の不思議な体験を語りだす。(修道院)クレタを訪れた私は古い修道院で見たイコンが縁で、その土地の老婆から不思議な昔語りを聞くこととなる。その古い修道院はある男がたった一人で修復したものだったのだ。不思議な体験を描く物語集。
(池澤夏樹)1945年北海道帯広市生まれ。都立富士高校卒業、埼玉大学中退。詩人、翻訳家、小説家。翻訳はギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。 『スティル・ライフ』 で中央公論新人賞、第98回芥川賞、『マシアス・ギリの失脚』 で谷崎潤一郎賞、 『花を運ぶ妹』 で毎日出版文化賞を受賞。主な著書に 『キップをなくして』 『静かな大地』 『きみのためのバラ』 など。
(収録作品)星に降る雪/修道院

池澤夏樹は 『祈り』 に対して特別な思い入れがあるようだ。2作ともに祈る男の物語。

【星に降る雪】 空へ近づこうとする主人公。親友の死の癒しがそこにあるのか?

【修道院】 ギリシャ・クレタ島の情景がありありと浮かぶ。『ぼく』 が老婆に伝え聞いた話、という設定であるのにいつの間にかそこにいるかのように物語に吸い込まれてしまう。

どちらも本の題名として出ていることから、どちらかに決められなかったんだろうなぁ。2つの作品がで区切られ題名とされている本は珍しい。

評価:(5つ満点)

続獄窓記*山本譲司

zokugokusouki.jpg刑期を終え出所したらすべてをやり直せると思っていた。ところが襲ってきたのは決して拭い去ることのできない、前科者という肩書、法的拘束。自己嫌悪や世間の悪意という数々の苦悩に苦しめられてきた著者が絶望の淵から立ち上がり、ライフワークと言える刑務所改革、福祉問題に真っ向から取り組む姿を克明に描く。
(山本譲司)1962年北海道生まれ。早稲田大学教育学部卒。菅直人代議士の公設秘書、都議会議員を経て国政の場へ。衆議院議員二期目の2000年、政策秘書給与流用事件を起こし、実刑判決を受けた。 著書に433日に及ぶ獄中の生活を記した 『獄窓記』、続編として 『累犯障害者 獄の中の不条理』 がある。

前2作が犯罪者となってしまった障害者の様子を伝えているのに対し、本作は山本氏自身の心情をより詳細に綴った作品。出所後どうしようもない劣等感に苛まれる日々、それはどうしてもぬぐいさることのできない大きな心の傷だった。家族へのコンプレックス、『世間』 へのコンプレックス、『社会全体』 へのコンプレックス。その中で同じ境遇の作家、阿部譲二氏との出会いや獄窓記出版に至るまでのポプラ社の人々との出会い、元議員仲間や出会った多くの人々に支えられ、山本氏が生きる道を模索し続けるところがよく描かれていて素晴らしい。

成長しよう、したいと思い続けそれを実現し、さらにそれを著書という形で素直に公表する山本氏、人として素晴らしいという思う。改めて出所した方々の抱えるコンプレックスについて、この本で少し理解できたと思う。

評価:(5つ満点)

別冊図書館戦争1*有川浩

bessatu01.jpgシリーズスピンアウト・第一弾!アニメ化御礼ベタ甘全開スピンアウト・別冊シリーズ第一弾!武闘派バカップル恋人期間の紆余曲折アソート!※恋愛成分が苦手な方は、ご健康のため購入をお控えください。(メディアワークスHPより抜粋)
(有川浩)1972年高知県生まれ。ライトノベル作家。2003年 『塩の街』 で第10回電撃小説大賞受賞、2004年同作でデビュー。『図書館戦争』 で2007年本屋大賞第5位、星雲賞日本長編作品部門受賞。主な著書に 『塩の街』 『レインツリーの国』 『阪急電車』 『クジラの彼』 など。

 今日は健康診断だった。その待合中に読了してしまった、正味2時間位?宣伝文句にある【恋愛成分が苦手な方はご健康のため購入をお控えください】に非常に期待していたというのに、外で読んでも大丈夫な位の内容でした(笑)。

郁と堂上クンの恋愛模様ももっとずっとスゴイ描写が来るのかと覚悟(期待?)していたのに、大したことないじゃん?柴崎の過去がまだ分からない、虐待に関係があるのだろうか?くらい。図書盗難、迷子、酔っ払いの新入占拠など小さい事件も盛りだくさんで、むしろ4巻の派手なドンパチより図書館に対するメッセージ性が高い作品では?などと思ったり。差別表現や児童虐待についても盛り込んであり、正直小説としての内容は4巻より良かった。

その合間に2人は恋愛しまくる…いいねぇ若い人達は(笑)。友人が 『小牧ムカつく』 と言ってましたが私もこの巻でますます…小牧さんムカつく(笑)。

評価:(5つ満点)

