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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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風の谷のナウシカ*宮崎駿

img20050821.jpgマトリックス レボリューションズを見てナウシカに似ている!と思い、全7巻を読み返してみました。改めて感じるその世界観の深さ。

本作は1981年から13年かかり1994年に完結したため、途中辻褄が合わない箇所が多少出ているとファンサイトで学習したり。 【1巻の最初に出てくる巨神兵の化石の頭の部分には『操縦席』がある】 とか。確かに操縦席がある!実際に6巻辺りから出てくる巨神兵は自分の意志で行動するので操縦はできません。

ナウシカは故郷 風の谷で人々が新生態系 【腐海】 に脅かされる日々を送ることに心痛し自身で腐海の謎を解こうとしてきた。狭い寸土を巡り起こる大国同士の戦争に否応なく巻き込まれ、戦場で人々や様々な事象に出会うことで世界の成り立ちについて思いを巡らせついに腐海が出来た謎を突きとめるのだ。

腐海は旧世界の 【遺産】 であった。正しくは遺産を残すための 【手段】 であった。
旧世界では戦争が激化しついにその裁定を行うために恐るべき破壊力と 【意志】 を持つ機械、巨神兵が製造された。汚染された大地は巨神兵により破壊しつくされ、その世界を 【作り変える】 ために 【腐海】 が人口的に作られたのだ。

ナウシカは作り変えられやがて再生される 【清浄な未来世界】 のために旧世界の遺産(芸術、文学、『人類の種』)が残された部屋やそれを守り続ける不老不死の機械(ヒドラ)を見つける。そしてこれらの 【世界の作り変え】 を画策した 『シュワの墓所』 すなわち 【意志のあるコンピュータOS】 と対決する。

評価:(5つ満点)
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リアルワールド*桐野夏生

img20050821.jpgある夏の日隣家の少年 『ミミズ』 が母親を撲殺する。女子高生 『トシ』 とその友人達はそれぞれ携帯電話を通じて事件に関わり、ある者は傍観、ある者は逃走を幇助するなどの展開に。逃げ続ける 『ミミズ』 そして彼に関わる4人の女子高生の心の内を描いた衝撃作。

この本はちょっと前に読みましたが、折しも大阪の十代のカップルがそれぞれの家族を殺害した上で心中する計画を立てていた、という事件を聞いて思い出しました。彼らにとっての 『現実』 が常識では計れない、とどの報道も伝えていました。

殺害を犯す男子高生 『ミミズ』 はじめ4人の女子高生はそれぞれの世界観 【リアルワールド】 を持つわけですが、果たして現実の社会でそれが自由(=権利)かどうか?というのが本作のテーマです。『ミミズ』 は自分の世界に沿わない母親を撲殺してしまった。しかしそれは彼にとっては 【正義】 であり、逃走幇助をする女子高生にとってもミミズの行為は 【正当】 であり、彼女自身の信念に従って幇助をするのです。

唯一常識に近いと思われる 『トシ』 でさえもミミズの行動や友人達が幇助していることを知りながら、傍観するのみです。そこに人との関わり方について独自の判断で行い、それが正しい事と疑わない現代人の恐ろしさを感じます。

とはいえ私もどうでしょう。私にとっての 【現実=リアルワールド】 は、他人から見るととんでもない物かも。何が常識で何が非常識か、もはや司法でも裁けない時代に来ているのかもしれません。

読了感は結構キツイです。

評価:(5つ満点)

ブレイブストーリー*宮部みゆき

bravestory.jpg東京下町で新設校に通う小学5年生の亘(ワタル)。気になる転校生美鶴(ミツル)の行動を追ううち、幽霊が出ると噂される建設途中のビルの扉から剣と魔法が支配する異世界【幻界(ヴィジョン)】へと旅立つ。怪物や呪い、厳しい自然など旅人に苛酷な運命が待ち受ける幻界で、そこで得た仲間と共に自らの運命を変えるべく【運命の搭】を目指すワタル。その願いは叶えられるのか?というファンタジー大作。

初めに申し上げておきますが、評価が低いのは決して本作が駄作という意味ではありません。むしろ宮部ファンタジーの本道だと思われます。にも関わらず評価3であるのは、私自身が宮部氏のファンタジーがあまり好みではないというだけです。

宮部氏の作品は大きく分けて【刑事物】【時代物】【ファンタジー物】とありますが、私が一番好きなのは【刑事物】であり『龍は眠る』『クロスファイヤ』初めとする【ファンタジー物】はイマイチ好きではないというだけです。理由は判然としないのですが、どれも少年少女が主人公で結末がにやや救い難いイメージがある、ということが理由でしょうか。途中まで夢中で読んでいてもどうも結末があまり好きに慣れない作品が多いのです。

