冷めると冷えるの違いは? 年齢を書くときは才と歳のどっち? 日本語学校の先生と外国人学生がくりひろげる笑える日本語バトル。日本語学校のカオスな日常をマンガで紹介。
(蛇蔵)イラストレーター兼コピーライター。雑誌やゲームで幅広く活躍中。
(海野凪子)日本語教師、日本語教師養成講座講師。
ダ・ヴィンチで紹介を見てから読んでみたいと思っていた本書、でも思い切って買うには…どうしようかなと思ってたら、いつも行くカレー屋さんで発見!これはラッキーとカレーを食べるのもそこそこに読みふけりました。日本語って奥深いですね。助数詞(数え方)とかまだまだ知らないことがたくさんあります。
主人公の日本語教師が手に入れた外国の教科書にあった会話が非常に面白いです。
『すてきなお召し物ですね』 『いえ、こんなのはぼろでございます』
いつの時代の会話だ!?と突っ込みを入れる主人公。本当に 『ぼろでございます』 って切り返されたらどう答えたらいいの?(笑)
中国の学生さんが大学院への受験依頼を教授宛に手紙で書く練習で、美文調(散文形式)で書いてしまったところとかも爆笑!
『**大学院よ、我にその門戸を開きたまえ』
って手紙来たらどうよ!でも中国の学生さん達はみんな絶賛、やっぱり文化の違いって面白い!
機会があったらぜひ皆様もご一読を。日本語について分かる、というよりこんなに日本語教師って面白い経験してます、というお話ですね。続編も刊行予定のようです。
評価:(5つ満点)
昨日小学校を卒業して今日から春休み。でもなんだか私の頭はもやもや。隣の家との争いが原因で家の中もぎくしゃくしている。ある日私はもう家に帰らないで捨てられた古いバスのなかで暮らすことを決めた。 中学生になったばかりの少女の心の葛藤を描く。
(湯本香樹実)ゆもとかずみ。1959年東京都生まれ。東京音楽大学卒業。オペラの台本執筆からテレビ、ラジオの脚本家を経て小説家に。『夏の庭 The Friends』で日本児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞を受賞。十数ヶ国で翻訳出版され、ボストン・グローブ ホーン・ブック賞、ミルドレッド・バチェルダー賞を受賞。主な作品に 『ポプラの秋』 『西日の町』 など。
電車での小旅行(県立美術館行き)に合わせて、ずいぶん前に買ってあった文庫本をひとまず読破。これはYAですね。正直読了直後はイマイチ印象が薄かった本書なのですが、巻末の角田光代氏の解説ですごーく腑に落ちました、角田氏の解説が素晴らしい、必読です(あれ?)。
思春期特有のイライラ、思い通りにならない自分の周りの世界、大人の憂うつが理解できる年頃でありながら自分は何もできない絶望感。おかあさん、おとうさん、おじいちゃん、そしてノラネコにエサを与え続けるおばさん、という周りにいる大人達。人から見れば子どもの世界は小さな世界に見えても、そこに生きる子ども達にとっては豊かで広がり続ける世界なのかもしれない。
という、お話です。作者湯本氏は音大卒だそうです、なんとなく流れるような音楽的なイメージを感じます。溢れる才能で羨ましいなぁ。
評価:(酒井駒子の装画だとつい買っちゃいます)
懲戒免職になった公安刑事だった同期の蘇我。その直後彼は連続殺人の容疑者として手配される。同期として友人としてその行方を追う宇田川に上層部の圧力がかかる。なぜ蘇我は懲戒免職に、容疑者になってしまったのか。立ちはだかる組織の論理に立ち向かう警察官を描く。『小説現代』掲載を単行本化。
(今野敏)1955年北海道生まれ。上智大学卒業。『怪物が街にやってくる』 で問題小説新人賞を受賞しデビュー。『隠蔽捜査』 で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。TBSドラマ 『ハンチョウ~神南署安積班~』 の原作シリーズなど著書多数。
