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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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ジスイズユナイテッドネイションズ

unitednations.jpg国連ってどんなところ?平和のために捧げられた芸術作品が飾られた建物の中を世界各国のガイドさんが案内します。国連には色々な建物、部屋、組織があってみんなそれぞれがいろいろな仕事をしているのです。1968年当時の国連の様子を紹介。
(ミロスラフ・サセック)1916~80年。チェコスロヴァキア、プラハ生まれ。絵本作家、イラストレーター。若き日にプラハで建築をパリで芸術を学ぶ。著書に 『ジス・イズ・ニューヨーク』 でニューヨーク・タイムズ誌選定最優秀絵本賞受賞。

1968年当時の国連について、ニューヨークの本部をはじめ多くの専門機関についての説明があり、大変勉強になります。

まず国連の建物内はすべて治外法権であるということ、これすら知らなかった。そしてロビー、ホールに溢れる芸術品の数々。オランダ、ギリシャ、日本、イスラエル、ナイジェリア、ベルギー、イラン…多くの国々から贈られた絵画、彫刻、じゅうたん、ステンドグラス。これらを見に行くだけでもかなりの価値がありますね。
国連発行の切手や各国の民芸品販売ショップもあるそうで、見たい!

現在も平和維持軍として活動している国連軍の活動の是非についてはそれぞれの立場で意見が分かれている、非常に微妙な問題です。それでも経済、教育、健康など多くの問題に取り組んできた国連とその専門機関、WHO、IMF、UNICEFなどが果たしてきた役割は決して小さくはありません。

この本が描かれたのは1968年。現在は2007年、40年経った今、世界平和への道はどこへ進んでいくのでしょうか。国連の仕組みと大人の方にもオススメです。

評価:(5つ満点)
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建てて、いい?*中島たい子

tateteii.jpg35歳独身の真里はアパートの階段から落ちたのをきっかけに、40歳までに結婚すると決意する。しかしそれは本当に自分がしたいことなのだろうか。自分の人生を真剣に考えた結果、真里が出した結論は自分で家を建てることだった。反対する家族、親族を巻き込み 『家を建てる』 ことの本当の意味を考える。 『群像』 掲載を単行本化。
(中島たい子)1969年東京都生まれ。多摩美術大学卒業。『チキチキバンバン』 で日本テレビシナリオ登竜門の大賞を受賞。『宇宙のペン』 で城戸賞準入選をはたし、以後映画製作等に携わる。 『漢方小説』 ですばる文学賞を受賞。
(収録作品)建てて、いい?/彼の宅急便

『建てて、いい?』×4ですが、同時収録短編 『彼の宅急便』 は久々に短編では×5の、おおっ!と言わせる作品でした。

『建てて…』 はテンポもよく概ねいいのですが、不要な伏線というか意味のない伏線があることがややマイナスポイントですね。自分の居場所を作りたい、という真里の心情をもっと全面に打ち出して欲しかったです。あとは場面転回、回想の挿入が何箇所か違和感を感じるところがあり、小説としては 『漢方小説』 の方がまとまっていた感がありました。

これに対して 『彼の宅急便』 は色々思い悩む主人公の心情をつらつらと綴っていき、ラスト、彼からの宅急便に同封されていたたった一行の手紙で大ドンデン!爆笑!という展開が見事でした。オーソドックスな形式かもしれないけど、短編の面白さはこういう展開にあるなと久々に思いました。むしろこちらの方が必読。

評価:(5つ満点)

きみのためのバラ*池澤夏樹

kiminotame.jpgヘルシンキ、ミュンヘン、メキシコ、沖縄。世界の片隅でひっそりと起こる出会いと別れを美しい8つの物語に結晶させた、12年ぶりの短篇集。 
(池澤夏樹)1945年北海道帯広市生まれ。都立富士高校卒業、埼玉大学中退。詩人、翻訳家、小説家。翻訳はギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。 『スティル・ライフ』 で中央公論新人賞、第98回芥川賞、『マシアス・ギリの失脚』 で谷崎潤一郎賞、 『花を運ぶ妹』 で毎日出版文化賞を受賞。主な著書に 『キップをなくして』 『静かな大地』 など。  
(収録作品)都市生活/レギャンの花嫁/連夜/レシタションのはじまり /ヘルシンキ/人生の広場/20マイル四方で唯一のコーヒー豆/きみのためのバラ

池澤氏の書く 『短編小説らしい小説』 が私は好きですね。短い中にテーマが完結していて、スッキリとムダがない。これぞ小説。ですね。

『レシタションのはじまり』 は素晴らしかった。現代のおとぎ話ですが、現実感に溢れた流れになっています。ひょっとすると明日が、5年後に世界中の軍隊が解散する、その始まりの日になるかも…なんて。

『ヘルシンキ』 もひっそりと悲しい物語で好みですが、 『20マイル四方で唯一のコーヒー豆』 も良かったですね。これは17歳の少年が主人公ですが、池澤氏は還暦を過ぎてなお、こうして少年の視線を捉えるのが何て見事なのでしょうか。これぞ小説家ですね。

