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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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MOMENT*本多孝好

moment.jpg幼なじみの葬儀屋 森野が紹介してくれた病院で清掃員のアルバイトをする大学生の僕は、その病院に伝わる都市伝説を耳にする。死を目前にした患者の前だけに、死ぬ前に願い事を一つだけ叶えてくれる黒衣の男が現れるというものだった。僕は思いもかけずその伝説を引き継ぐこととなるが。
(本多孝好)1971年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業。『眠りの海』 で小説推理新人賞を受賞。主な著書に 『真夜中の五分前side-A/side-B』 『チェーン・ポイズン』 『Fine days 恋愛小説』 など。

ファンタジーと思わせて実は現実的な風刺の効いた話。本多孝好は割と毒のあるタイプとみました。うわべだけのストーリー展開ではないところが非常に面白いです。

末期患者一人ひとりの 『願い』 、その表向きの言葉の裏に必ず潜んでいる隠された本音。その本音の描き方がまたいいですね。願いを叶えてくれる 【仕事人】 なる人物が自分以外もいるのかいないのか…そこに迫る僕の心情が巧みに読者にも伏せられているところがまた上手い。

新作 『チェーン・ポイズン』 も楽しみです。

評価:(5つ満点)
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好奇心の部屋デロール

koukisin.jpgフランスのパリにあるデロールは世界中から集められた動物の剝製、昆虫標本、鉱物を扱っている。今も昔も人々の未知なる動植物への好奇心を満たしてくれる店の様子を紹介。たくさんのふしぎ傑作集。
(今森光彦)1957年滋賀県生まれ。写真家。身近な自然と人との関わりをテーマに追い続けている一方、世界の辺境地に訪問を重ねあらゆるフィールドで取材している。主な作品に 『今森光彦昆虫記』 など。 

本物のヴァンダーカマー、デロール。剥製や標本だらけでちょっと(かなり)怖い…夜中に動いてそう?かつては販売していた多くの剥製は現在作成ができない動物のものもあり、レンタルが主となっているそうです。

一度は行ってみたいデロール、こういうお店が存在し今も営業していること自体がすごい。パリへお出かけの際はぜひ(いつ?)

DEYROLLE
46 rue du Bac 75007 Paris

評価:(5つ満点)

氷の華*天野節子

korihana.jpg誰もが羨む瀟洒な生活を送る結婚12年目の恭子と瀬野。だが夫の海外出張中にかかってきた愛人と名乗る女からの電話が恭子を殺人者へと変えていく。計画通り犯行に及んだ恭子だったが次第に膨らむ疑念。私が殺したのは本当に夫の愛人だったのだろうか?自らが殺めた女について探るうちに自分に仕掛けられた罠の存在に気付く。恭子を疑うベテラン刑事 戸田との攻防も絡め、恭子は次第に取り返しのつかない渦の中へ引き込まれていく。初出は2006年幻冬舎ルネッサンスより個人出版(自費出版)。2008年秋テレビ朝日にてドラマ化。
(天野節子)1946年千葉県生まれ。元幼稚園教諭。知育教材開発者。還暦の節目に自費出版した本書がベストセラーに。

本作は当初自費出版だったそうです。その前にもいくつかの文学賞に応募した作品だそうですが…他作がよほど出来が良かったとか?これで文学賞に落ちるならやっぱり相当頑張らないと作家になんてなれないのねぇ。というほど破綻のない作品。自費出版後人気が出て本家幻冬舎から再出版、更にドラマ化までされたのに、著者本人はプロ作家になるつもりはない、と公言しているそうです。どんどん書けば売れそうなのに安売りせず、カッコいい。

トリックの凄さよりも人という生き物の執念、それが本作のテーマ。人の人たる所以はやはり、そのプライドだろうか?人を陥れてまで愛を貫こうとする瀬野とかつての恋人 和歌子、対する欲しいものは何でも手に入れてきた恭子。それでもなお満たされることのない彼ら。恵まれていることは実は、悲しいことなのかもしれない。

評価:(5つ満点)

食いしばるために、奥歯はあるんだぜ!*大條充能

kuisibaru.jpgQ. 会社が倒産するという噂があります。 A. 俺は噂は大嫌いだ! と破天荒な回答が次々に繰り広げられ、爆笑の後は迷いが断ち切れて気持ちがスッキリしてしまう。常に 『素の自分に正直にかつ真剣に生きる』 著者が、就職活動中の学生や常に悩みを抱える働く人々の悩みに、愉快・痛快・豪快に答える人生相談。リクルート社内報かもめの人生相談コーナー及びリクルート社発行の各誌における人生相談から選りすぐりを編集。男・大條の 『熱いぜ!』 が繰り返し見られる一冊。
(大條充能)だいじょうみつよし。1965年青森県生まれ。リクルート社入社後 総務部で活躍。25歳の時リクルート社内報かもめで人生相談コラムを開始、現在に至るまで17年間連載中。32歳にリクルートより独立、株式会社ゼロイン設立、代表取締役社長に就任。 『~だぜ!』 『熱いぜ!』 という独特の語り口と常に変わらぬ熱いメッセージを読者に発信し続けている。主な著書に 『熱いぜ!!悩まない人生法』 『社会人のオキテ』 など。

