忍者ブログ

DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

対岸の彼女(抄)

img20050821.jpg30代既婚子持ちだが言いようのない孤独感に苦しむ 『勝ち犬』 小夜子と、独身子なしであり会社経営者として必死に生き抜いている 『負け犬』 葵。立場が違うということは時に女同士を決裂させる。女を区別するのは常に女。性格も生活環境も全く違う2人が葵の会社で出会い、上司と部下の関係を超えて女の友情は果たして成立するのか?それぞれの生い立ちから現在の家庭環境を通じ、女の友情について正面から捉えた意欲作。第132回直木賞受賞作。

img20050821_1.jpg今回の直木賞は角田光代。 『カドタ』 でもなく 『ツノダ』 でもなく 『カクタミツヨ』 です。簡単なようで難しい苗字だと思います。それはいいとして、なかなかの評判なので読みたいと思った。しかし1680円は高いな…そうか、雑誌 『オール読物』 を買えばいいじゃん。いつもの本屋に電話までしてカウンターで取り置きしてもらいました。ところがっ。

ハッと気がつくと 『直木賞受賞作 「対岸の彼女」 抄録』 とある。
抄録って…要するに 『抜粋』 のことです。
ああ、しまったあああ!意味ないじゃん!
PR

英語ができない私をせめないで!*小栗左多里

img20050821.jpgダーリンは外国人だけど実は私、英語が話せないんです。英会話スクールに行ってみたし、ネットで勉強してみたし、ラジオ英会話も聞いてみた…。で、どうなの? 『ダーリンは外国人』 の著者が様々なスクール体験を通じて英語学習のノウハウに迫る。

小栗さんのダーリン、トニーさんは英語ネイティブの上日本語、中国語、韓国語、タイ語…とキリがないほどの語学に堪能だそうです。要するに語学を学ぶことが楽しくてたまらない、という語学オタクタイプ。そんな人がダンナさんならこちらは日本語のみでも十分生活できるのでちっとも英語力が向上しない、というのが小栗さんの悩み。確かに…。

でその小栗さんが企画がてらやってみたのが、本書に出てくる様々な英語学習法。スクールも様々な形態のものがあり、読んでるだけでも楽しめます。でも驚いたのは日本でちやほやされて、得意になっている英語講師という人が結構存在する、ということですね。万国共通なのは、学ぶには謙虚な姿勢と不断の努力が必要ということですっ。

小栗さんのマンガのファンの私はそれだけでも楽しめます。結局は、英語力上達には本人の不断の努力しかありませーん。というのが本書のまとめなので、読んでも英語力は直ちに向上しません、あしからず(笑)。

評価:(5つ満点)

ダーリンは外国人*小栗左多里

img20050821.jpgイラストレータである著者がNGO代表のハンガリー系アメリカ人の彼と暮らしてみたら…。毎日の習慣の違い、感情表現の違いなどトラブルの素となりがちなものを愛しさへと変えてしまうのは、小栗マジック?それとも単に面白すぎるトニーの性格?国際結婚の 『現実』 をマンガで描くエッセイ。単なるノロケ話ではなく、コミュニケーションについて考えさせられる、楽しくてためになる一冊。

以前よりこの本が話題になっていることは知っていましたが、わざわざ買うこともないだろうと思っていました。ところがちょっと待たされた銀行で読んでみたら…思わず声を出して笑ってしまいました。こりゃあ買うしかないっ。早速オンライン書店で1巻2巻を頼んでしまいました。

何と言っても2人のキャラクターとそのエピソードの構成(演出)が上手いですね。小栗さん演劇の演出とか出来るかもしれないな。日本人同士で結婚してもカルチャーショックはあるというのに、小栗さんはそこをしっかりと受け止めて楽しんでいるのでしょうね。ま、小難しいことはともかく、楽しいの一言です。2人はそれぞれの家族と離れて暮らしていますが、離れていてもなお互いに行き交う時は気を遣い合い、労わりあっている様子がよく伝わって来ます。お互い分からないものを努力して理解し合おうという気持ち、それが一番ですよね。

とにかくまだご覧になっていない方はぜひご一読を!すぐ送りますよ。

評価:(5つ満点)

娼年*石田衣良

shounen.jpg女性客を対象とした高級デートクラブで男娼として働き始めた20歳の大学生リョウ。客である女性たちが彼に求めるものとは何か?自分が彼女らに与えられるものとは何か?クラブのオーナーやオーナーの娘、男娼仲間らそれぞれ悩みを抱える人々との交流を通じ、普通の大学生だったリョウの男娼としての成長を描く。

