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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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草祭*恒川光太郎

kuramaturi.jpg団地の奥から用水路をたどるとそこは異界の入口だった。異界に魅入られてゆく友人を救おうと奔走する雄也はやがてこの地が不思議な力を持つ地だと知る。異界と不思議な因縁を持つ美奥を舞台に過去から現代へ紡がれてゆくすぐそばにある異世界の物語。
(恒川光太郎)1973年東京都生まれ。沖縄県在住。 『夜市』 で第12回日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。主な著書に 『雷の季節の終わりに』 『秋の牢獄』 など。
(収録作品)けものはら/屋根猩猩/くさのゆめがたり/天化の宿/朝の朧町

今回も恒川ワールドは健在。美奥になぜ不思議な現象が起こるのか、その歴史を紐解く連作短編集。今回も私達の暮らす世界のすぐ裏、すぐそばにある異世界の物語。そもそも魑魅魍魎は異世界のものではなく、元々私達と同じもの、むしろ私達の中から生み出されたものなのではないだろうか? 『朝の朧町』 で出現する町は幻ではなく、むしろ私達が見ているこの世界が幻なのかもしれない。

今回はちょっと複雑な展開で、それぞれの短編に出てくる登場人物達が微妙にリンクしているところが楽しくもありちょっとややこしくもあり。美奥の成り立ちについてもやや謎が多すぎるのでもう少し美奥の秘密に迫った展開にして欲しかったけど、むしろ謎なことはやっぱり謎なのだから、それでいいのかもしれない。などとブツブツ思ったりしました。私は 『屋根猩猩』 が一番好きです。

今回も色濃い民俗学的雰囲気に大満足です。

評価:(5つ満点)
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光*三浦しをん

hikari.jpgかつて信之、美花、輔が暮らしていた美浜島。大津波により家族も家もふるさともすべて一夜で失うこととなった子ども達。信之は大人になってからも幼なじみの美香を忘れられずにいた。決して断ち切ることのできない運命の糸が3人の人生をどう狂わせて行くのか。孤独を抱えそれでも愛情を求める、大人になりきれない子ども達の物語。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。『まほろ駅前多田便利軒』 で直木賞受賞。主な著書に 『私が語りはじめた彼は』 『しをんのしおり』 『三四郎はそれから門を出た』  など。 

巷ではこの本は恋愛モノに分類されているようでちょっとビックリしますが、これはアダルトチルドレンの物語です。
アダルトチルドレン:機能不全家庭で育ったことにより成人しても内心的なトラウマを持っている人のこと。 「子どもっぽい大人」 の意味ではない。
です。

信之も美香も輔も津波という大惨事で家族も故郷も一気に奪われ、それまで自分の中に持っていたすべてのアイデンティティーを一挙に崩されます。繰り返し出てくる一文に 『暴力によって奪われたものは暴力によってでしか償うことができない』 というものがあります。暴力行為を行うたびに信之が、自分の行為を自問自答するたびに呟くこの言葉。津波という暴力によってすべてを奪われた自分は、同じ暴力によってでしか自分を取り戻すことができないのだ、と自分を正当化しようとする信之。

ハッキリ言ってこれは卑怯。人間は負のスパイラルに取り込まれてしまえば決して逃げ出せないのだと常に自分を正当化しようとする信之。しかしながら彼のこの卑怯さまでもが、彼が本来持っていた人間らしさや優しさがあの大津波によって失われたと考えれば、信之だけを責めることができない、とも思わせてしまう。なかなかに厳しいところを突いて来ます。

信之の考えと行動は人としては許されないものです。しかし人としてそこまで堕ちてしまった彼に対する想いは、嫌悪というより哀惜になってしまいます。 【人はファミリーを失っても生きていけるが、ホームを失っては生きていけない】 という言葉を、しみじみ感じます。

ラスト、定期連絡船の甲板から、崩壊しかけている美浜島を家族とともに眺める信之が哀れでなりません。同じ景色を美花も、輔も、見たかったのではないでしょうか。決して共感はできないのに切り捨てることもできない、そんな後味の残る物語です。

評価:(5つ満点)