この↑上記の説明文だけで内容紹介は十分かと思いますが…。私、男・大條さんのファンなんです。昔っからファンなんです。ダ・ヴィンチの人生相談コーナー 『愛と怒りの中間点』 で初めて大條さんの 『熱いぜ!』 回答を見て以来、私も何か相談しなきゃと思い続けて早数年…私にあまり大した悩みがないってことなのかな?ちなみにリクルート社内報かもめでのコーナーの名前は 『愛と怒りの地平線』 だそうです。

破天荒な回答ながらもそこには常に問題に真剣に向き合う大條氏の姿を見ることができます。他にも

Q. 貧乏で大変。まわりの友達にも心が開けません。
A. 心など開くな!
ずばりそうかもしれません。親に援助してもらいながら優雅な学生生活を送る周囲の大学生と、苦学生の自分。その距離は縮まりません。決して無理して付き合うことなどないのです。

Q. 鉄分が足りない。
A. 五番アイアンをなめろ!
爆笑  そう、鉄分が足りないならアイアンをなめればいいのです。

評価:(5つ満点)

ひとこぶらくだがまっていた*岸田衿子

hitokobu.jpgちいぼうは5歳の男の子。休みの日はいつも山のデパートの大きいこぞうさん、ゆねさんと一緒。ある日ちいぼうはゆねさんとくろまめの実を採りに山まで行くが、ゆねさんとはぐれてしまう。ちいぼうを乗せたジープが突然走り出し、向かった先にはひとこぶらくだが待っていた。ちいぼうを乗せたひとこぶらくだはジャングルを進んでいく。ジャングルでちいぼうが様々な動物に出会う冒険物語。岸田衿子のナンセンス童話を長新太の挿画が盛り上げる。
(岸田衿子)1929年東京都生まれ。詩人、童話作家。東京芸術大学油絵科卒業。主な著書に 『かばくん』 『ジオジオのかんむり』 『きょうのおべんとうなんだろな』 他多数。
(長新太)1927年東京都生まれ。東京市立蒲田工業学校(現 都立一橋高等学校)卒業。絵本作家。文藝春秋漫画賞、国際アンデルセン賞優良作品、講談社出版文化賞絵本賞、厚生省児童福祉文化奨励賞、絵本にっぽん賞大賞、 路傍の石幼少年文学賞、日本絵本賞を受賞。また1994年に紫綬褒章を受賞。著書、挿画多数。

長新太の話題になりふと思い出した本書。子どもの頃うちにあり何度も何度も読み返した本書。長新太の挿画だったけど、題名は 『ひとこぶらくだがやってきた』 だと思い込んでました。そんなうろ覚えの情報でも何でも探せるようになったインターネット、本当に本当に便利な時代になったものです。

しかし県立にも蔵書がない。どこから借りられるだろか…と思っていたら司書をしている友人が、近郊のG図書館にあると調べてくれました!県立図書館の横断検索をすれば出てくるとのこと。横断検索って初めて知りました、そしてなんと便利なのだろう!県立図書館のみならず、県内他館の蔵書検索が一挙可能に!(※インターネット検索が可能となっている館に限りますが、念のため)。こりゃあ便利、今まで知らなかったとはずいぶん損してた気分。ということでH図書館から相互貸借を依頼し快諾され、即座にG図書館から手元にやってきました。ああ~なんてすばらしい時代になったんだ!

本書は昭和43年刊、現在絶版です。G図書館書庫にあったこの本、実にきれいに保管されています。つまりは読まれていないということだが…。しかもサイズはB5判という大判でこれもまた新鮮。早速読み始めました。

評価:(昔の面白い本どんどん教えてください)

うおいちば*安江リエ/田中清代

uoitiba.jpg小学生の女の子の目を通して市場の仲買人の取引の様子を紹介する。綿密な取材を元に分かりやすく解説、田中清代の挿画も分かりやすい。月刊かがくのとも478号。
(安江リエ)1949年兵庫県生まれ。大学卒業後子育てをしながら共同保育所の運営に15年ほど関わる。主な絵本に 『おやすみなおちゃん』 『はがぬけたよ』 『みどりのホース』 『ねえどっちがすき?』 など。
(田中清代)1972年神奈川県生まれ。多摩美術大学油画、版画専攻卒業。ボローニャ国際絵本原画展ユニセフ賞を受賞。主な絵本に 『トマトさん』 『おきにいり』 など。