この三篇は必読です。

評価:(5つ満点)

鏡の法則*野口嘉則

kagamino.jpg私達の人生の現実は私達の心を映し出した鏡である。短い物語に誰もが抱える悩みを解消し運命を切り拓くヒントがある。コーチングのコーチによる、インターネットで反響を呼んだコーチング実践のストーリー。第1回読ませ大賞受賞。
(野口嘉則)1963年広島県生まれ。広島大学経済学部卒業。心理コンサルティング事務所を開設、03年に(有)コーチング・マネジメントを設立。現在コーチとして150以上のクライアントの目標達成をサポートする。  

現実に起きる出来事は一つの結果であり、結果には必ず原因がある。そしてその原因はあなたの心の中にある。人生の現実は心の中を映した鏡なのだ。
というコンセプトで書かれた、実例を紹介しながらコーチングのコーチがコーチングとは何か、その実態を紹介した本です。内容は、当初野口氏のサイト上で紹介された野口氏のコーチング内容を紹介した話が話題になり、書籍化されたのだそう。

インターネット上ではこの本に対して賛否両論です。賛成派は恐らくコーチングを知っていて、今回の事例もその手法を支持しているのですが、反対派は前半に紹介されている 『実話に基づいた話』 が胡散臭い、と意義を唱えているようです。でも私自身の感想は、この 『実話に基づいた話』 が実話であろうがなかろうがそれほど問題ではなかろう、ということです。

この本は 『コーチングとは何か』 を実例を紹介することで分かりやすく紹介した本です。
人生では様々な困難なことが起こる、しかし自分が今困難と思っているその 『結果』 は、実は自分の中に 『原因』 があるのである。その結果の捉え方、対処の仕方を学ぶことにより解決へと導くことができる。それがコーチングです。コーチングを知っている人が読めば胡散臭くもなくごく当たり前のように感じるのですが、そうではない方には胡散臭いと感じるのでしょうか?

確かに本の宣伝帯には 『読んだ9割が涙した!』 とかあってそれはなかなかオオゲサだな、と苦笑してしまいますが(私は泣かなかったです)、涙しようとしまいと、こういう考え方があってもいいかも、こういう考えなら上手く行くかもしれない、と考えるきっかけにはなってくれると思います。自分の気持ちを切り変えるための段階的な手法が、後半に書かれています。

話題なので最初図書館で借りましたが、結局買いました。値段も手ごろだし時々自分の行動を振り返るのにもいいかもしれないと思って。でもなかなか本の通りにできないんですけどね。

評価:(5つ満点)

ミリオネーゼの手帳術*佐々木かをり

million.jpg手帳術流行の昨今。2社の社長であり2児の母親でもある著者が、仕事、育児、講演などを意欲的にこなすスケジュール帳活用法を披露。夢をかなえる5つの方法とは?『やりたい』 ことをすぐに実行する秘訣を伝授。
(佐々木かをり)横浜市出身。上智大学卒業。イー・ウーマン社長、ユニカルインターナショナル社長。国際女性ビジネス会議実行委員長、内閣府国民生活審議会委員、コメンテーター、多摩大学客員教授。主な著書に 『佐々木かをりの手帳術』 『自分が輝く7つの発想』 など。

ふとこの本の紹介が目に入ったのでどうかな、と読んでみたのですが、基本的には 『夢かな手帳』 と同じですね。

1) スケジュール帳は必ず一冊で管理する、アイデアもメモもそこへ記入し常に持ち歩くこと。
2) 用事の開始と終了の時刻、移動時間を必ず枠に取る。
3) すぐに手帳へ書き込む→忘れない→必ず行う結果となる

などなどですね。やりたいことはすべてスケジュールに組み込むこと、例えばプールで泳ぐ、英語の勉強など思い立ったら1日のうちのいつできるか、1週間のうちのいつできるかを 『予定』 として組み込んでしまう。更には自分にとっての休憩時間 『ダラダラする予定の時間』 も書き込め、とある。しかしこれはどうかな…だってダラダラしたいのって予定通りにくるわけじゃないから。でもこういう超々多忙な人はダラダラするのもスケジュール通りこなしちゃうってことなんだろうなぁ(笑)。

その他も
4) 手帳の枠は30分ごとが望ましい、縦の時間軸がベスト
5) アイデアは手帳へ予定として書き込む→実践しやすくなる
6) ToDoのチェックボックス( □振込 )を作る

夢かな手帳もクオバディスも1日の時間軸が縦で、これは非常に使いやすいです。一度縦軸のものを使ってしまうともう横軸の手帳には戻れないほど(笑)。それからメモやチェックボックスも夢かなの人が言っているのと同じで私も実践済み。

…なのにミリオネーゼ(とは8桁稼ぐ女性のことだそうだ)には程遠い私…ナゼ?(笑)

評価:(市立にはなく県立図書館にあった本)