365日、まいにち絵本!*別冊太陽

mainitiehon.jpg現在出版されているたくさんの絵本の中から365日行事や季節の出来事にふさわしい絵本100冊を紹介。お正月、節分、ひな祭り、入学、端午の節句…毎日のテーマに沿った絵本で埋め尽くす。今月のお誕生日絵本、おやすみ前に読む絵本も掲載。
(別冊太陽)平凡社刊行の大判ヴィジュアル系ムック。充実した内容に合った価格設定:つまりちょっとお高い。絵本関連のムックも多い。

絵本関連のムックも充実してる別冊太陽の絵本関連の最新刊です。365日毎日が何かの記念日、としたらそれに合った絵本は?というテーマで集められた100冊。そこまで言うなら頑張って365冊提案して欲しかったけど(笑)。時の記念日や針供養などあまり知らない 『今日は何の日』 も分かり面白いです。

今回は割引ポイントなどもあったので思い切って買っちゃいましたがやはり別冊太陽はちょっとお高いかな。でも総カラーだから仕方ないかなー。次の絵本ムックも楽しみにしています。

評価:(5つ満点)

まほろ駅前多田便利軒*三浦しをん

mahoro.jpg東京のはずれに位置するまほろ市。東京なのに東京ではない田舎町。ヤンキーが夜な夜な集会をするまほろ。この街の駅前で多田はひっそり便利屋をやっていた。ある日高校の同級生だった行天が着の身着のまま転がりこんできて、便利屋稼業は2人になった。第135回直木賞受賞。
(三浦しをん)1976年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。本書で直木賞受賞。主な著書に 『私が語りはじめた彼は』 『しをんのしおり』 『三四郎はそれから門を出た』 『光』 など。 

yomyomで三浦しをんの取材エッセイがなかなか面白いのです。この人の感覚はなかなか私に合っているかもしれない。と今まで読んで来なかった三浦しをんを読んでみるか。ということでやっぱりまほろ駅前からでしょう。とようやく読了しました。読み終わってからもしやこれがBLってヤツか?とも思ったけどイマイチピンと来ない、BL。これは違うかも。

コミカルな中に悲哀を込めた作品。章の扉にマンガの挿絵があるのだがこの効果のほどは…?多田も行天もどちらも妙にカッコよく描かれてるし。もしや多田でも行天でもなく、単に扉絵は扉絵の人、なのか?とか訳分からん思考にも入り込みそうになったし。

便利屋が出会う、日々何でもなさそうな出来事に、突如として麻薬取引や契約結婚や乳児突然死という事件が入ってくる。そして人生は誰にとっても決して平凡なものではない、というストーリー。この展開をご都合主義と取るかは読者次第であるけれども、私はいいと思いましたね。何と言っても三浦しをんの文章がなかなかいい、正しい日本語を書く作家は好きです。

評価:(装丁もいい)

松居直のすすめる50の絵本 大人のための絵本入門

matui50.jpg子どもに絵本を与えるお父さん、お母さん、先生方に、まずは絵本をよく理解して頂くために、新旧、国内外のバラエティに富んだ絵本を50冊選び絵本の不思議な力とその読み取り方、楽しみ方を解説。キリスト者としても高名な著者が絵本を通して言(ことば)といのちについて語ります。
(松居直)まついだたし。1926年京都市生まれ。同志社大学法学部卒業。福音館書店創業に参画し、編集部長、社長、会長を経て現在相談役。『ももたろう』 でサンケイ児童出版文化賞を受賞。 日本国際児童図書評議会(JBBY)会長、NPOブックスタート理事長、大阪国際児童文学館理事長。主な著書に 『絵本とは何か』 『絵本・ことばのよろこび』 『絵本のよろこび』 など。

福音館書店の顔である松居直氏のブックリストです。松居氏が選ぶ50冊も気になりますが、あとがきがまた必読。絵本と、絵本を楽しむ子ども達と、そしてその子ども達に絵本を手渡す重要な役割を担う大人達へ向けた、松居氏の愛情あふれる言葉が必読の、素敵な一冊です。

ほんものの絵本に秘められている不思議な力を生かすには、読み手自身がその絵本の深層を読みとり、実感し、共感することが肝心です。(あとがきより)