『トマトさん』 の田中清代が好きです。更に私の暮らすH市は漁獲水揚げが全国でも有数の水産都市であり、もちろん魚市場もあるのですがその実情をほとんど知りません。ということで第2王子にというより私自身にもとても勉強になりました。

改めて読んでみると大変分かりやすいので、図書館のおはなし会でも使ってみたところ、とても好評でした。子どももやはり知識絵本が好きなんですね、改めて感じた一冊です。

おはなし会では他のおはなしの絵本と異なり、聞き手である子ども達と一緒に会話をしながら進んで行きました。
『H市にも魚市場があります、その魚市場のおはなしです』 から始まり、朝4時に魚市場へ行くシーンでは 『暗ーい!』 、たくさんの魚がいけすに並んでいるシーンでは 『あっあわびだ、オレあわび大好き』 『へーあわび食べるの?』 と会話が弾みます。

おはなしを一心に聞いてくれる子ども達の様子もとても嬉しいですが、このように一緒に考えながら会話しながら進むことができる知識絵本の魅力について、新たに発見した気分です。ぜひこの本はハードカバー化を進めていただきたいですね。

評価:(5つ満点)

ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ

9storiesgenji.jpg源氏物語の新訳・超訳に現代作家が挑む。あの人の源氏の解釈は?月刊新潮10月号既出に3章加筆。
(収録作品)帚木(松浦理英子)/夕顔(江國香織)/若紫(角田光代)/末摘花(町田康)/葵(金原ひとみ)/須磨(島田雅彦)/蛍(日和聡子)/柏木(桐野夏生)/浮舟(小池昌代)

ということで追加になった3章を加えた本作、読みました。
改めて全章読みましたが、やっぱり面白いのは町田康 『末摘花』 と桐野夏生 『柏木』 ですね。今回加わった 『帚木』 は空蝉の章、 『蛍』 は玉鬘の章、そして 『浮舟』 は薫と匂宮に愛される浮舟の章です。

浮舟って一番気の毒な気がします。薫と匂宮に出会う前も出会ってからも苦労続き、幸せってどこにあるのかしら。それもこれも源氏の君の現世での宿業を、全部薫が背負ってしまったからじゃないの?と思ってしまいますね。

個人的には桐野夏生と町田康の全訳を読みたいですねぇ。

評価:(5つ満点)

くすのきだんちは10かいだて*武鹿悦子/末崎茂樹

kusunoki01.jpgkusunoki02.jpgもぐらのもぐは 『くすのきだんち』 の管理人。風と光に包まれて野原にそびえる10階だて。素敵な住民たちと暮らすもぐは、レストランもあるこの家がとても気にいっています。でも空き室がうまればもっと嬉しいのにな。(くすのきだんちは10回かいだて)くすのきだんちに仲間が増えましたがまだ8階が空き室。ある日かえるが部屋を見せて欲しいとやってきますが。シリーズ第2弾。 (くすのきだんちへおひっこし)
月刊絵本 『おはなしひかりのくに』 より再編集。
(武鹿悦子)1928年東京都生まれ。絵本作家。詩集 『ねこぜんまい』 でサンケイ児童出版文化賞、日本童謡賞受賞。主な絵本に 『うさぎのそり』『月の笛』など。
(末崎茂樹)1948年大阪府生まれ。天王寺美術研究所に学ぶ。主な絵本に作品に 『くませんせいはおいしゃさん』『わんぱくだん』シリーズなど。

保育園で先生に読んでもらい、造形展での感想画の題材となった、くすのきだんちのおはなし。第2王子が気に入っているとのことでうちでもまず第1弾 『くすのきだんちは10かいだて』 を買いました。レストランのあるくすのきだんち、色々な動物たちが助け合い、思いやりありながら暮らしています。

ちょっと謎めいたふくろうやモモンガ、レストランを経営するりす夫婦など愛らしい住民たち。第2王子は 『だんちに引っ越したーい』 と言ってますがこんな団地はなかなか見つからないかも…ママも暮らしたいけどエレベーターがないみたい、レストランくるみ亭には毎回階段か?と思っていたところへ第2弾 『くすのきだんちへおひっこし』 をサンタさんからもらいました。kusunoki03.jpg

空き室の8階を内覧するカエル。階段がないし上下の階には両方とも鳥が住んでいるんだって!そりゃあ怖いとても無理…と帰ろうとしたところ、階段から滑って落ちて大けがをしてしまいます。うさぎの看護師さん(もう看護婦さんではないです)達に手当をしてもらい、サルの大工さんに内装を頼んで暮らしやすくなった8階。その部屋の違いを見つけるのも面白いですよ。

大人気シリーズとのことで第3弾も第2王子と一緒に楽しみにしています。
第2王子造形展作品

評価:(5つ満点)

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今週の私
急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
読書 映画鑑賞 観劇
かぎ針編み プール
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車が新しくなりついにiPodがつなげる環境に!すごいぞ技術の進歩!
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