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DaisyAKM Archives

読書と映画と観劇と

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刑務所の中*花輪和一

keimushononaka.jpg90年代半ば頃改造モデルガンや故障した拳銃を修理した物を所持している件で警察に自首し、銃刀法違反で3年の懲役を受け服役。本作は、出所後に刑務所での経験を克明に描いた異色の獄中記漫画として発表され、映画化もされ大ヒット作となった。また本作は第5回手塚治虫文化賞の最有力候補となったが、著者はマイナー漫画家を自負しており、いかなる賞も貰う資格がないとして受賞を拒否したという経緯がある。
(花輪和一)1947年埼玉県生まれ。北海道在住。1970年よりイラストレーターとして活躍、翌71年に 『かんのむし』 (月刊漫画 『ガロ』 )で漫画家としてデビュー。猟奇的な物語や平安~江戸期の日本を舞台にした怪奇な物語を、緻密で濃厚な描線で描く。人間の 『業』 をテーマとした作品が多い。

前々から読みたかった本作。文庫版が出たということでついに買っちゃいました。あとがきもついてお得です。実は…私は刑務所内のことには前々から結構興味があり…時々図書館などで 『刑務所の全て』 みたいな本を何度か借りたこともあり…何か問題を起したりしたらまず図書館の貸出履歴とか見られるのかなぁ。だとしたらヤバイ(?)かもなぁ。などと思いつつ、借りたりしてます(なんでヤバイ?)。

ですので刑務所内では 『外部との連絡を取ってはいけない、取ったと思われるような行動は慎まなくてはいけない』 という規則を破った場合は厳罰を以って処される、ということは一応知識として知っております。花輪氏が出所後刑務所内での生活を漫画として発表しようといつ頃から考えていたのかは定かではないのですが、メモはもちろんスケッチなど絶対にとってはいけない刑務所内の様子を、ここまで克明に描いた本作は全く驚嘆に値します。

評価:(5つ満点)
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診療室にきた赤ずきん*大平健

akazukin.jpg(副題)物語療法の世界。まさか精神科を受診して、昔話や物語を聞かされるなんて、誰も思ってもみなかっただろう。でも患者達の当惑はすぐ驚きに変わる。そこに繰り広げられるのは自分の物語なのだ。悩みを抱えた心の深層を 『赤ずきん』 『桃太郎』 『幸運なハンス』 『三びきのこぶた』 などで解き明かす、ちょっと不思議で本当は不思議じゃない12話の 『心の薬』 。
(大平健)1949年生まれ。精神科医。聖路加国際病院精神科部長。著書に 『やさしさの精神病理』 など。


この本は題名だけは知っていましたが、あまり興味もなくまた私が思っていた内容とは読んでみて全く違っていたことが分かりました。副題にある通り、『物語療法の世界』 。著者である精神科医の大平先生は、診療室に来た患者さんに、昔話を語って聞かせる、という実例を集めた話。どうして昔話?かと言いますと…。

大平先生の本を読んでみようと思ったのは、yom yom創刊号に 『大平先生のyom yom診療室』 という連載が始まったからです。大平先生が 『だめんずうぉ~か~』 の倉田真由美氏と対談形式で現代にはびこる?精神病について語り合うというコラム。なかなか面白かったので、著書も手にとってみました。

大平先生によれば、これまで診療室にやってきた患者さん達に様々なたとえ話をして納得してもらおうと努力してきたが、ふとこれは昔話のパターンに似ているぞと気が付いた。そこで様々な昔話、お話を探してみると、担当している患者の状況と全く一致するものが実に多い!ということでたとえ話をやめて、いきなり昔話をすることにしたそうです。

これだけ聞いていると随分大胆な医者(というか手抜きじゃないか?)と感じるかもしれませんが、なるほどそれはなかなか理に適っています。

評価:(なかなか面白かった)

見えない誰かと*瀬尾まいこ

mienaidareka.jpg私のその時の毎日を楽しくしてくれている人は確実にいる。誰かとつながることは幸せなこと。中学校教員である著者による初エッセイ集。モバイル連載に加筆訂正し単行本化。
(瀬尾まいこ)1974年大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒業。『卵の緒』 で坊っちゃん文学賞大賞を受賞しデビュー、『幸福な食卓』 で吉川英治文学新人賞を受賞。著書に 『図書館の神様』 『優しい音楽』 『強運の持ち主』 など。


『いつでも人はつながっている』 と続くのでしょうか。瀬尾まいこ初のエッセイ集です、すぐに読めます。

10年の講師生活を経てようやく(失礼)採用試験に受かり、本採用になった瀬尾先生。しかし10年もキャリアがあっちゃー既に中堅では…。中学校という職場は色々と軋轢が多く、ストレスフルな社会とは思いますが、それを前に出さず 『それでも毎日が楽しい』 と言い切る瀬尾先生、爽やかだ。

言葉にしてみると、それが理想としか聞こえないものであっても、その言葉は現実味を帯びてくる。瀬尾氏もそうして頑張ってきたのではないだろうか。社会人であれば誰でも職場の人間関係に多少は悩まされる、それは避けられないことだ。それでも自分とは合わないと思い続けていた相手と、ある時ふと気持ちが通じることもある。もちろんそんなことはない事の方がずっと多いのだろうが、瀬尾まいこはわざわざそんなネガティブなことは書かない、書いても意味がないことを知っているから。

学校で働く先生達には、普通の社会人と異なり、人間関係にもう1つ大きな要素 『子ども達』 が加わる。非常に重要かつ比重の大きい要素だ。その子ども達とも 『つながっている』 と言う瀬尾先生。