石田衣良、初めて読みました。人気の秘密が分かったような気がします。内容から言っても性描写が非常に多いのですが、男性作家が書いたとは思えない内容でした。さわやかというかさらりとした感じ。なるほど石田衣良のファンは女性が多いのかもしれません。あと最近増えている中性的な男性にもウケているのかもしれません。

ストーリーも破綻なくよく出来ており、デートクラブオーナーの抱える悩みやその娘とのやりとりなど、これまでの人生では関わりのなかった人々の存在を知り交流することで、リョウ自身もこれまで目的もなく流されて生きてきた自分の存在というものを意識し始めます。モラトリアム脱出ですね、羨ましい(私も脱出したいわ)。

それにしても1時間1万円でリョウのような人が来てくれるなら、私も頼みたいわ(笑)。いいなぁと思ったのは、リョウとの時間に渋谷の青山ブックセンターへ行き、重たい画集をたくさん買いそのまま原宿の自宅へと運ばせた40代の女性客。 『1人だと欲しい本があっても持って帰れないでしょう』 と彼に言う彼女。

私も、重い本をたくさん買ってくれて(女性客は自分で買っていたけど)持って帰ってきてくれる人が欲しいよぉ!(笑)

愛情をお金で買う。難しいテーマを書き切った石田衣良に拍手です。

評価:(5つ満点)

嫌われ松子の一生*山田宗樹

img20050821.jpg東京で学生生活を送る笙(しょう)の元に突然やってきた父。その存在すら知らなかった伯母松子が東京で変死を遂げたとだけ告げ、彼女の住いの後片付けを笙に頼み父は帰郷した。恋人と2人そのアパートを訪れ見た彼女の残した生活の痕跡から、伯母松子の生涯を辿ることを決意した笙。30年前松子24歳。才色兼備と評判であった彼女が教職を追われ故郷から失踪した夏。その時から始まった松子の流転の人生を、笙と松子の一人称を切り替えながら辿ってゆく。最後まで愛を求めて奔走した1人の悲しい女性の生涯を描く。

私にこの本を貸してくれた友人も、既に読み終えていた別の友人も、 『松子にイライラさせられっぱなし』 とメールで言ってましたのでどんなイライラする女が出てくるのやら、とビクビクしながら開いてみました。何のことはない。私のことが書いてあるのかと思いました(笑、って笑えない)。

松子の人生はまさに転落の日々。人間ここまで落ち切ってしまえるのか、と思うほどの運のなさというか、男運のなさというか。でもそんなダメ男ばかりを捕まえているのは松子自身なんですね。さまざまな書評に 『最後まで幸せを追い求めた1人の女の物語』 のように書いてありますが、確かに松子側から見ればそうかもしれませんが、幸せというのは1人で築けるものではないのではないでしょうか。

評価:(5つ満点)

ICO 霧の城*宮部みゆき

img20050821.jpgその村に頭に角が生えた子どもが生まれたならば、その子は13歳になれば 『霧の城』 へ生贄として差し出さなければならない。それがいにしえからの盟約なのだ。もし盟約に背けばたちまち霧の城の主である闇の女王は世界を滅ぼしてしまうだろう。そしてその年、若い夫婦の間に生まれた男の子には、角が生えていた。
同名のプレイステーション版ゲームソフトに触発された作者が書き下ろしたことで話題になった、ファンタジー小説。ちなみにこれを読んでもゲームの攻略には全然関係ないそうです。


以前も書きましたが、私は宮部さんのファンタジーはあまり好きじゃないはずなのにっ。どうしてまたファンタジーを選んじゃったんだろう。

全体としては悪くはないです。ただ宮部さんのいつもの悪い癖?で2章辺りの記述がしつこすぎる。いつもそう、真ん中辺りがしつこすぎる。今回の作品はゲームソフトからここまで発展させた、という点で賞賛に値するのではないかと思います。ってこのゲーム見てないくせに言うのもなんですけど。
1章の物語の設定の箇所や、3章の霧の城の全盛期の頃の物語は描写もとてもよく、楽しめました。

毎回宮部作品のファンタジーを読んで思うのは、この人は本当にこういうファンタジーの世界を愛しているんだろうな、ということですね。同じ人が 『火車』 『模倣犯』 書いてるなんてねぇ。

