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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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手紙を書きたくなったら*木下綾乃

img20060502.jpg作る楽しみ、書く楽しみ、届く嬉しさ。手作り封筒や便箋、ハンコやオマケの付け方、様々に工夫した封かんなど 『手紙のこと』 に関して綴った第1章、また切手コレクターとしても著名な著者によるその魅力、収集方法など 『切手のこと』 に関して綴った第2章から成る、イラストレーターによる随筆集。

イラストレーター木下綾乃さんによる手紙エッセイ第一弾。カラー写真も木下さんのイラストも満載で二重に楽しめます。

■ 手紙のこと
古切手を上手に使ったコラージュの手作り封筒、便箋の紹介。また敬愛するディック・ブルーナ氏との面会の模様、お気に入りのハンコ紹介など、文房具を愛する私にはピッタリの本。

お気に入りのハンコの中に東京国立博物館のミュージアムショップのはにわハンコがあるのもすっごくいい。またちょっとしたオマケを手紙につける、というのは杉浦さやかさんのエッセイにもあったけど、もらった側はすごく嬉しいと思う。

img20060703.jpg置手紙のコラムでは、厚いメモ帳を置手紙として使っていたルームメイトとの暮らしや、メモを押さえるペーパーウェイトについても。凝ったものでなくてもすべすべした大きな石でもいいし、お気に入りの人形でもいいし。それがメッセンジャーになってくれる。

私も最近石で作ったウサギのペーパーウェイトを買い、学校や保育園に出す書類の上に置いています。何気ないことなんだけどそのウサギがいるだけで嬉しい。


評価:(手紙と文房具が好きな方に)
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強運の持ち主*瀬尾まいこ

img20060807.jpg元OLの占い師ルイーズ吉田は売れっ子占い師として毎日大忙し。ショッピングセンターの一角で店を構えていると色々な悩みを持つ客が毎日現れる。ある時は小学生、ある時は女子高生…。ある日物事の終末が見えるという大学生の武田君が現れた。勝手に押しかけ見習い占い師となった彼はルイーズにも何かの終わりの兆候が見えると言い出すが…。表題作ほか3編を収録した連作短編集。
(瀬尾まいこ)1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。『卵の緒』 で坊っちゃん文学賞大賞を受賞しデビュー、『幸福な食卓』 で吉川英治文学新人賞を受賞。
(収録作品)ニベア/ファミリーセンター/おしまい予言/強運の持ち主


人と付き合うのが苦手で営業をしていた会社を辞めたルイーズ吉田、たまたま占い師の求人を見て、これならわずらわしい人間関係に悩むことなく1人で仕事が出来ると応募するが…。
結局仕事でも何でも、人は周囲の多くの人に助けてもらって生きていることにルイーズ自身も気付く、という話。

本作は占い師ルイーズ吉田の誕生を初めとする連作短編集の形を採っています。面白いのは占い自体をルイーズは 『適当に』 やっていると豪語しているくせに、自分の直感で 『運が強い』 と感じた現在の恋人を前の恋人から決死の思いで略奪愛?したり、困ったときは占いの師匠をすぐ訪ねたりするところなど、結構私には占いに頼っているように見えるルイーズ。その矛盾が面白いのかも。

本作は 『占い』 という仕事を通じて、人が人に対する愛情や思いやりを知り、成長をしていくルイーズ自身の成長物語と感じました。

収録作品では 『ニベア』 が一番気に入りました、設定も構成もうまくできていると思う。占いに来た小学生の男の子が最後に
『先生(ルイーズ)のニオイってお母さんのニオイだ。』 という箇所。上手い。の一言です。

久々の瀬尾まいこは、心洗われます。

評価:(5つ満点)