本作は普通の小学生 亘が両親の離婚問題という現実世界に絶望感を抱き、その強い思いが精神世界である幻界への扉を開かせ、そこで冒険するというストーリーです。ワタル(カタカナになる)は現実世界での自分の状況を打破すべく自身の精神世界である幻界で、(現実での)願いを叶えることができる賢者が住むという運命の塔を目指し旅を続ける、という展開。幻界の成立理由やその世界観などドラクエ世代である私達には受け入れられやすい内容となってはいるものの、なぜ今『少年』を旅させるのか。そして少年はそこで何を学んだのか。そしてどのような想いを抱え現実世界へ帰っていくのか。そこがちょっとしっくり来ない。

評価:(5つ満点)

嗤(わら)う伊右衛門*京極夏彦

img20050821.jpg生来笑ったことがない生真面目な浪人・伊右衛門。疱瘡を病み顔崩れてもなお凛として生きる女・お岩。鶴屋南北 『東海道四谷怪談』 と実録小説 『四谷雑談集』 を素材に、伊右衛門とお岩夫婦の物語を新しい視点から描いた京極夏彦版 『四谷怪談』 。怪談というよりむしろ純愛小説としての色合いが強い。

今年の課題作家、京極夏彦1冊目をようやく読了。映画化も話題の本作は、あの四谷怪談を新たな視点で描いた点で、異彩を放つ作品となっている。

従来悪人として描かれたお岩の夫 伊右衛門が本作では善人として描かれた点が特徴。妻となったお岩は武家の娘として気高く生きるよう躾けられ育ったため、何事にも真直ぐ過ぎ、その結果生じてしまう夫婦間の衝突とすれ違いが悲しく描かれています。一旦2人は別れを選択するものの、全てのさがを解決した伊右衛門は、最後お岩と共に安らかな死を迎えるのです。

傘張り、ではなく大工をして生計を立てていた浪人出身の伊右衛門が、一体どこで剣の腕や策略を講じる頭脳を磨いていたのか、などちょっと伊右衛門が完璧?な点が少し気になりますが、お岩を大切に思い守ろうとする理由が 『縁あって夫婦となったから』 というようなあたり、世の男性陣にもぜひ見習って頂きたいです。

評価:(5つ満点)

テレプシコーラ*山岸涼子

terepusikora.jpg篠原六花はバレエ教室を開く母のもと、姉の千花とともにバレエを習ってきた。180度開脚が困難だと知ってバレエをやめようとした六花だが、転校生・須藤空美の踊る姿を見て練習を再開。千花とともにバレエコンクールにも出場、入賞を修める。千花はバレエ団の公演くるみ割り人形の子役クララに抜擢され、姉妹は協力して公演の日を迎えるもそこで思わぬアクシデントが。環境に恵まれた2人の裕福な姉妹と才能に溢れながら恵まれない環境の空美の存在が対照的な、愛憎渦巻くバレエ漫画。

『日出処の天子』 の山岸涼子が描くバレエ漫画。これが最高に今、面白い。

現在雑誌ダ・ヴィンチにて連載中。ダ・ヴィンチを買い始めた頃ついでに読み始めたのですが、もはやテレプシのために定期購読にしてしまったほど。バレエ、学業に優秀で努力家の姉 千花(ちか)と対照的にのんびりした性格の妹 六花(ゆき)を主人公に、薄幸の少女 空美(くみ)、バレエ教師の母、かつて母の所属していた日本を代表するバレエ団の大人達の愛憎に巻き込まれていく、めくるめくバレエドラマ。

最初のうちは天才的な才能を持つにも関わらずすさんだ家庭環境のためバレエのレッスンすらまともに受けられない空美と六花の出会いから始まるのですが、天真爛漫な六花を除く全ての登場人物が抱える心の闇が複雑に絡み合って、さすが山岸涼子!という内容です。毎号読んでいるにも関わらず単行本を揃えたくなる漫画に久しぶりに出会いました。ぜひ一人でも多くの方に読んで頂いて、一緒に感想を語り合いましょう。

【12月号のネタバレ】
公演でケガをした千花も無事退院。バレエ団のエリート水樹はローザンヌのスカラシップを無事取り帰国。千花や六花ら後輩に大きな希望と夢を与える。六花は中学受験に失敗し落ち込む日々だが、そこへ補欠合格の封書が届き母は歓喜。

評価:(満点継続中)

手紙*東野圭吾

img20050821.jpg親を亡くし、身体を壊して仕事も失った兄は弟の進学費用のために強盗殺人を犯す。残された弟に対する世間の風当たりの凄まじさ、全てを忘れて生き抜こうとする彼に、服役中の兄から毎月届く手紙。加害者の家族の苦難と再生を描いた東野圭吾版『罪と罰』。