読み聞かせをする際もっとも重要なこと。それは聞き手(子ども達)と共に読み手がその絵本を楽しむこと。これがもっとも大切なことです。上手に読むことでもなく美しく読むことでもなく、ただ楽しむ。基本でありながら忘れがちのこの言葉を、常に忘れずにおはなし会に臨みたいです。

評価:(5つ満点)

もやしもん*石川雅之

moyasimon01.pngmoyasimon02.png農業大学に入学した沢木惣右衛門直保(さわき そうえもん ただやす)には菌やウイルスが目に見えそれらと交流することができる特殊な能力がある。その能力を高く買っている教授や院生、上級生らの実験に巻き込まれ1年生から研究室に入り浸り毎日菌に関する騒動が繰り広げられる。農大で菌とウイルスと少しばかりの人間が右往左往する物語。脚注、欄外の登場人物紹介欄やつぶやきなどが雑誌掲載時と全く同様の形で収録されているため、読むところが多くて大変。2007年フジテレビでアニメ化、手塚治虫文化賞マンガ大賞、講談社漫画賞一般部門、醤油文化賞を受賞。イブニング連載。
(石川雅之)1974年大阪府生まれ。漫画家。主な作品に 『純潔のマリア』 など。

友人がメールをしてきました。 『今日科博( 国立科学博物館、上野公園)に行って来ました。ところで 「もやしもん」 ってマンガ読んだことある?私はこれから読むつもり。』 で私ももやしもんを読むことにしました。何で科博へ行って、もやしもんってマンガなんだ?というツッコミはあえてせず、そのまま貸し本屋(じゃなくてレンタルビデオ)に直行、潔い私。そこで6巻まであったので借りてきました。

簡単に言って上記↑にある通りのマンガです。それ以上でもそれ以下でもありません。作中で菌たちがたびたび発する 『かもす(醸す)』 という言葉は 『繁殖する』 『発酵、腐敗させる』 ことを指すそうです、へー。O-157とかは 『かもす』 『かもして殺す』 とかつぶやいてます、結構怖いマンガです(笑)。

教授と院生は最初は直保を使って新種のウィルスを発見しようとか思っていたようですが、2巻くらいから2年生のコンビを加えてみんなで研究室でワイン作りを始めます。ほっとんどそのワイン作りに明け暮れ、その間に学祭があったり細かい恋愛模様(なのか?)があったりで、物語中の時間は遅々として進みません。人間関係もごくわずかな人々しか出てこないのにそれぞれのキャラが強すぎるのか自己主張が強すぎるのか、支離滅裂。だが物語はどうしたわけかちゃんと進んでいる…何と言うか実に形容しがたいマンガであります。作者の言葉にある【農大で菌とウィルスと少しばかりの人間が右往左往する物語】という解説は、まさにピッタリすぎます。

でも巷では人気マンガのようです。人気の秘密はイマイチ分からないのですがとにかくニュータイプであることは間違いなし。ストーリー展開はないようでちゃんとあるし、コンセプトはあいまいなフリをして実は骨太そうだし。しかし脇(欄外)の登場人物紹介や菌類紹介の解説に気を取られすぎで本編に集中できません、私の場合。絵が特別上手いわけでもしっかりしたストーリー展開もないけどなぜか人気。つまらなくもないけどかと言って面白くもない、微妙な感じ。そこが人気の秘密なのかも?(以上、すべてごめんなさい石川先生

直保はこの後どうなるのかな…それを言ったら樹教授も樹ゼミに集う学生達も、永遠に学祭してそうな雰囲気です。

評価:(5つ満点)

【おまけ】
ちなみに科博のHPより、先日終了した特別展示のページを発見。そこのイメージキャラクターにもやしもん達が!すごい出世だわ。 『今秋、僕たちが上野の森をかもします!』 だって!!

kinrui.jpg











 

