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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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情報は一冊のノートにまとめなさい

issatuno.jpg100円でつくる万能「情報整理ノート」。分類・整理しても使えなければ意味がない。日記帳、行動記録、本の感想、家計簿といった書きもの、貼りものを全て管理できる万能のノートを作る方法を紹介、実際に情報を使うための一元化管理術を伝授する。 
(奥野宣之)1981年大阪府生まれ。同志社大学文学部卒業。環境、運輸などの業界紙で記者として活躍。雑誌、フリーペーパー向けに原稿執筆、写真撮影も行う。

話題作なので読んでみました。アイデアとしては参考にはなるものの、いかんせん100円B6ノートじゃ何となく情報が軽そうに見えるなぁ…少しビンボーくさいし(すみません)。
写真も貼るというのが抵抗あるけど、タグを付けてPCのテキストエディターで管理する、というのはかなりのアイデア、こちらは特許並み。

結論としてはやはり、情報管理には個人個人のやり方がある、ということですね。

評価:(5つ満点)

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新世界より*貴志祐介

sinsekai.jpg1000年後の日本。機械文明は消滅、新種の生物が闊歩する世界。人類は 『呪力』 と呼ばれる念動力を操り小さな共同体を作って生活していた。豊かな自然に囲まれた中、日本古来の伝統を重んじ生きる人々。しかしそれは厳重に管理された世界であったのだ。町と外界を隔てる八丁標、繰り返し説かれる悪鬼と業魔の存在、そして呪力に目覚めない子どもはネコダマシに消されるという噂。世界の本当の姿がどこにあるのだろうか。早季は学校の仲間とのキャンプで禁じられた区域に入り、そこで 『ミノシロモドキ』 に出会う。ミノシロモドキが語る世界の真実の姿とは。それは人類の血塗られた歴史であったのだ。一人の少女の成長を通じて人類全体への警鐘を突き付ける、著者構想30年の超大作。
(貴志祐介)1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。岸祐介名義で『新世界より』の原点となる短編「凍った嘴」でハヤカワSFコンテスト佳作。『十三番目の人格-ISOLA』で日本ホラー小説大賞長編賞佳作、『黒い家』 で日本ホラー小説大賞、『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞長編賞を受賞。主な著書に 『青の炎』 『狐火の家』。

久々に☆5、必読書。破綻なく1000年後の未来を描き切っており秀逸。呪力と呼ばれる念動波の能力を 『全ての』 人類が持つ時代という設定も、そうした超常の能力を 『全ての』 人が有するが故に生じる様々な問題も、見事に描ききっている。

『教育』『知識』 これが今後の世界で最も重要視されるだろうという意見に賛成だ。そして同時にこれらはもろ刃の剣であるという展開にも。人間の奴隷であるバケネズミの存在、バケネズミと人間の関係、人類のコミュニティのあり様、そしてコミュニティに 『教育』 されている子ども達が、新しい 『知識』 に出会う展開…素晴らしい。これぞSF小説、かなり満足です。

タイトルにある 『新世界より』 ドヴォルザークの 『家路』 これもまた物語全体を盛り立てている。現在のコミュニティまでの成り立ちまでの背景を知り、未曾有の危機を脱しコミュニティの責任者となった早季ですら、コミュニティを守るためまた同じ道を辿ろうとしているラストが、身に沁みる。人類が進むべき【正しい道】はどこにあるのだろうか。

評価:(大絶賛!!!)

花宵道中*宮木あや子

hanayoi.jpg吉原の遊女、朝霧は残り数年で年季を終えて吉原を出て行くはずだった。その男に出会うまでは…。生まれて初めて男を愛した朝霧の悲恋を描く受賞作ほか、吉原を舞台に遊女達の叶わぬ恋を綴った連作短編集。第5回女による女のためのR-18文学賞大賞、読者賞同時受賞。
(宮木あや子)1976年神奈川県生まれ。本作で  『女による女のためのR-18文学賞』 大賞と読者賞を同時受賞しデビュー。著書に 『雨の塔』 『白蝶花』 。

女による女のためのR-18文学賞、というのもやたらに興味深いですが、そういう視点(どういう視点?)でなくともこの作品は素晴らしいです。連作短編集として構成が完璧であり、素晴らしいの一言に尽きます。短編を重ねるごとに人物相関の複雑さ、設定の見事さが生きてくる感があります。