光の指で触れよ*池澤夏樹

hikarino.jpgかつて離れ離れになってしまっていた家族を結びつけた固い絆。その絆に結ばれていたはずの林太郎、アユミ夫婦は林太郎の不倫をきっかけにばらばらの暮らしを選ぶこととなった。林太郎は、アユミは、そして高校生の長男 森介はどこへ向かうのか。再び家族が一つになることは可能なのか。個とは、人のつながりとは、家族とは。生きることの意味を家族がそれぞれ追い求める様子を、風力発電、エコドルプ、農業への回帰など現代人の抱える悩みを絡めて描く。『すばらしい新世界』 続編、『読売新聞』連載を単行本化。
(池澤夏樹)1945年北海道帯広市生まれ。都立富士高校卒業、埼玉大学中退。詩人、翻訳家、小説家。翻訳はギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。 『スティル・ライフ』 で中央公論新人賞、第98回芥川賞、『マシアス・ギリの失脚』 で谷崎潤一郎賞、 『花を運ぶ妹』 で毎日出版文化賞を受賞。主な著書に 『キップをなくして』 『静かな大地』 『きみのためのバラ』 など。

このタイトルと、物語の冒頭に出てきた 『僕』 なる物語の著者である人物がラストまで出てこない、という2つの事実がイマイチよく理解できないが…まぁそれはいいでしょう。

林太郎とアユミという40代前半の夫婦の物語。40代前半というのは微妙な年代なのだろう、人生も終盤への準備に差し掛かり、そのための基盤も築き上げほぼ固まっているはずなのに、まだ何か変化を求めてしまう。

夫 林太郎の恋愛、林太郎自身は後悔はしていない。避けようのない出来事だったというが、果たして彼が50代、60代で同じ状況にあったら同じ道を選ぶだろうか?40代前半は人生で最後の分岐点、悩める年頃なのかもしれない。

アユミがどんどん成長していくのに対し林太郎はあまりそう感じられないと読了直後は思ったが、結果林太郎は退職という大きな決断をしたのだから大きく成長したということなのだろうか?

アユミが過ごしたコミュニティの有様も興味深い、アユミ自身が物語のラストで辿り着く藤ノ庄の地でもコミュニティを強く意識する。林太郎は会社、森介は全寮制の高校というコミュニティでそれぞれ過ごして来たのはアユミと全く同じだ、人はやはり何らかのコミュニティの中でしか生きられないということなのか?オランダ・アムステルダムの友人佐和子がまた印象的、アムステルダムの風景が懐かしい。

こう考えると、人生は誰にとってもやはり【旅】なんだろうなぁ。そして男の考え方と女の考え方は、やはりこうも違うんだな、同じ【人】という枠でくくるにはあまりにもムリがあるんじゃなかろうか?(笑)どんなに考えても成長しようと願っても、アユミは直感とも言える感覚で、結局林太郎と日本へ戻ることを決める。それでも人は悩む、最後はインスピレーションで決めるのに。

池澤夏樹は素晴らしい、どうしてこうも感性が瑞々しいのか?職業作家である。

評価:(5つ満点)

風花*川上弘美

kazahana.jpgのゆりは33歳の主婦。夫である卓哉とは結婚して7年、卓哉には恋人がいることが分かった。とまどいながらものゆりにも年下の男の影が。夫と妻、そして恋人達のすれ違う気持ちと心。移りゆく愛の形をのゆりの目線から描く。
(川上弘美)1958年東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。『神様』 でパスカル短篇文学新人賞、『蛇を踏む』 で芥川賞、『溺レる』 で伊藤整文学賞、女流文学賞、『センセイの鞄』 で谷崎潤一郎賞を受賞、『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。 主な著書に 『竜宮』 『古道具中野商店』 『ニシノユキヒコの恋と冒険』 など。

また泣いた。川上中毒再発。

のゆりはごく普通の主婦、名前だけが素敵というか名前くらい変わったものにしないと他に特徴がない、というほど平凡な主婦。これまで既読の川上作品に登場する女性主人公はみんな個性があったからのゆりという存在が珍しく、割に共感して読める。

淡々と流れていくようでその実のゆりは多くの人と出会い、触れ合い、考え方を変え成長していく。
『うちにいても外へ出て一人になっても寂しいのは同じ』
とまで考えられるまでに大人になったのゆりの成長はすごいと思う。

結局人は自分の2本の足で立って生きてゆくしかないのかなぁ、と思った。

評価:(5つ満点)

あなたの呼吸が止まるまで*島本理生

anatanokokyu.jpg舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。大人の自覚を持ちつつも自分がまだ子どもであることを自覚している朔の夢は作家になること。女の子達の他愛ない意地悪、気になる男の子の存在、そんな日常を送る朔に、突然暴力が襲う。彼女が選んだたったひとつの復讐のかたちとは。
(島本理生)1983年東京生まれ。立教大学文学部中退。『シルエット』 で第44回群像新人文学賞優秀作、『リトル・バイ・リトル』 で第25回野間文芸新人賞を受賞。主な著書に 『生まれる森』 『ナラタージュ』 など。

島本氏の恋愛モノじゃない小説って初めてかも?小6の少女の語り口が新鮮で、そしてちょっと怖い。身勝手な父親と暮らしているとこういう大人な子どもになってしまうんだろうなぁ。オトナな子どもとコドモな大人の物語、人を傷つける人と、人に優しい人の物語。

こういう話を読むと、やはり子どもに幸福な子ども時代を与えられないのは重罪だと改めて思います。

評価:(5つ満点)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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