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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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人質の朗読会*小川洋子

hitojiti.jpg外国の治安が不安定なある国でテロ組織に人質とされた日本人観光客らが、それぞれの人生を物語として語り始めた。その物語が語り尽くされたとき彼らの運命は。『中央公論』 掲載を単行本化。
(小川洋子)1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。 『揚羽蝶が壊れる時』 で海燕新人文学賞、『妊娠カレンダー』 で芥川賞、『博士の愛した数式』 で読売文学賞、本屋大賞、『ミーナの行進』 で谷崎潤一郎賞を受賞。主な著書に 『ブラフマンの埋葬』 『薬指の標本』 など。
(収録作品)杖/やまびこビスケット/B談話室/冬眠中のヤマネ/コンソメスープ名人 /槍投げの青年/死んだおばあさん/花束/ハキリアリ


ただの変わった話を集めた奇譚集だったら、読もうという気にはならなかったかも。千夜一夜物語のように、それぞれの物語に大枠を作るだけでこんなに個々の物語が魅力的になるとは。とある紛争地帯でテロ組織の人質となった日本人観光客8人。彼らが1話ずつ自分の人生を語り始めた。

短編は9編入っているのですが、最後は人質達を見守っていた軍部の人の物語、という設定になってます。私が好きなのはそれを含む 『B談話室』 『死んだおばあさん』 『ハキリアリ』 ですね。

物語を語ることとはすなわち、生きることである。というメッセージだと感じました。想定も爽やかです。この装丁の人、今流行ってますね。

評価:(5つ満点)
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伝える力*池上彰

tutaeru.jpg『話す』  『書く』 『聞く』 能力が仕事を変える!相づちを打ったり、返事をしたり、目をジッと見たり、あるいは反対に目をそらしたり。基本であるにもかかわらず意外と難しいコミュニケーションのとり方。現代のビジネスパーソンに不可欠な 『伝える力』 を高める極意を紹介。
(池上彰)1950年長野県生まれ。慶應義塾大学卒業。ジャーナリスト。信州大学特任教授。NHKで記者やキャスターを歴任後フリーランスとして活躍。著書に 『知らないと恥をかく世界の大問題』 など。


正直、何だか中途半端な印象…と思っていたらあとがきにあった言い訳です。もともと雑誌に短期連載したものを、いきなりまとめて本にするからと言われて断り切れず、やられました。とのことでした。ご本人に言い訳させるほどの内容、なるほど(笑)。話し言葉でずっと書いてあり、どこかポイントなのかイマイチつかみにくい訳がここでようやく分かりました。エッセイととればいいのかもしれないけどせっかくの内容なのにそのまま推敲せず載せちゃって、かなりもったいないような気がします。

私の気に入ったポイントを抜き出してみました。いつもこういうことを意識しながらコミュニケーションをとれればいいのでしょうが、なかなかそう行かないのが人生です。

プライドの高い人は成長しない
成長するには無駄なプライドを捨てよ!聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥。ですね。

緩やかな演繹法を用いよ
演繹法
(えんえきほう)とは帰納法の逆で、問題の答えを推論する際に一般的原理(正しいと分かっていること)からそれぞれの事柄を推論する手法を言います。と書いてきてもう分からなくなってきた(笑)。帰納法(きのうほう)は個々の事実から一般的原理を推論する手法で、よく 数学の証明でやりましたね数学的帰納法。それぞれの事実があるのでこういう定理ができあがります、という証明方法です。

物事は演繹法で進めるのがよいが、厳密な演繹法ではなく緩やかにやるのがよい。常に 『仮説』 を元に取材をする。仮説という自分なりのビジョンがないと取材の方向性が見えてこないので仮説を立てることが大切である。というのが池上さんの理論。

評価:(忘れないようにしたい内容ですがきっと忘れる)

おしまいのデート*瀬尾まいこ

osimai.jpg親の離婚後に会う孫と祖父、元不良の教え子と定年間近の老教師、捨て犬を見つけたOLと大学生。この世はいろんなデートで溢れてる。待ち合わせのワクワクする気持ちや別れる時の切なさを描く。『小説すばる』 掲載を単行本化。
(瀬尾まいこ)1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。『卵の緒』 で坊っちゃん文学賞大賞を受賞しデビュー、『幸福な食卓』 で吉川英治文学新人賞、『戸村飯店青春100連発』 で坪田譲治文学賞を受賞。著書に 『図書館の神様』 『優しい音楽』 『強運の持ち主』 など。
(収録作品)おしまいのデート/ランクアップ丼/ファーストラブ/ドッグシェア/デートまでの道のり