舞台に江戸・吉原を選び、そこでの因襲に縛られながらも日々生き抜いている遊女達のたくましさ、儚さ、愛しさを描いている作品。登場する女たちは本当に可愛い。午後、風呂屋の帰りに手をつないで茶屋へ行く、茶屋で切り子のコップをどれにしようかと悩む様子は幼い少女のようで、頼るものもなく心許ない身の寂しさを同じ境遇の遊女同士で慰めあっている様子を非常によく表現しており、作者の遊女ら登場人物への愛情が感じられるのだ。

連作としては夕霧の回が本当に見事、夕霧の弟 東雲が花宵道中の回に絡んでくるところもおおおっ!と思わせます。
間違いなく実力派。やはり素晴らしいの一言です、必読。

評価:(5つ満点)

鼓笛隊の襲来*三崎亜記

kotekitai.jpg戦後最大規模の【鼓笛隊】が日本列島に上陸する。義母と共に園子の一家では避難もせず防音スタジオもないまま、自宅で過ごすことになった。果たして無事に鼓笛隊をやり過ごすことができるのだろうか?9編のファンタジー短編集。
(三崎亜記)1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2005年『となり町戦争』第17回小説すばる新人賞受賞、第133回直木賞候補作。本作は第136回直木賞候補作(受賞作なし)。著書に 『バスジャック』 『失われた町』。
(収録作品)鼓笛隊の襲来/彼女の痕跡展/覆面社員/象さんすべり台のある街/突起型選択装置/「欠陥」住宅/遠距離・恋愛/校庭/同じ夜空を見上げて

三崎亜記3冊目。どれもそれなりに面白い、つまりのところどれもイマイチである印象は否めない。申し訳ないが話に勢いがない。

覆面社員
またしてもオチが見え見えのストーリーだが、一番現実味のある話でもある。
突起型選択装置
設定がよく引き込まれたものの、オチが最後の最後まで見えず 『で…?』 で終わってしまった感じ。
 「欠陥」 住宅/校庭/遠距離・恋愛
は三崎亜記らしい作品。

だがどれもさらっと表面だけを描きすぎな印象。もっと突っ込んで欲しい。

評価:(5つ満点)

はじまらないティータイム*原田ひ香

hajimaranai.jpg甥っ子の博昭ができちゃった不倫婚、離婚という事態に。伯母のミツエは博昭の元妻、佐智子を心配して訪ねるが、離婚のショックで彼女が奇妙な行動をとっていることを知る。そんな中、博昭の新妻はミツエの娘に近づき事態は複雑になっていた。第31回すばる文学賞受賞作。
(原田ひ香)1970年神奈川県生まれ。大妻女子大学文学部卒業。本作ですばる文学賞を受賞。 

ややあやふやな箇所もあるが、登場人物の性格が明快に描かれており分かりやすい。設定も面白さもさながら、それぞれが抱える個人的な悩みが予想に反して重く、考えさせられる。

ティータイム(くつろぎの時)は始まらないのだろうか?ラスト、ミツエのすがすがしい態度がよい。

評価:(5つ満点)

魔女の盟約*大沢在昌

majomeiyaku.jpg生き抜くために忌まわしい記憶の残る地獄島との関係に決着をつけた水原。しかし彼女自身が巨大な陰謀に利用されていたことを知る。逃げた韓国で知り合った中国の女性捜査官、白理とともに日本に戻った水原は、真実を暴く戦いに挑む。 『魔女の笑窪』 続編、『週刊文春』掲載を単行本化。
(大沢在昌)1956年名古屋市生まれ。慶応義塾大学法学部中退。『感傷の街角』 で小説推理新人賞を受賞しデビュー。『深夜曲馬団』 で日本冒険小説協会最優秀短編賞、 『新宿鮫』 で日本推理作家協会賞長篇賞、吉川英治文学新人賞、「新宿鮫 無間人形」で第110回直木賞、 『心では重すぎる』 で日本冒険小説協会大賞、『パンドラ・アイランド』 で柴田錬三郎賞を受賞。

『魔女の笑窪』 から約2年。久々に水原に会えて嬉しいです。久々の大沢作品、そして久々に息もつかせず一気2日読了でした。やっぱりエンタメ文学は大沢在昌だ!

