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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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容疑者Xの献身*東野圭吾

yougishax.jpg 『天才』 とまで言われた数学者でありながら、生活のためにさえない高校教師に甘んじる石神。平凡な日々を送っていた彼が、アパートの隣人である女とその娘の生活を守るため、完全犯罪を目論む。愛する女を守るために天才が考え出した、完全なる犯罪とはどのようなものだったのか。『探偵ガリレオ』 シリーズの物理学者 湯川学と草薙刑事が事件の真相に迫る。
『オール読物』 連載を単行本化、第134回直木賞受賞。
(東野圭吾)1958年大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業。『放課後』 で江戸川乱歩賞、『秘密』 で日本推理作家協会賞を受賞。


数学を愛する人は、数の持つ美しさに魅入られているようです。小川洋子 『博士の愛した数式』 でも博士がしばしば 『美しい』 『潔い』 という言葉を使っていますが、数の持つ美しさと完全犯罪がどう結びつくのか?

読みながら、主人公石神から高校の数学の先生を思い出しました。よく証明の答え合わせなどで 『こうこうして…答えは〔1〕。実に美しい!!』 といつも連発していたんです。テスト返却後の答え合わせでも 『〜という方法でも答えは出るが、コレは美しくない。ボクは〜と証明して欲しいねっ』 なんてよく言ってました。根っから文系の私にはチンプンカンプンでしたが、先生なりの美学がそこにあるのをいつも感じてました。

私の高校は当時2年生まで文理系を分けず、同じカリキュラムで学ぶ方式だったため、文系の私も2年までに物理、化学、生物、代数幾何、基礎解析とフル履修させられました…キツかった…。

評価:(5つ満点)
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世界あちこち ゆかいな家めぐり*小松義夫/西山晶

img20060426.jpg世界中のおもしろい家の写真を撮っている著者が訪ねて来た家とその家で暮らす人々の様子を紹介する。写真・文を小松義夫が担当、家の仕組みやそこで暮らす人々の生活を細かく描写した絵を西山晶が担当。モンゴル、中国・福建省、インドネシア、インド、ルーマニア、チュニジア、スペイン、トーゴ、セネガル、ボリビアの各地の家を紹介。
福音館書店たくさんのふしぎ傑作集、97年刊を2004年再刊。


写真絵本です。ただ単に写真のみではなく、そこで暮らす人々の生活の様子を一緒にイラストで描いてあるところがとてもいいです。人類学に少なからず興味のある私は(史学科卒はみんなそうなのですが)、非常に興味深くしみじみ見てしまいました。

小学校中級以上向け、とありますが、大人にも十分楽しめます。図書館で借りた本なので買おうかと検討中です。

中国・福建省の丸い大きな長屋は、全部で300人もの人々が暮らしているとか。この長屋を見て映画 『カンフーハッスル』 の貧乏長屋を思い出しました。あの長屋は真ん中が広間になっていてみんなそこで商売していたなぁ。この本で紹介されている長屋の真ん中にはお堂があり、先祖の霊をまつってあるそうです。
4階建ての長屋、小さな部屋がたくさんありそれぞれどのように使われているか、のイラストが分かりやすくとても興味深いです。ここだけで小さな町のよう。城塞都市ですね。

評価:(続編出ないかなぁ)

子育てハッピーアドバイス*明橋大二

img20060414.jpgスクールカウンセラーも務める心療内科医、明橋大二氏による、過去の著作の中で特に大切なこと、反響が大きかったことを選び、診療や相談で感じたことを加えた子育てのヒント集。太田知子氏の柔らかで分かりやすいイラストが読み手に伝わりやすく、非常に分かりやすい一助となっている。文中の子育てに関する小さなヒントが子どもを大きく変えていくことを分かりやすく教えてくれる。
(明橋大二)昭和34年大阪府生まれ。京都大学医学部卒業。精神科医。名古屋大学医学部附属病院精神科等を経て、現在真生会富山病院心療内科部長、児童相談所嘱託医など務める。著書に 『輝ける子』 『この子はこの子でいいんだ。私は私でいいんだ』 など。


この本はまず第1王子の公文で借りました。先生のオススメ本コーナーにあったのを目ざとく発見! 『先生、お借りしてもいいですか?私買おうかと思っていたんですよっ』 と息巻く私。

なぜ買おうかな、と思っていたかと言うと、地元情報誌であるAMには毎月オススメ本の書評コーナーが1ページあり、市内の書店の持ち回りで書かれています。顔見知りの書店員さんも何度か登場していて今月号にこの本が知り合いの書店員さんの紹介であったのです。そこにも
 『すぐに読めるし、短いヒントがたくさん書いてあり参考になる。またイラストがとても柔らかく的確で理解を促すためのよい効果となっている。』 
とあったのです。

最近コミックエッセイがブームのようですが、中には絵もあまり上手でなく内容も全く面白くなく(あくまでも私には、という意味ですが)なぜこんなのがウケるのか?と思っていた私にとって 『イラストが理解を促す補助となっている』 という一文だけでも気になりました。