リアル鬼ごっこ*山田悠介

img20060526.jpgたった1人の絶対専制君主が支配する30世紀の国家。自分と同じ姓を持つ国民が500万人を超える、という事実になぜか憤慨する専制君主 『王様』 は、彼らを虐殺するべく恐るべき 『殺人ゲーム』 を思いつく。それは 『リアル鬼ごっこ』 と命名された。
(山田悠介)1981年神奈川県生まれ。2001年のデビュー作である本作がベストセラーとなる。


正直題名と題材がいいだけに、もったいないの一言。文体が何というか若すぎるというか、子どもの書いた文章みたい。ハッキリ言ってこれは担当編集者がもっと作家に校正させるべきではなかったのか?と思うくらい、文章が甘い。
(とここまで書いたが、どうも本作は自費出版という話もあります。それなら担当編集者がいないのでしょうか?)

あと時代設定と考証が悪すぎる。30世紀という設定だが、30世紀なら政治はすべてスーパーコンピュータ(ともう言ってはいないだろう)が行っているはずで、この本の設定のようにたった一人の専制絶対君主が全ての法律を定め、判断するというこということ自体、ありえない。たった1人が法律を定め、それに対する査問機関もない、なんて時代が今後来るとは絶対にあり得ない。せめて時代設定を2020年位にしたらもう少しリアリティが出たのに。そう、リアリティのない小説が嫌いなのです。

リアル鬼ごっこを通して主人公 翼は多くの人との別れを体験しますが、それの描き方も甘い。余りにも甘いので、もしや最後大ドンデンが待っているのでは!とすごい期待していたら…
予想していたうちの 『一番最悪』 な結末が待っていた。つまり、一番こうなるだろうと簡単に予想がつくパターンで、一番つまらない終わり方。

あああ~。素材がいいだけに勿体なさすぎる。デビュー作とは言え、推敲が足りなさ過ぎる。次回作に一応、期待。

評価:(5つ満点)

本屋大賞2006

img20060525.jpg『本屋大賞』 は全国の書店員が 『いちばん!売りたい本』 を選ぶ賞として2004年の4月に誕生した。書店員が 『読んでよかった』 『もっと売りたい』 と思った本を選んで投票し、その集計結果のみで大賞が決定する仕組みで、新刊書店に勤務する書店員(含むアルバイト、パート書店員)なら誰でも投票資格を有するかつてない開かれた賞である。
投票の対象となる本は2004年12月1日から2005年11月30日までに刊行された日本の小説(文庫・新書オリジナルも含む)。今年度より点数換算を大幅に変更したため2005年度の得点とは大幅に得点表示が異なる点に注意。
今回もまた投票者数が激増し多くの書評が寄せられている。また既刊書籍から 『埋もれているがもっと売りたい』 と選んだ 『発掘本』 も同時に収録。


今年はちょっとチェックが遅くなりましたが、本屋大賞も3年目に入りました。かなり定着したようで、昨年度よりもエントリーした投票者(書店員さん)がかなり増えたそうです。大勢の意見が聞けると言うのはとてもいいことです。毎年思うことですが、この投票に参加するためだけに書店に勤めたいものです。

今年のベスト10までをご紹介。
1位 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(リリー・フランキー)
2位 サウスバウンド(奥田英朗)
3位 死神の精度(伊坂幸太郎)
4位 容疑者Xの献身(東野圭吾)
5位 その日のまえに(重松清)
6位 ナラタージュ(島本理生)
7位 告白(町田康)
8位 ベルカ、吠えないのか?(古川日出男)
9位 県庁の星(桂望実)
10位 さくら(西加奈子)
11位 魔王(伊坂幸太郎)

※本屋大賞は1次投票後ベスト10冊を選出し更にその10冊のうちで2次投票を行うシステム。
 今回は1次投票で10位が2冊となったために最終的に11位まで選出された。

これを見ても 『ああっリリーフランキーまだ読んでない!』 とか 『伊坂幸太郎2冊も入ってる!』 とか 『ナラタージュ入ったか!』 とか 『やっぱり容疑者X来たかー!』 とか思っちゃいますね。リリーフランキーは義母が買って今叔父に貸してあるそうで、それが帰ってくるのを待っているのですがそろそろ催促しなくてはならないでしょう。多分読んでないんじゃないかな…と勝手な想像。