以前大沢在昌先生の講演会で先生が宮部さんのことを 『みゆきちゃん』 と連呼していましたが、確かに 『みゆきちゃん』 ってタイプなんだろうと思います。だから宮部さんにとっては時々ファンタジーを書いて心のバランスを取るのが必要なのかもしれないな、なんて思ったりしてます。

評価:(5つ満点)

アルバイト探偵 拷問遊園地*大沢在昌

img20050821.jpg死んだ取引相手の男が引き渡した荷物とは、籠に入った生きた赤ん坊だった!?依頼人が行方不明となり事件の謎を調べ始めたアルバイト探偵隆クンは、2人組みの男に拉致されてしまう。不良中年私立探偵 冴木涼介の息子と知れた隆クンは、死ぬより怖い拷問が待ち受ける遊園地へと連れ去られた。秘密組織と戦う父子探偵に迫る危機。

ついに隆クンは涼介親父のエージェント時代の宿敵に捕まってしまい、死ぬより怖い拷問が待ち受ける拷問遊園地へと連れ去られる。というのが物語の山場かと思えばそうではありません。かなり最初の方で拷問にかけられる隆クン。そして決して明かしてはいけない大切な人の居場所を明かしてしまう。

敵の拷問に負けた屈辱。男としてのプライドをズタズタに引き裂かれ、隆クンは一回り、二回りも大きくなった!というわけで今回も親父殿と一緒に内閣調査室の依頼及びバックアップを全面に受け、冴木インヴェスティゲイションは国際テロ組織複数と闘います。今回の敵もみんな強い強い、隆クンの悪運の強さったらないですね。

また取引の品物が生きた赤ちゃんだった、で始まる今回の物語の作りも秀逸で、大沢作品では軽めの本シリーズですが、決してあなどれないですよ。

これでついにアルバイト探偵シリーズ全部読み終えちゃった。嬉しいよりも残念な気持ちの方が強かったりします。 『またまた帰ってきたアルバイト探偵』 に大いに期待しましょ。

評価:(5つ満点)

図書館の神様*瀬尾まいこ

toshokannokamisama.jpg高校時代清(きよ)は部活動のバレーボールに打ち込んでいた。熱心な余りに出てしまった一言が事件を巻き起こし、そこから清は全ての夢を諦め、地元の大学の文学部を卒業し国語教師として海の見える高校に赴任する。無気力な彼女に命ぜられたのは部員がたった1人しかいない文芸部。学校の図書室での2人の部活動を中心に育まれていく、傷ついた人々の心の交流と再生を描く。

著者である瀬尾まいこは実際に中学校で講師として教鞭を執っている先生だそうです。新刊が出るたびにダ・ヴィンチに写真が載っていますが、確かにのんびりした可愛い先生って感じ。ダ・ヴィンチ連載のエッセイも学校での出来事を中心に気負いなく書かれており、素のまんまこういう人なんだろうなぁ、と感じさせられる人です。それにどんなに本が売れても自分は教師を辞めないだろうと言っていた。いいなぁそう言い切れるのも。

だからあのほんわか先生モードが彼女の演出だったらかなりショックだなぁ(笑)。

舞台は学校ですが決してさわやか青春物ではなく、青春の代名詞である運動部での部活動でそれぞれ傷ついてきた清と文芸部部員の高校生が、それぞれの過去とはおよそ縁遠かった文芸部(図書館)という場所で出会い交流する、という物語。清の人生は高校時代から散々で、高校教師になってからも不倫はしてるわそれにも恵まれないわ、傍から見ていると若いくせに不運どん底のような毎日なのですが、それでも毎日を生き抜きいずれ再生への道を歩き始めようとするのは、周囲の温かい人々のおかげなのでしょうね。

それが時々訪ねてくる弟だったり、高校の同僚だったり、高校時代清が起こした事件の被害者(と言い切っていいものかどうか)の遺族だったりするのですが、そこへ文芸部の生徒である高校生の男の子とのやりとりが微妙なところ。不思議な関係です。

人は意識しないうちにお互いに影響を与え合って生きているものなのかもしれません。それに気づかせてくれたのが、図書館の神様。
ということで。

評価:(ちょっとオマケ)
カウンター
ツイッター始めました
今週の私
急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
只今読破中
木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
読書 映画鑑賞 観劇
かぎ針編み プール
ハマッてます:
車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
ブログ内検索
最新コメント
[10/14 菜摘]
[10/12 さつき]
[05/08 菜摘]
[05/08 小琴]
[03/19 菜摘]
アクセス解析

Copyright © DaisyAKM Archives : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]