読み終わって。なんだかホッとしました。
短い言葉の1つ1つに、ああそうだな、あの時こういう風に言えば良かったんだ、と思うシーンがたくさんありました。そして途中から、子どもに対してというより、自分自身のことについてはっとさせられる箇所がたくさんあったのです。

評価:(5つ満点)

スクラップ帖のつくりかた*杉浦さやか

img20060327.jpg毎日の生活にはスクラップの元がいっぱい。お気に入りの雑貨、小さな発見、旅の思い出、買物日記、食事日記、散歩案内、シネマ・メモなど。自分だけのスクラップ帖の作る楽しみ、保存する楽しみについて、イラストレーター杉浦さやかのスクラップ帖の原点と理念を大公開。 おまけコラムの1つ 『あなたの手帳見せて下さい』 も参考になる。
〈杉浦さやか〉1971年生まれ。日本大学芸術学部卒業。在学中よりイラストレーターの仕事を始める。著書に 『絵てがみブック』 『お散歩ブック』 『わたしの日曜日』 など。


スクラップは昔からある手法ですが、自分だけの工夫で題材は何でも、好きなように作れるんだよーということを教えてくれる本です。杉浦さやかさんの絵と手書きの文字もとてもいいです。

スクラップ帖を作るにあたり、用意すると便利な道具、素材の集め方などのHow Toが役に立ちます。これを見て前から迷っていたアルファベットスタンプと数字スタンプを買ってしまいました。それまでは欲しいけど何に使うかな…と思っていたのですが、これで使う目的もできた!あとスプレーのりも買わなきゃ。

コラージュ用の素材として、気に入った布のカラーコピーをとると良い、というアイデアにも感動。これはすごくいいかも。好きな形、長さに切れるしね。あとは雑誌の切り抜きやキレイな包装紙やリボンも取っておくといいとか。杉浦さんはこうした素材をファイリングしていて、スクラップ帖を作るたびに使用しているそうです。うーん、いい!

あとところどころにある小さなコラムも大変参考になります。気に入った封筒で手帳にポケットを付けよう、は早速実践。1つの角を斜めに切っておくと入れやすくて便利。
これまで気になった雑誌や広報、新聞の記事やクーポン券などは手帳のビニールカバーの見返しに入れていたので、時々落ちやしないかと心配していたのですが、これで心配は一気に解消されました、スッキリ。

評価:(あとは自分の工夫次第)

ヨコハマ物語*大和和紀

img20060408.jpg明治初頭、横浜の貿易商 叶屋に引き取られた卯野は、叶屋の娘である同い年の万里子と出逢う。海の向こうの異国に憧れる2人は、お嬢さんと小間使いという立場でありながらも一緒に私塾 シモンズ塾へ通い、真の友情を育んでいく。
共に幼なじみ森太郎との恋を経験するも、叶屋の主人である父の急死により運命の渦に飲み込まれてゆく2人。
万里子は横浜に残り、父の残した借金を肩代わりするという条件で新進気鋭の貿易商 竜介と政略結婚をする。画家を目指しパリへ渡った兄の代わりに自ら叶屋を継ぎ、持ち前の才能で見事叶屋を立て直す。
一方森太郎の留学先であるアメリカへ渡った卯野は、言葉・人種の壁や様々な危険、伝染病と戦いながら、移民した日本人を助けようと必死に医師として働いていた森太郎とついに再会。やがて2人は横浜へ戻る、そこには万里子と竜介が待っていた。


最近マンガを人に貸すのに色々整理をしていたら、本棚から出てきました。懐かしのヨコハマ物語。初めて読んだのは小6か中1の頃だったなぁ。
改めて読み返してみると、確かに少女マンガ的設定と展開が多いのは事実なのですが、結構私好みの内容です。

まず主人公である万里子と卯野、2人は貿易商のお嬢さんと両親を亡くした孤児で小間使いとして引き取られてきたという立場の違いがありながら、真の友情を育んでいくという点。叶屋の主人の懐の大きさもさながら、お嬢さんである万里子自身が人に対して差別をしないという性格であることがこれは大きいと思う。

異国に憧れる2人は、まだ女性には学問の道が狭かった時代に2人揃って外国人居留地内の私塾へ通えることとなり、英語やその他の学問をそこで学び、テニスをし、男子学生と交流をする。懐かしくも輝かしい青春。

しかしその青春も父である叶屋の主人の事故死で終わりを告げる。ここからが次の展開。

評価:(5つ満点)

アッコちゃんの時代*林真理子

img20060403.jpgバブルの時代、生まれ持った美貌と女子大生という自分の価値を最大限利用しようと、地上げの帝王の愛人となり、高級レストラン キャンティの御曹司を有名女優の妻から奪い、世の中の羨望と憎悪を一身に浴びた1人の女がいた。バブルの東京を本能の赴くまま奔放に泳ぎ伝説となった小悪魔アッコの素顔を描くことで、バブルという一時代を振り返る。『週刊新潮』 連載。
〈林真理子〉1954年山梨生まれ。日本大学芸術学部卒業。コピーライターとして勤務後エッセイ 『ルンルンを買っておうちへ帰ろう』 でデビュー。『最終便に間に合えば』 『京都まで』で第94回直木賞、『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞、『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞を受賞。直木賞選考委員。