東野圭吾の作品はどれも読みやすく、ついサラサラと読んでしまうが、今回の『手紙』は読み流す内容では決してない。

現代版 『罪と罰』 と言われるこの小説は、強盗殺人を犯した兄を持つ弟の生活を描いた作品。自分の進学のために強盗殺人を犯した兄を思う気持ちと、その兄のために【不当】に世間(職場、友人、地域社会)から差別を受け続ける事に対する強い反発とが、常に自分の中に存在する弟。『これで人生を掴めるかも知れない』と弟が思う瞬間に毎回障害となる兄の存在。その弟が差別と戦う意志を固めた時に投げかけられた会社の上司(社長)の言葉が物語のキーとなっている。
『君に与えられた差別は【不当】ではなく【当然】なのだよ。』
初め私もこの社長の言葉の意味がよく分かりませんでした。読後様々な書評を読んでもう一度ちょっと読み返してみて、やっと少し分かったような気がします。

この物語は決して犯罪の加害者の家族を擁護するものではなく、また同時に彼らに対する差別を凶弾するものでもないのです。服役中の兄との唯一の連絡手段 『手紙』 を通じて物語が展開する、趣向の凝らしてある秀作です。

でもやっぱり東野作品は 『サラサラと』 読めるのはどうしてだろう。この作品だけはもう少ししつこく心理描写などをしてくれてもよかったのに。細かい所は自分で考えなさい、ということでしょうか。犯罪の多発する現代社会では今後誰もが(加害者の家族に)遭遇する可能性のある内容です。

評価:(5つ満点)

旅の絵本5*安野光雅

img20050821.jpg前作から20年振りの新作。小舟でカタルーニャの漁村に着いた旅人は馬を手に入れ古くて広い国スペインをゆっくりと旅します。古い街並みの続くスペインならではの風景が克明に描かれ、ドン・キホーテやカルメン、スペインゆかりの画家の作品など隠し絵も随所に盛り込まれた作品。

前作 『旅の絵本4』 よりなんと20年ぶりという新作。安野光雅の絵本の中でも私のお気に入りのシリーズです。

Part5はスペイン編。今回も旅人は海からやって来て海へ去っていくのですが、途中訪れるスペインの街並みはどこか懐かしく清楚な雰囲気で、むしろフランスやドイツの田舎のようなイメージです。スペインへは一度行ったきりですが、私の中のスペインのイメージはもっと退廃的というか開放的で、人々は 『昼からサングリア』 というイメージでした。このいいかげん?な国民性のスペイン人がリヤドロを作っているのか〜と妙に感心したものです。

暑い夏の日にアルハンブラの急坂を登った思い出。海外旅行嫌いの夫がスペインなら行ってみたいな、と以前つぶやいていました。いつかまた訪れてみたい国です。

評価:(5つ満点)

こどものとも

img20050821.jpg福音館のこどものともをこの7年ずっと購読しています。最初の3年は第1王子の保育園で【ものがたりえほん36】というシリーズを取りました。これは福音館のベストセラー本の廉価版で一冊360円。その名の通り36冊3年間で揃いました。 『ぐりとぐら』 始め 『あさえと小さいいもうと』 『かばくん』 『めっきらもっきらどおんどん』 『だいくとおにろく』 等々私も読んだ本、知らなかった本にまた出会えて本当に嬉しいシリーズでした。今は定期購読のパンフレットに数年前から載っていないのでもう販売していないのかもしれません。とにかくこれは本当にオススメでした。

ものがたりえほんが揃ったので【こどものとも】を取り始めました。これは新刊本の定期購読です。懐かしい『だるまちゃん』『せんたくかあちゃん』 の新作や、佐々木マキ 『まじょのすいぞくかん』 の新作などシリーズの新刊であったり新しい作家の作品であったりと様々ですが、こどものともで出会ったのがカズコ・G・ストーンという絵本作家です。

色鉛筆画で描く虫達の世界の物語は、最初読んだときはその魅力に気付かず 『ふーん色鉛筆かぁ』 と思っただけだったのですが、第1王子が何度も読んで欲しいと言うのです。読んでいるうちに私も好きになってしまいました。それまでは私の好みで選んだ本を読ませていたので、子どもに本を勧められたという経験が新鮮で驚きであったという思い出深いシリーズです。

最近は買った日に読んだきり、という本もたくさん出て来てしまいましたが、先月号の 『もっとおおきなたいほうを』 は久々に面白くて何回も読んでいます。毎号ではないけれど、大好きなシリーズの新作やストーンのような新しい作家との出会いがあることを考えると、やっぱりこどものとも、まだまだやめられそうにありません。
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名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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