今回もテンポよく、エンタメ度サービス満点です。同期だった公安の蘇我がいきなり懲戒免職になるって…懲戒にすること自体が異例だし誰だって怪しむでしょ。蘇我の行方を追う宇田川が蘇我の元上司に、なぜ蘇我の所在を知りたいのかと聞かれ 『同期ですから』 と答えて上司が一瞬あぜんとするくだり、蘇我は天涯孤独で友人もいないと思われてた(と上司に言っていた)んだろうな、と分かる。ハムの人達のとことん合理主義なところがまた目に付いてしまう。実際今回の事件のようにカモフラージュされていることって結構あるのかなぁ…そしてそれは私達末端(?)の国民には決して見えてこないのでしょうね。
どういう人がハムの人に向いているのか?などと考えてしまいました。このシリーズ続編がありそうな雰囲気だけど、どうかな。
評価:(5つ満点)
1995年3月20日それは何の変哲もない朝だった。変装した5人の男が傘の先を奇妙な液体の入ったビニールに突き立てるまでは。地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめたノンフィクション。巻末に村上のエッセイ掲載。
(村上春樹)1949年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ジャズ喫茶の経営を経て作家へ。『風の歌を聴け』 で群像新人文学賞、『羊をめぐる冒険』で野間文芸新人賞、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で谷崎潤一郎賞、『ねじまき鳥クロニクル』で読売文学賞、『約束された場所で―underground 2』で桑原武夫学芸賞を受賞。また朝日賞、早稲田大学坪内逍遥大賞、フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、世界幻想文学大賞、エルサレム賞などの海外の文学賞を受賞。翻訳多数。
読了までにずいぶん時間がかかった、3週間位。事実の列挙、というドキュメンタリーというものがこんなに読むのが辛いとは。ノンフィクションルポライターなんてこれをずーっとやっているわけでしょう、私ならとても耐えられない。
誰もが、私が、家族が、自分の子ども達が、遭うかもしれなかった地下鉄サリン事件。インタビュイーの一人が
『自分はサリンの被害者ではなく経験者だと思うようにしている』
との一言が、ずしんと来た。
被害に遭った、と思っているうちは加害者への憤りを決して収めることができない。多くの方々がオウムへの怒りを口にする中で、同じ位の人数の方々が 『何とも思っていない』 と口にする事実。村上氏は、事件は決して加害者、被害者だけの問題ではないと訴えている。あれから14年、この本が出版されてから12年。1Q84を読んだ人々のうち一人でも多くの方がこちらを併読してもらえれば、事件について再考する人が増えるだろうか。
非常にただ、重い、思い。それを受け止めようと努力した村上氏には本当に頭が下がる思いです。
評価:(5つ満点)
天下無敵の妄想体質作家 三浦しをんがインターネット上で2年弱書き続けた、ビロウな話ばかりのブログを単行本化。著者自身による脚注と書き下ろしも収録。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『風が強く吹いている』 『光』 『三四郎はそれから門を出た』 など。
三浦しをんのブログの単行本化。とある書評にあった通り前半はつまらないです…多分しをんちゃんブログに慣れていなかったようです。でもだんだん乗ってきます、コミケに行った話、ホコリの舞う(つまり掃除していない)火宅の様子、そこに溢れるBL関連書籍の山。いくらしをんちゃんが好きでもしをんちゃんオススメのBL本にはちょっと手が伸びないなぁ…読めないなぁ(すみません)。
しかししをんちゃんの趣味は幅広く、美大か音大に入ってはぐちゃんかのだめちゃんのような暮らしをしたい とか、アイシールド21を読み出したら止まらなくなった とか、錬金術は等価交換が原則だろう! とか、あーこうした内容が理解できてしまう私もやはり相当ヤバイのかもしれない(笑)。
しをんちゃんファンのための本ですのでファンでない方にはオススメしませんが、ちょっと立ち読みしてみてじこの暴走ぶりに行けそうなら、ぜひアナタもご一読ください。
