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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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火消し屋小町*逢坂みえこ

hikesi.jpg夏子は内定が決まっていた会社の倒産により、消防士の試験を受け合格。消防学校に入校するも破天荒な性格で周囲を乱す行動ばかり。どうにか卒業して配属された沼川出張所でだんだんと消防士としての自覚が芽生えるのだが。第一線で活躍する女性消防士夏子の活躍を描く。ビッグコミックオリジナル不定期連載(1988~2004)を単行本化。
(逢坂みえこ)1957年大阪府生まれ。関西大学文学部卒。漫画家。主な作品に 『ベル・エポック』 『育児なし日記vs育児され日記』 など。


ずっと我が家にはこの1、2巻だけあり、ふと思い立って3、4巻も無事古本屋で買ってきました。やっと揃ったぞ。足かけ16年の連載…はそうだっけ、本当にそんなにかかった?短大卒業後内定が決まっていた会社の突然の倒産により、好条件・公務員というだけで選んだ消防士試験に 【たまたま】 受かった夏子。同期の4人の女子学生と共に消防学校で半年間学び、現場に出るというストーリーなんですが。

連載時もよく 『本作品はフィクションです。実際に夏子のように現場で消火活動にあたる女子消防士はおりません』 というようなことが掲載されていたように思えます。実際、重いホースや装備を背負い、火事現場に女子が入る、というのはなかなかに非現実的ではありますが、単にヒーロー、じゃなくてヒロイン物ではなく現場の消防士達の葛藤、成長を女子という立場から描こうとした作者の想い、結構共感できます。破天荒な現代ムスメの夏子、消防学校同期の生真面目ムスメ相原、消防士だった夫と離婚して自分も消防士を目指すバツイチ山田、薬剤師を辞めて消防士を目指す既婚者岡、という個性豊かな消防学校の同期学生達、夏子が配属された沼川署の面々との丁々発止など、ギャグ要素も盛り込みながら消防の仕事に真っ向から取り組んだ本作、骨太で非常にいいです。

どうも、私こういうお仕事モノに昔から弱いらしく、特に普段見聞きすることの少ない消防士のお仕事なんて、連載時も非常に興味深く読ませていただきました。イッキ読みも楽しいですね。青年誌掲載ですが女性誌連載の多い逢坂氏、男性にも女性にも楽しめるマンガとなっております。もちろん恋愛模様もあります。

夏子のように、自分の生きる道を見つけて邁進して生きたいものですね。消防士を目指す人も目指さない人も、ぜひご一読を。

評価:(昔のオリジナル掲載作品はどれも本当に面白かった)
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しごとのはなし*太田光

sigoto.jpg夢、珈琲と煙草、お金、ジェネレーション、発想とオリジナリティ、漫才、孤独と友達。爆笑問題 太田光が 『しごと』 のあれこれをいつもよりちょっとだけまじめに語る。『ぴあ』 連載を再構成して単行本化。
(太田光)1965年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部中退。お笑いタレント、漫才師、エッセイスト。田中裕二と 『爆笑問題』 結成。著書に 『パラレルな世紀への跳躍』 『マボロシの鳥』 他多数。近著に 『文明の子』 。


太田さんの文章の魅力は、何と言っても言葉でうまく表現できない微妙なニュアンスをいつもピタッと表現してくれるところだと思うのです。

たとえば、外を歩いている時に、ふと風が吹いて、ふわ~っと頭をなでられると気持ちがいいじゃない?あれって、ふとした風を感じることで自分の存在が確認できているから気持ちいいと思うのね。(中略)会話ですら、他者とコミュニケーションをとることで自分自身を確認している行為だと思う。ふとした風や他者だとか、自分以外のなにかが自己の存在を確認させてくれるということ。違和感と言ってもいい。そんな違和感をたまに感じられていないと、人間って生きていけないんじゃないかと思う。(珈琲と煙草のはなし P34,35)

この段落を読めただけで、この本読んでよかったー!と思えること。それが、本を読んでいて何よりも楽しいことではないでしょうか。巷に溢れている沢山の活字、活字、活字、その中からふと見つけ出すことのできる、きらめきを放つ一文。いやーいいですねぇ(笑)。

そんな一文に出会うために、今日も読み続けるのです。太田さんについては賛否両論、好きと嫌いと皆さん分かれているかと思いますが、私はもちろんこうして彼の文章を好んで読むくらいですので太田さん自身も好きです。新しい小説 『文明の子』 にもまた大いに期待してます。

評価:(それにしちゃ評価低い?笑)