瀬尾まいこはほのぼのがウリと分かっているのですが、最近毒のある小説ばかり読んできたのでちょっと物足りないです(笑)。 『ファーストラブ』 が良かったかな。前作 『僕の明日を照らして』 がテーマ虐待という厳しい内容だったので、瀬尾さんはやはりこういうほのぼの系がいいかも、です。

評価:(5つ満点)

スピカ 羽海野チカ初期短編集

supica.jpg『ハチミツとクローバー』 連載初期と同時期となる2000年から2004年に発表した短編6作を収録。
(羽海野チカ)うみのちか。東京都生まれ。東京都立工芸高等学校デザイン科卒業。デザイナー、イラストレーターを経て漫画家に。  『ハチミツとクローバー』 で講談社漫画賞を受賞。『3月のライオン』 連載中。
(収録作品)冬のキリン/スピカ/ミドリの仔犬/はなのゆりかご/夕陽キャンディー/イノセンスを待ちながら


羽海野さんは画が丁寧でいいですね。今回は短編集、『スピカ』 がとても良かったです。羽海野さんの描く女の子達は本当に可愛くて、見てて楽しいです。『ハチクロ』 『3月のライオン』 に引き続き、羽海野さんの作品はもっともっと見たいです。

評価:(5つ満点)

ダークゾーン*貴志祐介

darkzone.jpg情報科学部の大学生で日本将棋連盟奨励会に属するプロ棋士の卵である塚田は、闇の中で覚醒する。自分は赤の王将だという意識と共に。そこは遺棄された海底炭坑の島、端島だった。人間が駒となり相手を殺すまで戦い続ける将棋に似たゲームを続ける中、塚田はこの勝負に至るまでの様々な出来事を思い起こし始める。なぜ塚田は突然軍艦島と呼ばれるこの端島にいるのか?なぜここで戦い続けているのか。小説NON』 連載に加筆し単行本化。
(貴志祐介)1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。岸祐介名義で 『凍った嘴』 でハヤカワSFコンテスト佳作。『十三番目の人格-ISOLA』で日本ホラー小説大賞長編賞佳作、『黒い家』 で日本ホラー小説大賞、『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞長編賞、『新世界より』 で日本SF大賞、『悪の教典』 で山田風太郎賞を受賞。主な著書に 『青の炎』 『狐火の家』。


プロ棋士候補で大学生、同じくプロ囲碁棋士の恋人 理紗とは同棲中。そんな充実した生活をしていたはずの塚田が、なぜ突然異世界で目覚めたのか?そしてそこでなぜ殺し合いのゲームをしなければならないのか?塚田自身意味も分からないまま、ただ 『戦い続けなくてはならない』 という心の声に従い、戦い続ける。…この世界は、何?

合間に挟まれる、塚田の回想。大学生になった自分、奨励会でなかなかプロである四段に上がれない自分、既にプロである理紗への引け目、奨励会のライバル奥本、そしてなぜか自分をストーカーする梓。普通の世界での物語と、異世界である 『ダークゾーン』 での7番勝負が交互に進んで行きます。塚田も読者も一体何のためにこの異世界が存在し、そこに塚田や理紗、奥本らが存在し、そこでお互い敵として戦わなくてはならないのか、なかなか分からない。

そして終章。この【小説の禁じ手】を使ってまで作者が伝えたかったことは、一体なんだろう?とまず思ってしまいました。このラスト(オチ)で怒る読者もいるだろうということを分かっていながらもあえてこの手法を採った訳は。もう1回全体の伏線、見直しました。

そして、改めて塚田の人生の意味、生きるということの意味とは何だろう、と思ったのです。愛する人を守るとはどういうことか。理紗を思う気持ちに間違いはなくともあまりに身勝手な塚田の考え方には共感できないのですが、なぜか塚田を憎めないのです。

gunkanjima.jpgゲームの舞台となった軍艦島。私は特別廃墟マニアというわけではないのですが、結構気になる場所でした。今回一緒に 『軍艦島全景』 (オープロジェクト/三才ブックス)も見ながら建物の位置関係など逐一確認してしまいました。そういう意味で他の読者の方より楽しめたのでちょっと評価もひいき目です。ラストの賛否両論はさておきさすが貴志氏、ゲームのくだりは一気に読ませてくれました。

評価:(まさに小説の禁じ手!)