のうだま やる気の秘密

noudama.jpg三日坊主は当然。続けられないのは脳が飽きっぽくできているから。だからやる気を引き出すためには脳をだませばいいのです。最新の脳研究を元に続ける技術とやる気の秘密を解き明かす。三日坊主も習慣化も元をただせば同じ脳の働きだったとは。脳科学の研究家 池谷氏と 『キッパリ!』 の上大岡トメの対談を元にマンガで分かりやすく解説。
(上大岡トメ)1965年東京都生まれ。東京理科大学工学部卒業。イラストレーター、エッセイスト。主な著書に 『キッパリ! たった5分で自分を変える方法』 『スッキリ! たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法』 など。
(池谷裕二)1970年静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。東京大学大学院准教授。主な著書に 『進化しすぎた脳』 『記憶力を強くする』 糸井重里との共著に 『海馬-脳は疲れない』 など。

三日坊主になるのは脳が飽きっぽくできているから。なのですが、それは実は生き延びるために必要な脳の働きである。というお話。脳が飽きる=慣れる、ことがなければ様々なストレスを乗り越えることができないため、脳は慣れる=飽きる、ようにできているのだそう。

逆にこの飽きる=慣れる、を利用して、毎日の習慣にしてしまえばこっちのもの。というお話です。なるほど理屈はよく分かるのだが…。そこで本書は要点を絞りに絞り、脳が飽きる→脳にやる気を起こさせる→4つのスイッチを入れる!という結論を出しました。その4つのスイッチが

カラダを動かす
いつもと違うことをする
ごほうびを与える
なりきる

だそうです。ここまで書いちゃったらこの本読まなくてももうOKだって?いやそう言わずに読んでみてね。

確かにやる気がなくてもとにかくそこへ行ってみたり、身体を動かしてみると何となくできてしまうことって多いです。またルーチンになりがちなこともちょっと目先を変えてみるだけでやる気が出たり。

しかしごほうび作戦は私はいつもうまく行かないですね…。 『これができたらこれをしてもヨシ』 というタイプのごほうびは、ついつい先にごほうびをしてしまうことばかりです。全然ごほうびになってない。

でも 『なりきる』 作戦はいいかも。成功した自分をイメージする!ってヤツですな。これってそのイメージが出来上がれば半分以上目的は達成されたかも同じかもしれません。というくらいなかなかな効果があります。

そして毎回思うのですが、こういうHow to 本は数週間なり数か月なりの周期で再読することが最も効果的であります。…ってそれができてればその他のやりたいことも全部きっとできているのでしょう(笑)。とはいえなかなか面白い本です。

評価:(5つ満点)

おはなし会プログラム

ohanasikaip.jpgJPIC発行のえほん大好きマガジン 『この本読んで!』 の人気企画 『おはなし会プログラム』 が1冊の本に。親子で絵本を読み聞かせたり図書館や児童館など地域活動の中でおはなしの世界を楽しむおはなし会の企画、プログラムを提案。乳幼児から小学校高学年まで年齢別・季節別のおはなし会プログラム116本を紹介。何でもQ&Aも収録。
(JPIC)ジェイピック。財団法人 出版文化産業振興財団。出版・読書に係る生涯学習の推進、調査研究、人材育成、情報の収集、提供を行い、読書活動の推進を図る。

季刊誌 『この本読んで!』 のおはなし会プログラムを一挙にまとめたお得な一冊。季節ごとに乳幼児から小学校低・中・高学年ごと、中高生、シニアまで対象ごとに細かく分けられたおはなし会のプログラムは非常に参考になります。全編カラーで表紙画像が付いているのもとても分かりやすいです。

テーマに沿った絵本やおはなしを組み合わせたいといつも考えていても、なかなかすぐに決まりません。おはなし会が終わった後になって 『あっあんな本もあった…』 と気づくこともしばしば。また魅力的な絵本でも実際に読み聞かせをしてみるとそうでもなかったり、逆にそれほど期待していなかった本に子ども達はとても喜んでくれたり。まだまだプログラム作りはこれ!というのはなく、日々勉強です。

今どの本にも 【読み聞かせの基礎】 という情報が載っていて本当に親切ですね。絵本の開き方、めくり方、持ち方に始まり、読む速度や声音を使い分けるか否か、などなど。こうした情報を本ごとに確認するのもいい勉強になります。

評価:(おはなし会の企画に)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
只今読破中
木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
読書 映画鑑賞 観劇
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車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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