東京中で次々と起こる少女誘拐事件。犯人は黒い魔物だという噂が広がっていた。篠崎家の宝石と愛娘にその黒い影が忍び寄る。名探偵、明智小五郎は少女を守れるのか。そして真の犯人は一体?明智探偵と少年助手、小林芳雄君率いる少年探偵団の大活躍を描く。
(江戸川乱歩)1894年三重県生まれ。大正-昭和期の推理作家、評論家。本名、平井太郎。筆名はアメリカの文豪エドガー・アラン・ポーをもじったもので、欧米探偵小説を日本に紹介。日本推理作家協会初代理事長。少年向け冒険譚から本格推理、幻想奇譚まで幅広く執筆。1965年没。
第1王子が熱心に読め読めと勧めてくれた少年探偵シリーズ。やっと読んでみました。昭和初期の文学、非常に新鮮です。そしてそれに目下ハマりにハマっている第1王子も私には新鮮…。現在彼はポプラ社刊のハードカバーシリーズを月に平均2冊購入しています、ハードカバー本だけに付いてくる、表紙と同じデザインの栞を全部集めるのだとか…。
さて舞台が昭和初期であり、古い言い回しも 『玉川電車』 も何もかもが懐かしく新鮮で、またところどころに出現する 『読者諸君、考えてごらんなさい。』 という乱歩先生の呼びかけがまたおかしくて、物語の雰囲気を盛り立ててますね。
評価:(ママは辛口)
気持ちのいい春の日、きつねのきっこといたちのちいとにいはタンポポをいっぱい摘んで山向うのおおばあちゃんのところへ遊びに行きました。おおばあちゃんの留守を預かったきっこたち、スープの煮えるおなべの番をします。おいしく煮えたかな。 『きつねのきっこのおはなし』 シリーズの2作目。
(こいでやすこ)福島県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。インテリアデザインやグラフィックデザインの仕事を経て絵本作家に。 『とんとんとめてくださいな』 で銀の石筆賞(オランダ)を受賞。主な作品に 『やまこえのこえかわこえて』 『おおさむこさむ』 『ゆきのひのゆうびんやさん』 『とてもとてもあついひ』 『もりのひなまつり』 など。
こいでやすこ氏の代表作、きつねのきっこのおはなしの第2弾です。きつねのきっこは以前から知っていましたが、この絵本は最近知りました。現在5冊までシリーズが出ていますが、このお話がピカイチ!一番好きです。
きっこといつも一緒のちいとにい。一緒にきっこのおおばあちゃんのうちへ遊びに行きます。にんじんスープの番を頼まれたのに、ついつい味見をするうちにスープが少なくなって行って…。きっこたちが 『おなべおなべ、にえたかな?』 と聞くと 『にえたかどうだか食べてみよ、コト』 と返事をするおなべがいいですね。こんなおなべ欲しいなぁ。
評価:(5つ満点)
模倣犯事件のショックを引きずるフリーライター前畑滋子の元に、12歳で死んだ少年の母親から調査依頼が舞い込んだ。絵を描くのが好きだった少年は、スケッチブックに予言とも言える絵を遺していたというのだ。それは16年前に殺された少女の遺体の絵だった。しかし少年は殺された少女の事件が明るみになる前に死亡していたのだ。少年の目には何が見えていたのか。そして少女の死は何を残したのか。母親の少年への想いを汲み取り調査を無償で引き受けた滋子だったが、真実を突き止めようとすればするほど少年の 『予言』 と予言に描かれていた少女殺害事件に巻き込まれていく。事件はどこへ向かうのか。 『模倣犯』 に続く、宮部みゆきの真骨頂。
(宮部みゆき)1960年東京都生まれ。 『我らが隣人の犯罪』 でオール讀物推理小説新人賞、 『理由』 で直木賞、 『模倣犯』 で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
久しぶりに、読むのがもったいない小説でした。
続きを読みたい、でも読むと終わってしまうのが惜しい、下巻に入ってからは幾度となく残りページを確認してしまうほど。こんなに終わるのが惜しい小説は桐野夏生 『グロテスク』 以来です。やはり宮部みゆきの真骨頂、帰ってきた前畑滋子バンザイ!ですね。
2組の家族が象徴的に登場する。まだ12歳だった一人息子を亡くし孤独の身になった敏子。絵が得意だった彼は、普通の絵を描いたスケッチブックとは別に、 『おかしな絵』 ばかりを集めたスケッチブックを遺していく。この 『おかしな絵』 は一人息子の等が予言か透視の能力があったためではないか、と敏子は滋子の元へ調査を依頼してくる。
まずここで読者は、そして滋子も 『予言や透視など、そんなことはありえない』 という視点から等のスケッチブックの謎を切り崩していこうとする。しかし滋子が追えば追うほど等にはそうした能力が備わっていたのでは…という確信に近いものに近づいてしまうのだ。
評価:(宮部みゆきが日本語で読める日本人でいてよかった)
家族みんながあまり丈夫ではない一家に赤ちゃんが生まれました。やはり体が弱く何も食べたがらないのでお母さんは泣いてばかり。ある日子ども達に言われてテーブルにあったアボカドを食べさせてみたところ、ペロリと食べて赤ちゃんはものすごく元気で丈夫になりました。ピアノを運んだりエンストした車を押したり、泥棒まで追い返してしまいます。元気な赤ちゃんと家族の物語。
(ジョン・バーニンガム)1937年イギリス生まれ。絵本作家。 『ボルカ』 『ガンピーさんのふなあそび』 でケイト・グリーナウェイ賞受賞。主な作品に 『旅するベッド』 『ねえ、どれがいい?』 など。ナンセンス絵本が多い。
久々の大ヒット、バーニンガムの絵本ではピカイチですね!バーニンガムの絵本には良書が多いですが、やや難解なものも多い中、これはすごく分かりやすい内容です。
ズバリ、何も食べなかった赤ちゃんが、突然アボカドを食べてもりもり元気になってしまうお話。最初はイスのベルトをちぎったりベッドの柵を持ち上げたり、だったのにだんだんとおかあさんの買い物の荷物を持ったり、植木鉢を運んだり、そしてテーブルやピアノを運んだりエンストした車を押したり!エスカレートしていきます。
何と言っても圧巻なのは泥棒を追い返すシーン。5回位読んでもそこで笑ってしまいました。今はもう笑わずに読めますので読み聞かせもOK!
評価:(5つ満点)