どうして、他人とうまくやれないの?*司馬理英子

hitotouma.jpg空気が読めない、仕事がうまくいかない、何がダメかわからない。原因はアスペルガー症候群?大人の発達障害に悩む人のための 『自分らしい生き方』 ガイド。もっとラクに気持ちよく生きるためのヒントを教えます。
(司馬理英子)岡山大学大学院卒業。医学博士。軽度発達障害専門の司馬クリニックを開院、同院長。子どもと大人の女性の治療を行っている。主な著書に 『のび太・ジャイアン症候群』 など。


アスペルガーの本で何かいいのないかしらね、と友人に相談したら、司馬理英子先生のがいいんじゃない?ということで読んでみました。とても分かりやすく書いてあり2時間で読めます。

アスペルガータイプの人は自己評価が低い人が多い。そこで自己評価を上げるレッスンをするべきである、と司馬先生。 『今日がんばれたこと』 『ほめられたこと』 『楽しかったこと』 を日記に書いていく。1つでも2つでもよい。それを時々取り出して読み返すようにする。これ、私も時々やる 『いいこと探し』 ですね。

さらに 『嫌なことへの記憶』 への脳の回線をシャットダウンすること。そして 『いいことへの記憶』 への脳の回線を増やすこと、とあります。悪いことはなるべく思い出さないようにし、よいことを繰り返し思い出すようにする。反省をしない、ということではなく、いつまでも過ぎ去ったことでクヨクヨしない、ということです。

評価:(5つ満点)

その日まで*吉永南央

sonohi.jpg雑貨と珈琲豆の店 小蔵屋を営む女主人 お草は最近くさくさしている。近所に和雑貨店つづらが開店し露骨な営業妨害を仕掛けてくるからだ。しかもつづら出店の裏には詐欺まがいの不動産売買の噂があり草はほうっておけなくなるが。『紅雲町ものがたり』 続編。
(吉永南央)1964年埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部卒業。 『紅雲町のお草』 でオール讀物推理小説新人賞を受賞。主な著書に 『オリーブ』 『誘う森』 『Fの記憶』 。
(収録作品)如月の人形/卯月に飛んで/水無月、揺れる緑の/葉月の雪の下/神無月の声/師走、その日まで


私の好きな吉永南央の紅雲町シリーズ第二弾。お草さんやお店の久実ちゃん、長年の友人の由紀乃さんと登場人物はそのままに、つづらにライバル店が登場。そこかしこに攻撃を仕掛けてくるのですが、結局は商いは正統派が勝つ、という話。

作業所で作っているろうそくをつづらで売ってくれないか、とボランティアの人がやってきたが…という話が一番良かった。そのままじゃ特徴もないろうそくを、お草さんの機転でこちらもまたそのままでは売り物にならない器と組合せ、見事な夏のろうそくを演出し売り出すところなど、お見事でした。

でも後は全般に妨害ばかり仕掛けてくるつづらとの攻防がメインで、ちょっとゲッソリ来ちゃうかな。そんな中でのお草さん、久実ちゃん、宅急便屋さんのいつもの関係といつもの会話には、ホッとさせられました。

評価:(5つ満点)

1Q84 Book3

1q8403.jpgさきがけのリーダーを殺害した青豆は現実とは違う世界へ迷い込む。そこは2つの月がある1Q84年だった。同じ頃天吾も同じ世界へ迷い込む。そして二人を追う牛河。3人の章が入れ替わり展開する中、この世界で青豆と天吾は再び出会えるのか。『1Q84』 続編、書き下ろし。
(村上春樹)1949年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ジャズ喫茶の経営を経て作家へ。『風の歌を聴け』 で群像新人文学賞、『羊をめぐる冒険』で野間文芸新人賞、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で谷崎潤一郎賞、『ねじまき鳥クロニクル』で読売文学賞、『約束された場所で―underground 2』で桑原武夫学芸賞を受賞。また朝日賞、早稲田大学坪内逍遥大賞、フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、世界幻想文学大賞、エルサレム賞などの海外の文学賞を受賞。翻訳多数。


この本を購入してから1年半、やっと読了しました。本もったいないって?大丈夫、その間他の皆さんに先に読んでもらってたから。ということでやっと読みましたわ。
またも波乱含みのラスト、果たして天吾はこのままさきがけの教祖になるのか?(という話なんですよね?)ふかえりはどこへ消えたのか?そしてリトルピープルに犯されたこの世界はどうなるのか?恐ろしい物語です…。

青豆と天吾、2人だけの世界であるかのごとく描かれていることもまた、恐ろしいです。愛情とはやはり、自分勝手なものだということでしょう。既に幼い頃から狂気の中を生き抜いてきた青豆を、果たして天吾は救えるのか?3巻に入りますます登場人物らに共感できなくなってきたところがまた、恐ろしいです。

評価:(恐ろしいしか書いてないな)
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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