1ポンドの悲しみ*石田衣良

1pound.jpg数100キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりはお互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には胸の奥をえぐられるような悲しみが待っていた。16歳の歳の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる主婦、自分が幸せになれないウェディングプランナー。迷い、傷つきながらも恋をする女性を描いた、10のショートストーリー。『スローグッドバイ』 に続く恋愛短篇第2集、『小説すばる』 掲載を単行本化。 
(石田衣良)1960年東京生まれ。『池袋ウエストゲートパーク』 でオール読物推理小説新人賞を受賞しデビュー。 『4TEEN』 で直木賞を受賞。 主な著書に 『約束』 『娼年』 『LAST』 など。
(収録作品)ふたりの名前/誰かのウエディング/十一月のつぼみ/声を探しに/昔のボーイフレンド/スローガール/1ポンドの悲しみ/デートは本屋で/秋の終わりの二週間/スターティング・オーバー

30代の恋愛を描いた短編集。ということだけど正直物足りなかった…。今の30代は本当に石田氏の描くようにみんな大人になりきれていないのだろうか?(人のこと言える立場かー)

『1ポンドの悲しみ』 なんて私にはただオオゲサすぎる話としか思えず…この2人は相当訳ありカップルなのか?と盛り上げておいてラストが…アレッ? 『ふたりの名前』 『デートは本屋で』 がまぁまぁであとはイマイチ。

主人公達は30代ですが、読者対象はYA(ヤングアダルト)でいいと思います。 

評価:(5つ満点)

累犯障害者 獄の中の不条理*山本譲司

ruihan.jpg獄中での経験を胸に現在障害者福祉施設の支援スタッフとして働く著者が調べた 『障害者が起こした事件』 のルポタージュ。仕事を得る場所、暮らす場所、人並みの幸せを得る場所を 『シャバ』 に見出せなかった人々が 『犯罪者』 として刑務所に 『暮らす』 現実。犯罪を繰り返す者、明らかな冤罪にも関わらず服役することになった者、そこには目に見えない 『知的障害』 という大きな要因があったのだ。その他 『ろうあ者だけの暴力団』 『親子で売春婦の知的障害者』 など驚愕の現実を伝える。
(山本譲司)1962年北海道生まれ。早稲田大学教育学部卒。菅直人代議士の公設秘書、都議会議員を経て国政の場へ。衆議院議員二期目の2000年、政策秘書給与流用事件を起こし、実刑判決を受けた。 著書に433日に及ぶ獄中の生活を記した 『獄窓記』 がある。

著書 『獄窓記』 の続編として出された本作だが、著者自身も述べているこのショッキングな題は、なぜ障害を持つ人々が何度も犯罪を繰り返し刑務所に収監されてしまうのか、ということから始まっている。現在障害者福祉施設でスタッフとして働く山本氏が自らの足で調べた、障害者が関わった様々な事件には驚きを隠し得ない。

刑務所を出ても身寄りがなくまた刑務所に戻りたいがために軽微に罪を犯す人、それがエスカレートして毎回放火を行う人。明らかな冤罪であるにも関わらず、暴力団などの犠牲となって服役している人。彼らには人並みに幸せを求め、それを享受する権利すらないのだろうか?だとしたらそれはどうしてなのだろうか?

評価:(5つ満点)

獄窓記*山本譲司

gokusouki.jpg国会で見えなかったことが刑務所で見えてきた…。秘書給与事件で実刑判決を受けた元衆議院議員が、刑務所内で配置されたのは 『寮内工場』 。寮内工場とは何か、その実態は。真摯に服役する中、日々起こる様々な出来事、実刑判決を受けた事件への悔悟、家族への思慕、そして多くの受刑者達同囚への想いを綴る。第3回新潮ドキュメント賞受賞。
(山本譲司)1962年北海道生まれ。早稲田大学教育学部卒。菅直人代議士の公設秘書、都議会議員を経て国政の場へ。衆議院議員二期目の2000年、政策秘書給与流用事件を起こし、実刑判決を受けた。 

この本が出版されたのは2003年。正直その当時は山本氏の釈明本だとばかり思っていましたが、今年になりこの続編と言える 『累犯障害者 堀の中の不条理』 が出版されたことにより一緒に紹介されている本書の記事を見て、改めて読んでみようと言う気になりました。そして改めて記事の通り、山本氏は本当に潔い人物なのだと痛感しました。

本書が世に出た意義は大きく2つ、1つは山本氏が逮捕され一審での実刑判決を受け服役した事実、罪を罪として認め自身が受け入れたという真摯な姿勢を世に示すこと。そしてもう1つは刑務所内の実態、特に山本氏が配役された 『寮内工場』 と呼ばれる作業所の実態がつぶさに描かれたこと。誰もがこの実態にショックを受けるだろうと思うほど、寮内工場の現状は壮絶である。そしてそこで真摯に服役した山本氏には本当に感動を覚えます。

評価:(5つ満点)
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急にアクセス数が増えていて、自分でもビビリ…(笑)。10/10でブログ開設10周年!日付が追いつくよう頑張ります。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
兼業主婦
趣味:
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かぎ針編み プール
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