前作 『笑窪』 で地獄島を爆破した罪を被り、水原は国外へ脱出、釜山へ逃亡する。だがその事件そのものが周到に組まれた罠でそれに自分が嵌められたことに気付いた時、 『借り貸しは必ず返す』 信条の水原はもう止まらない。

日本の広域暴力団がシノギを削る世界に、それにとらわれない、より強力な結びつきを持つ暴力集団が出てきたらどうなるか?日本で韓国の民族マフィア構想があり、水原はそれに巻き込まれていた…というストーリー展開はやはりお見事。相も変わらず警視庁、公安、果ては中国国家公安まで巻き込んでの丁々発止の攻防は今回もスゴすぎます…。

水原に平穏な日々はやはり永遠に訪れないのだろうか?ラストがまたしても(続く。)の予感。オカマの星川、運転手兼秘書の木崎という盟友も戻ってきたし、まだまだ水原の活躍が見られそうです。

評価:(5つ満点)

本からはじまる物語

honkara.jpg豪華執筆陣全18名による 『本屋』 『本』 をテーマにした18のストーリーを収録。ファンタジー、ミステリーなどバラエティあふれる掌編小説集。トーハンの書店向け広報誌 『しゅっぱんフォーラム』 連載を単行本化。
(収録作品)飛び出す、絵本(恩田陸)/十一月の約束(本多孝好)/招き猫異譚(今江祥智)/白ヒゲの紳士(二階堂黎人)/本屋の魔法使い(阿刀田高)/サラマンダー(いしいしんじ)/世界の片隅で(柴崎友香)/読書家ロップ(朱川湊人)/バックヤード(篠田節子)/閻魔堂の虹(山本一力)/気が向いたらおいでね(大道珠貴)/さよならのかわりに(市川拓司)/メッセージ(山崎洋子)/迷宮書房(有栖川有栖)/本棚にならぶ(梨木香歩)/23時のブックストア(石田衣良)/生きてきた証に(内海隆一郎)/The Book Day(三崎亜記)

こういうアンソロジーは読んでいない作家に会えるという楽しみがあります。しかしテーマが 『本屋』 または 『本』 と決まっているために仕方ないのかもしれないけど、似たモチーフの話がちょっと多いな…。本屋の本を客が勝手に入れ替えてメッセージを伝える、とか本が鳥のようにバサバサと飛ぶ、とか。でも同じ本が飛ぶという設定でも三崎亜記はやっぱり上手いなぁ。

いしいしんじ 『サラマンダー』
ナンセンス・ショートショートだけかと思っていたらこういうちょっと毒アリの話も書くんだ。なかなかです。
篠田節子 『バックヤード』
さすが上手い。展開も上手い。
山本一刀 『閻魔堂の虹』
時代物に形を借りたのが上手い。

梨木香歩は梨木香歩らしく、石田衣良は石田衣良らしく。たまに大ハズレもあったりしますがアタリが入っている可能性も高いので、アンソロジーは時々読まなきゃ、です。

評価:(5つ満点)

丹生都比売*梨木香歩

niotuhime.jpg大海人皇子と大友皇子が天智天皇崩御の後皇位継承権を巡って戦った壬申の乱を背景にした物語。大海人皇子の息子、草壁皇子は恐ろしい夢を見る。その意味も分からないまま、不穏な空気が立ちこめる吉野の宮で草壁皇子は言葉の不自由な女の子と出会う。彼女は何も言わなくても皇子に様々なことを教えてくれた。争いの中で皇子が出会った姫神、丹生都比売とは何者なのか、美しくも儚い物語。
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な著書に『からくりからくさ』 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 、絵本に 『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。

梨木氏得意の異世界モノ。壬申の乱をテーマに大海人皇子と妃(後の持統天皇)の間の子、草壁王子(後の天武天皇)を主人公に据えている。

皇位継承のため血でつながった同士が憎みあい戦う中、ひたすらに運命を受け入れた草壁。病弱ゆえか優れた感覚を持ち、丹生都比売の加護を受けていた、とあるのを梨木氏は少女に化身した比売と皇子が仲良く遊んでいたのだと表現する。

皇子を愛していながらも皇位のため子どもを倒さざるを得なかった持統天皇の哀しみと、儚くも父母や兄弟を思いやって生き抜いた皇子。不思議な空気が流れている、歴史絵巻である。

評価:(5つ満点)
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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