伊坂幸太郎は未読作家ですが、周囲の本読み友達が読み始めたので私も読んでみようかな。

(おまけ)いつも買っている雑誌の 『一言投稿コーナー』 に以前
『新古書店でリリー・フランキーが 【外国作家】の棚にあったのを見つけ爆笑。』
とありました。そりゃ確かに爆笑…でも本を読まないバイト君には仕分けは難しいのかも(笑)。

バスジャック*三崎亜記

img20060517.jpg話題のデビュー作に続く注目の第2作。日々変わらないはずの日常にふと非日常を感じる、そう考える自分の方が非日常なのか?近未来的な趣向が多く見られる短編集。表題作 『バスジャック』 バスジャックブームの昨今、人々はこの新種の娯楽を求めて高速バスに殺到する。その日もバスジャックが起こるが…。小説すばる連載を単行本化。
(三崎亜記)1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2005年『となり町戦争』第17回小説すばる新人賞受賞、でデビュー。
(収録作品)二階扉をつけてください/しあわせな光/二人の記憶/バスジャック/雨降る夜に/動物園/送りの夏


今、最も注目すべき新人作家三崎亜記。第2弾は短編集ですがどれも素晴らしい出来で、必読です。

■ 二階扉をつけてください(評価:5)
かなりインパクトあり。ラストは衝撃的。またしても 『意味不明な町内回覧板』 に着目した三崎氏得意のテーマ。

妻は出産のため里帰り中。その留守中に回ってきた 『二階扉を付けていない家はすぐ付けてください』 という趣旨の回覧板。果たして二階扉とは何か?本人も訳の分からぬまま事態は進んでゆく。

これから帰る、と電話してきた妻が 『二階扉付けたの?早く言ってくれればいいのに』 と言ってからのラストシーン。夫は訳が分からないのに妻が知っていることも何か、コワイ。

■ しあわせな光(評価:4)
私がこれまで読んだ本のうち短編集として収められている作品としては一番短い作品、わずか3ページ。しかし見事に完結している。そしてこの作品で確信した、三崎亜記は文章が上手い。

評価:(必読書!)

告白*C.R.ジェンキンス

img20060509.jpg拉致被害者 曽我ひとみさんの夫ジェンキンス氏が北朝鮮での生活や脱出までのすべてを明らかにするノンフィクション。韓国駐留の米軍兵であった彼が北朝鮮へ渡った理由、曽我ひとみさんとの運命の出会い、拉致の実態と他の被害者の消息。米誌TIMEの日本支局長がジェンキンス氏へのインタビューを元に構成。日本独占先行書き下ろし。
〈チャールズ・ロバート・ジェンキンス〉1940年生まれ。米国陸軍に入隊。韓国のキャンプ・クリンチに軍曹として配属後65年非武装地帯(DMZ)を越えて北朝鮮へ入国。80年曽我ひとみさんと結婚。


現在もなお微妙な立場にある拉致被害者の方々の関係者として、同じく微妙な立場でありながらも、このインタビューに応じ本を出版することを決意したジェンキンズ氏の勇気にまず感動を覚えます。

確かに、本書ではジェンキンズ氏が知る全ては明らかになってはいないのかもしれません。しかし全くこれまでは知ることが出来なかった拉致の実態、かの国の状況を、数十年に渡り目の当たりにしてきた氏が今このインタビューを通じて 『報告』 をしてくれたことに、私達は感謝をしなくてはいけないと思うのです。

政治的、宗教的な話題は公の場では避けるようにする、というのが私の信条であるため、この本を読んだことを記事としてUPすることも迷いましたが、一日本国民として、拉致のことを人ごとと思わないようにするためにも、読んだことだけでもUPするべきかと思いました。