漁港の肉子ちゃん*西加奈子

nikuko.jpg男に騙されてたどりついた北の町。太っていて不細工で、とても明るい私のお母さん、肉子ちゃんは港の焼き肉屋で働いている。小学生のキクりんの目から肉子ちゃんとの生活を描く。『パピルス』 掲載に加筆修正して単行本化。
(西加奈子)1977年テヘラン生まれ大阪育ち。関西大学法学部卒業。『通天閣』 で織田作之助賞受賞。主な著書に 『あおい』  『さくら』  『うつくしい人』  『きりこについて』 など。


愛すべきトンデモキャラは西加奈子の定番ですが、西さんはどちらかというと人生逆境にありながらも逞しく明るく生きてる人々にスポットを当てて描くのが大好きですね。肉子ちゃん母子が抱える大きな大きな悩みすら、それすら飲み込んで包み込んでしまう肉子ちゃんの包容力は、やはり 『愛』 でしょう。あまりの衝撃的な展開に、読者は同情すらできずただひたすらボーゼンとなるも、当の肉子ちゃんとキクリンは明るく生きていく。

今回の装丁も西加奈子画伯によるものです、小説も書けて絵も描ける。くーいいなぁ芸術家(笑)。

評価:(5つ満点)

転迷 隠蔽捜査4*今野敏

tenmei.jpg相次いで変死した2人の外務官僚。捜査をめぐり公安委員会、外務省とのトラブルが発生する。そんな折り娘の恋人が海外で消息不明となる。降りかかる難問の連鎖を大森署署長 竜崎伸也はどう解くのか。隠蔽捜査シリーズ第4弾。 『小説新潮』 連載を単行本化。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。


このワンパターンぶりが毎回楽しい、隠蔽捜査シリーズ。とにかく最後には 『自分が責任を取る』 と言い切る竜崎署長、プロフェッショナル中のプロフェッショナル!ちょうど見ていたドラマ 『相棒』 で警視庁の管理官が 『もしこの作戦が失敗したら、俺は知らなかったことにしておけよ』 と言うのと真逆で、笑ってしまいました。

2つの殺人事件。1つは猟奇殺人、1つは悪質なひき逃げ。それらが徐々に絡まって1つの事件につながっていく様子、公安外事部、外務省も絡む大事件。見えなかったつながりを強引な推理力でつなげていく竜崎の野性の勘は、いつものお決まりパターンながらやはり小気味よいです。

いつまでも続いて欲しい、隠蔽捜査シリーズ。ドラマ化もやらないかなー。誰が竜崎で、誰が伊丹になるかな?

評価:(5つ満点)

舟を編む*三浦しをん

funeamu.jpg辞書編集部に異動した馬締(まじめ)は新企画である辞典 『大渡海』 の編纂チームに加わることとなる。辞書を愛する個性的すぎる仲間、問題山積の編集部、自身のままならぬ恋。愛すべき変人たちが恋に仕事に右往左往、果たして社運を賭けた大渡海は編み上がるのか? 『CLASSY.』 連載を単行本化。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『秘密の花園』 『光』 『風が強く吹いている』 など。


奇妙奇天烈なキャラクターが活躍するのはいつものしをんちゃんの小説ですが、今回辞書編纂室という、言葉を愛しすぎてる変人達の集まりをここに据えたのが面白いですね。辞典ってこういう風にできるわけか…お仕事拝見、フムフム。ですな。そしていつの時代もどこの世界でも、プロフェッショナルというのは真にその対象を愛し、24時間そのことを考えている人達なんだなぁ。とつくづくこの本でも感じてしまいました。登場人物への愛。いつもしをんちゃんの小説ではそれを感じますね。

どんな世界でもエンタメにしてしまう、しをんちゃんの筆力に今回も拍手。

評価:(5つ満点)

金色の獣、彼方に向かう*恒川光太郎

kiniro.jpg樹海に抱かれた村で暮らす大輝は、ある日金色の毛をした不思議な生き物と出会う。ルークと名付けて飼い始めるが次第に大輝の体に異変が。古より潜む、見えざる物の怪の物語。『小説推理』 掲載に書き下ろしを加えて単行本化。
(恒川光太郎)1973年東京都生まれ。沖縄県在住。 『夜市』 で第12回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。主な著書に 『雷の季節の終わりに』 『秋の牢獄』 『草祭』 など。
(収録作品)異神千夜/風天孔参り/森の神、夢に還る/金色の獣、彼方に向かう


今回一番良かったのは最初の 『異神千夜』 ですね。元寇の裏にこんな真実があった…という物語。こういう 『もしも』 話、ファンタジーは本当に心惹かれますね。森の中で出会った男が実は歴史を揺るがす史実を担っていた。その史実の裏にいた者は…。ちょっと怖くなります。