林真理子はこうしたバブル時代の素材を書かせると流石ですね。この話の面白いところは随所に出てくる場所や芸能人、財界人の名前が本名であるというところ。さすがこうした方々とも交流の深い林氏だからこそできる、この小説です。

話としてはトントンと読めて、結局バブルにその人生哲学そのものを預けてしまったアッコこと厚子にとっては、人生を今更軌道修正できるわけもなく、バブル崩壊後も40代目前にしても相変わらずバブル時代とほとんど変わりのない生活を送っている、という内容で、それだけ読むとつまらなそうですが、この本の切り口のよいところは、厚子がとある小説家のインタビューを受けながらかつての華やかな生活を振り返る、という語り口で書かれているところですね。もちろんこの小説家のモデルは林氏自身だと思います。

評価:(5つ満点)

天国はまだ遠く*瀬尾まいこ

tengokuhamada.jpg誰も私を知らない遠い場所へ、そしてそこで全てを終わりにしよう。自殺願望を持った主人公が辿り着いたのは山奥の民宿。あとは首尾よく自殺するだけ。しかしそこで思いがけず、そこに生息する多くの 『生』 である村の人々や生き物という穏やかな生活と出逢い、主人公の意識は徐々に変化していく。
〈瀬尾まいこ〉1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。『卵の緒』 で坊っちゃん文学賞大賞、『幸福な食卓』 で吉川英治文学新人賞を受賞。


物語の主人公 千鶴は自殺をしようと身辺を片付け、全額貯金を下ろし、『いかにも自殺にふさわしい』 山奥の村へと出向く。そこにたった一軒ある民宿で睡眠薬を大量に飲み自殺を図るが、単に一昼夜ぐっすり眠っただけで何ともなかった。というところから話が始まります。

自殺すら満足に出来なった自分に愕然としながらも、せっかくなので?のんびりした村の生活をしばらく楽しもうとする千鶴。
村に一軒しかない、しかも客は2年ぶりという民宿たむらを拠点とし、1ヶ月ほど滞在しながら千鶴は村の人々の素朴な半農半漁の生活を見ているうちに、徐々に自分を取り戻す、という話なのですが、残念ながら今回の話は少し手抜きかと感じる位、あまり心に残らない内容です。

というのも主人公千鶴の悩みはあまりにも自分自身だけの問題であり、それに対して何らかの対策や抵抗をした形跡もなく、恋人との付き合いと別れもあまりにも適当で、こんなに適当に生きてりゃそりゃどこかで行き詰るでしょ、とこっちがツッコミ入れたくなります。
でも、こんな風に何となく生きて、それに何となく疲れて、何となく自殺しちゃおうかな、という人が今日増えているのかもしれません。

結局千鶴はここは自分の居場所ではない、そして自分の居場所を求めてまた元暮らしていた所へ帰るところで終わるのですが、その心境の変化までもが 『何となく』 に思えちゃって、『再生小説』 というより 『何となく小説』 になっちゃってます。

もう少し、民宿たむらの田村さんとの関係をしっかり描ければ、そして千鶴自身をしっかり描ければ面白い内容になったと思うのに。
何となく生きていると何となくな結果しか出ませんよ、という教訓だと思えばいいのかな。

評価:(辛口で3)

ナラタージュ*島本理生

img20060228.jpg大学2年の春、高校の演劇部の葉山先生から泉に電話がかかってきた。部活動を手伝って欲しいと言う先生からの誘い。高校時代片思いをしていた彼からの電話に泉は思わずときめく。だが、先生には泉にも言っていなかった秘密があった。お互いに魅かれあいながらも同時に辛い想いを抱えなくてはならない2人の恋を、結婚を控えた泉の回想という視点から描く。
(島本理生)1983年東京生まれ。立教大学文学部在学中。『シルエット』 で第44回群像新人文学賞優秀作、『リトル・バイ・リトル』 で第25回野間文芸新人賞を受賞。


この本は進まなかった。読み終わった直後思ったのは、イマイチ感情移入ができなかったのではないかということ。しかしそれが主人公 泉に共感できないからか?と最初思っていたが、もしかすると共感し過ぎて辛くて進まなかったのかもしれません。

物語は始終、泉の葉山先生への想いで一杯に溢れています。行間からこれでもかこれでもかと葉山先生への想いが溢れてくる。泉に他の生活、大学での授業や友達関係やサークル活動などは一切ないのか、という位、泉は葉山先生にハマりっぱなし。

葉山先生は重大な秘密を抱えていて、それのために2人は結ばれることはないとお互い分かっているはずなのに、それでも求め合ってしまう。そこが、読んでいて辛い。そして端から見ると、そんな恋なら辞めてしまえ、と言いたくなる。泉の一時的に恋人になった小野君の、ストーカー的な苛立ちにも共感できる部分がある。

評価:(5つ満点)
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
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