評価は致しません、またコメントにも応じかねますので何卒ご理解をお願いいたします。

絵てがみブック*杉浦さやか

img20060426.jpgイラストレーター杉浦さやかによる、ハガキ、手紙、カード、お知らせ、FAXなどにアイデアと絵を添えて魅力的なものにするヒントがいっぱい。ちょっとしたイラストやオマケを添えることで自分の気持ちを素直に伝える絵手紙のアイデア集。1998年発行の単行本の角川文庫版。

杉浦さんの手紙に関する50のコラム。『手紙』 というキーワードだけでこれだけのコラムを書けちゃう彼女もスゴイと思う。全部はできなくても少しずついいアイデアはマネしたいな…と思わせてくれる本です。

■ 私は元気です
■ マイブームベスト5

この本の初出は98年、現在より8年も前。インターネットが今ほど一般的ではなかった時代。今なら近況報告もメール、ホームページ、ブログが当たり前、となってしまったけれど、そんな今だからこそあえて 『手紙』 という形にこだわりたいものです。って私もなかなか手紙出せないけど…。このコラムのように近況報告から手紙が出せたらいいな。

■ 借りたものを返すとき
これは参考にしたい。ちょっとした切抜きカードにメッセージを添えて、CDなら感想を本なら栞を作ってはさむとか、カサならしずく形のリボン付きメッセージカードやてるてるぼうずを付けるって!こりゃインパクトあり。

■ 旅のたより
昔は私も旅行先で必ず何人かの友達に絵ハガキを出して、フロントに頼んでいたものですが…。旅先で見つけた可愛いもの、景色をチョコっとイラストで描けたらいいなぁ。

評価:(後は実践あるのみ)

ライオンと魔女*C.S.ルイス

img20060505.jpg戦時下に疎開先としてやってきた地方の古い屋敷。そこで4人兄弟は大きな衣裳ダンスを見つける。かくれんぼをしていた末妹がタンスに入ると、その先にあったのは雪の降りつもる異世界、ナルニア国だった。ナルニアは白い魔女に支配され、終わることのない冬が続いており、住民達は救いを求めていたのだ。ナルニア国ものがたり第1弾。 〈ルイス〉1898〜1963年。北アイルランド生まれ。ケンブリッジ大学で中世、ルネッサンス英文学の主任教授を務める。著書に 『愛とアレゴリー』 『悪魔の手紙』 など。

やっと読みました。読み終わったからさぁ映画、と思ったら公開が終わってしまった(涙)、という作品です。それにしてもやっぱりこの本には子どもの頃に出会いたかった。

私は2日で読み終わりましたが実際には1日でも読めると思います。だってひらがなが多いから(笑)。ということではなく、割とサッパリした内容になっています。洋服ダンスの奥が異世界につながっている、誰もが夢見ることが現実に起こる。ワクワクする冒険の始まりです。

この物語の良い点は、兄弟姉妹達はナルニアの人々に 『救世主』 だと言われますが、本人達は最初は何も分からないためその自覚がないこと。そしてその自覚はナルニアの良い住民の人々と触れ合い、ついにこの世界の創造主であるライオンのアスランに出会うことで確立する、というところですね。

誰もが使命を背負ってはいるが、それに気付いていないだけ。そしてその道は険しく時に踏み外すこともある。踏み外したものを許し、元の道へ戻す仲間が必要なのです。だから作者のルイスは救世主である王を1人ではなく、兄弟姉妹の4人としたのでしょう。

ラストもいいですね、兄弟姉妹は白い魔女を倒した後、数年に渡りナルニアを賢く治めて来たのですが、ふとしたことから昔洋服ダンスを通ってこの国へやって来たことを思い出します。そしてその洋服ダンスはまだ存在していたのです…。

訳者の瀬田貞二氏は児童文学家としても著名ですが、さすがに60年代の日本語訳はやや古い感を否めません。そろそろ新訳を出してもいいのでは…著作権の問題で難しいのでしょうか。

評価:(5つ満点)
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名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
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