評価:(5つ満点)
イタリアで働いていた娘が妊娠し帰国する。娘のお腹に宿る赤ん坊はどこから来たのだろう。ある日突然娘の体内から不気味な声が語りかけてくる。イタリア語で海を意味するイルマーレと名乗る声の主はいったい何者なのか?生命の誕生と進化の神秘に迫る。
(村田喜代子)1945年福岡県生まれ。『鍋の中』 で芥川賞、『白い山』 で女流文学賞、『真夜中の自転車』 で平林たい子賞、『龍秘御天歌』 で芸術選奨文部大臣賞を受賞。2007年紫綬褒章受章。主な著書に 『雲南の妻』 『蕨野行』 『十二のトイレ』 など。
生命の進化の歴史?ですかねこのテーマは。イタリア在住中に妊娠し帰国してきた娘、無職のイタリア男の婿付き。それだけでも頭を抱えるようなことなのに、同じく娘夫婦に対して不機嫌ながらも同居のため家のリフォームに嬉々としている夫にもやはりイライラする、初老のマサヨの独り語りで、ある日突然娘のお腹の中の赤ん坊がその前世の記憶をマサヨに語りかけてくるという物語。
妊娠って確かに異形な感覚かもしれない。娘がこれまで良く見知っていた娘ではなくなり更にその娘の中に悪魔が巣食っているような。マサヨの妄想と言えばそれまでかもしれないけど自らについて種の進化から語りかけてくる悪魔はあまりに生真面目で滑稽で、横柄ながら憎めない存在です。
終盤赤ちゃんはついに生まれますが、生まれたと同時にあのおぞましい悪魔の声はマサヨには聞こえなくなるのかと思うと、マサヨ同様少し残念に思えてしまう、なんとも不思議な感覚の物語。装丁もなかなかですね。
評価:(5つ満点)
まあちゃんは元気な女の子。仲良しのみいちゃんはあちゃんといつも一緒。今日は二人におかあさんが作ってくれたすてきなエプロンをみせてあげなくっちゃ。まあちゃんが歩いて行くと…。『まあちゃんのながいかみ』 『まあちゃんのまほう』 に続くまあちゃんシリーズ3作目。
(高楼方子)たかどのほうこ。1955年北海道函館市生まれ。東京女子大学卒業。『いたずらおばあさん』『へんてこもりにいこうよ』 で路傍の石幼少年文学賞、『十一月の扉』で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、『わたしたちの帽子』で赤い鳥文学賞、小学館児童出版文化賞、『おともださにナリマ小』で産経児童出版文化賞を受賞。主な著作にまあちゃんシリーズ、つんつくせんせいシリーズがある。
まあちゃんシリーズ3作目。セット販売の特装版としてしかハードカバーになっていないのでずーっと見たいと思いながらも見ることができませんでした。なんと帰省先のT町図書館にて発見!喜び勇んで母のカードで借りてもらいました、長年待ち望んでいた出会いだったのですが…。正直内容はまあ普通かな。ちょっと絵が細かいので読み聞かせには若干不向きですね。
おかあさんが作ってくれたすてきなエプロン、ポケットが3つついていてそれぞれにハンカチが入っています。それを見た動物達はまあちゃんの気をそらしてハンカチを盗みどりしてしまうのですが…。まあちゃんがポケットを見てみたらちゃんと動物達からのお礼が入っていたというお話。まあちゃんは喜び、ハンカチを手に入れた動物達も喜んでいて、まあめでたしめでたし…なのかな?
まあちゃんシリーズでは 『まあちゃんのながいかみ』 が秀逸で、2作目 『まあちゃんのまほう』 はちょっとイマイチなのですが、この3作目もちょっと…かな?ながいかみで見せてくれたまあちゃんの豪傑ぶりがないというか。もっと大胆なまあちゃんがみたいですね。というのも大人の勝手な見方かな。大胆な女の子まあちゃんシリーズ、オススメです。
◆まあちゃんシリーズ1作目
仲良しのみいちゃんはあちゃんは髪の長いのが自慢。まあちゃんの髪はおかっぱ。でもまあちゃんももっと、ずっと伸ばすんだから!長く長くなったまあちゃんの髪、その長いことといったら…。
◆まあちゃんシリーズ2作目
まあちゃんの魔法でおかあさんがたぬきになってしまいます。でもすぐに元に戻ってまあちゃんとたっぷり遊んでくれるおかあさんに。ところがそこへもう1人のおかあさんがやってきた!
評価:(3冊併せてオススメ)