『風天孔参り』 は以前も似たような話があったような。不可思議現象の裏にはこういう事実が…というストーリーで、平凡に見える事件(失踪)も実は異世界とつながっている人達の仕業かもしれない、と思わせてくれます。いつも思うのですが恒川作品を読んでいると、文章が巧いとか思う前に一気にその世界に引き込まれる、というか取り込まれているような気がするのです。それももしかしたら物の怪の仕業かもしれないっ。

この異世界体験、やめられません。次回作にもまた大いに期待しています。周りにも恒川光太郎ファンがもっともっと増えて欲しいです。

評価:(5つ満点)

絆回廊 新宿鮫X*大沢在昌

kizuna.jpgやくざも恐れる伝説的アウトローが警察官を殺す、との情念を胸に長期刑を終え新宿に帰ってきた。強烈な存在感を放つその男を阻止すべく新宿署刑事 鮫島は捜査を開始するが。『ほぼ日刊イトイ新聞』 連載を単行本化。
(大沢在昌)1956年名古屋市生まれ。慶応義塾大学法学部中退。『感傷の街角』 で小説推理新人賞を受賞しデビュー。『深夜曲馬団』 で日本冒険小説協会最優秀短編賞、 『新宿鮫』 で日本推理作家協会賞長篇賞、吉川英治文学新人賞、「新宿鮫 無間人形」で第110回直木賞、 『心では重すぎる』 で日本冒険小説協会大賞、『パンドラ・アイランド』 で柴田錬三郎賞を受賞。


実はー新宿鮫。初めて読みました。読み切りは読んだことがありましたが、鮫島さん、もっとスカしたヤツかと思っていましたが結構人間くさいしそんなにスマートじゃないし、好感持てました。恋人のミュージシャン晶は芸能人にしてはハードボイルドすぎてこちらはちょっとウソっぽいけど。現代に舞台を設定したファンタジーですね、これは。

でも大沢先生の取材力はやっぱりすごいです、なるほどーといつも思ってしまいます。いつも思うのですがヤクザがカッコよく描かれすぎですね、大沢先生のヤクザのファンが多いのではないでしょうか?

ニューナンブでヤクザと渡り合う一匹狼 鮫島、格好良すぎです。シリーズは本巻でもう10巻目、シリーズの中でオススメがありましたらぜひ教えてください。

評価:(5つ満点)

40歳の教科書NEXT

40sai2.jpg自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本 『16歳の教科書』 番外編
少しずつ忍び寄る身体的な衰え、急増する心の病と心の危機。各界のスペシャリスト12人が40歳が直面する転機を乗り越え人生を変えるヒントを伝授。『朝日新聞』 東京本社版夕刊連載に加筆修正して単行本化。モーニング編集部、朝日新聞社編。


40歳の教科書パート2です。読み始めるまでが時間かかるのですがこのシリーズは本当に読みやすくためになります。今回は 1) 体力・脳の衰え 2) 心の危機、うつ対策 3) 親との関係 4) 経験を武器にするには の4つがテーマ。
そのうちの 2) 心の危機、うつ対策 の中の下園壮太氏の箇所がすごく良かったです。

うつ、とは 『疲労しきった状態』 のこと。生きるためのエネルギーがなくなってしまった状態のこと。だから休息を取るしかないのです。その時も 『はしゃぎ系発散』 をし過ぎないように注意。カラオケに行くとか朝まで飲むとか、20代の頃はそれでストレス発散になったことも40代では逆に疲労を溜める元。全くだ…。

子どもの心の鍛え方と大人の心の鍛え方は違う。子どもには、我慢をすること、嫌なことから逃げないこと、自分で一人で全部やってみること、などが心を鍛えることとなるが、これらは成長段階にある子どもはできても大人にはできないものだと自覚することが大切。では具体的にはどうしたらいいか。

1回の戦いで自分を消耗させないこと。人の力を借りいたずらに完璧を目指さず、柔軟に 『大人の心』 の強さを育てること。

が肝要だそうです。おおっそうか!当たり前のことかもしれませんが、常によりよくせねば、と子どもの頃から求められている(と勘違いしている)と、こういうことになります。まさしく私のことですね。うつは、心の風邪なんて生やさしいものではなく、心の骨折だという下園氏。骨折の原因は蓄積疲労、良い機会と思い焦らずゆっくりと休み、大人の心を鍛えるべきだと説く氏の話は、説得力があります。下園氏の他の著書も読んでみたくなりました。

もう40代、まだまだ40代。悩んでいるのは自分だけじゃない。ということがよく分かる、一冊です。

評価:(5つ満点)
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今週の私
急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
只今読破中
木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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