採用試験の模擬試験をしてくれた、講師時代の校長先生の言葉が効いた。
『何だかんだ(教員になりたい)理由を言うより、子どものために頑張りたいんですーーって言っときゃいいんだ、それが一番だ。』
それが一番、というよりそれしかない。のが教師です。とは瀬尾先生のお言葉。

瀬尾氏は、自分は人付き合いが苦手だとあちこちで書いているが、実はそうでもないのかもしれない。でも苦手だと意識しているからこそ相手に気を配り、それがコミュニケーションとしてうまく成り立っているのだろう。気遣いしてこない相手ほど、疲れるものはないからね(って自己反省?)。

瀬尾まいこファンのアナタにオススメです。

評価:(5つ満点)

失われた町*三崎亜記

usinaware.jpg近未来と思われるとある国。その国では原因不明の現象が30年に一度必ず起こっていた。それまで普通に生活の営みを続けていた町の人々が、ある日忽然と姿を消してしまうのだ。人々が 『失われる』 原因は誰にも分からず、予知もできない。ただ残された町の痕跡を消すことだけがその 『消失』 の広がりを抑えるのだと信じられている。ある日突然愛する人を失い、喪失感を抱えそれでも日々続く 『日常』 を生きて行かねばならない残された人々の悲哀、憤り、そして願いとは。異世界とも言える近未来を舞台に描いた新しいSF小説。『小説すばる』 掲載に加筆修正し単行本化。
(三崎亜記)1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。2005年『となり町戦争』第17回小説すばる新人賞受賞、第133回直木賞候補作。本作は第136回直木賞候補作(受賞作なし)。その他作品に短編集 『バスジャック』。


三崎亜記。 『となり町戦争』 からぶっちぎり、 『バスジャック』 では表題作はイマイチだったものの、他の短編に光るものが多く、異常なまでに期待されていた初めての長編作。つまりはその期待が大きすぎたのでしょうか?正直、読了感は 『違った…』 でございました。

読みながら、だんだんこれは瀬名秀明 『八月の博物館』 的展開だな、と思ってしまいました。作者の意図が読者には伝わりにくい。厳しい言い方をすると、作者の独りよがり的な所が多く見え隠れしてしまう。設定がかなりいいだけに、この読了感の悲しさは何か。

まず 『30年に一度、この国ではそれまで普通に生活を続けていた人々が、町単位で忽然と姿を消してしまう』 という事実。そのサイクルは確実に30年に一度、誰にも予知できず、町の住民達は誰一人直前まで騒ぎ立てることなく、不思議に人だけがいなくなる。食卓は食事が用意されたまま、貴重品は残されたまま、人だけがいない町が残る。

この不可思議な現象を追求し、次回の 『消滅』 を食い止めようとするのが管理局と呼ばれる組織。国の団体らしいけど。そしてこの管理局で奮闘する人々を中心に物語が紡がれるのだが…。

評価:(←辛口。次回作に期待!!!)

ごろりん ごろん ころろろろ*香山美子/柿本幸造

gororin.jpgうさぎさんが丸いテーブルを作りました。みんなで使うテーブルなので、みんなで使うところにおこう。くるまにのせて、ごろりん ごろん ころろろろ、と運んでいきます。すると急に 『おやっなんだか荷物が軽くなったみたい』 。次々と友達がやってきて、後ろからだまって押してくれていたのです。 『どうぞのいす』 の続編。
(香山美子)1928年東京都生まれ。旧制金城女子専門学校国文学科卒。絵本作家、詩人、作詞家。『あり子の記』 で日本児童文学者協会賞、NHK児童文学奨励賞を受賞。著書に童謡詩集 『おはなしゆびさん』 『たんじょうびのまほうつかい』 『ヒッコリーのきのみ』 など。
(柿本幸造)1915年広島県生まれ。画家。第8回小学館絵画賞受賞。日本児童出版美術家連盟会員。著書に 『どんくまさんシリーズ』 『しゅっぱつしんこう』 『ヒッコリーのきのみ』 など。1998年没。


保育園で第2王子が 『どうぞのいす』 と一緒によく読み聞かせしてもらっている本作も、クリスマスに買いました。保育園の先生が 『サンタさんに絵本何もらった?』 と聞いてくれたところ、第2王子は 『テーブルのやつ!』 と元気に答えたとか。このお話も素敵です。

『どうぞのいす』 に出てくる動物のお友達が、今度は一堂に会して登場します。うさぎさんの作ってくれた大きな大きなテープル、丘の上のみんなの切り株のそばに置くことになりました。

みんなが 『これはいい。明日はここで本を読もう』 『これはいい。明日はここで絵を書こう』 『これはいい。明日はここでお茶を飲もう』 とそれぞれ言い合っている間に…あれっうさぎさんがいないぞ?

次の朝、テーブルの周りにはたくさんのイスが用意してありました。そういえば昨夜はうさぎさんの家では一晩中明かりが点いていたっけ。
というお話。
うさぎをはじめ、動物達の表情が非常に愛らしく、何度読んでも飽きません。

評価:(どうぞのいすとご一緒に)

かもめ食堂*群ようこ

kamome.jpgサチエは38歳。思い立って単身、フィンランドはヘルシンキにやってきた。この街で食堂を開くためだ。サチエの店 『かもめ食堂』 の看板メニューはおにぎり。しかし地元の人々にはなかなか受け入れられず、売れるものはフィンランド料理のメニューのみ。オープン初日から日本アニメオタク青年のトンミが居座る店へ、家族から追い出されるような形で日本からやってきた40代のミドリ、両親の介護が終わり気が付けば50代になっていたマサコが加わり、3人で食堂を営むことになった。時々小さな事件も起こるかもめ食堂での3人の日々の暮らしを静かに描く。映画 『かもめ食堂』 のために書き下ろした原作。
(群ようこ)1954年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。広告代理店、本の雑誌社勤務を経て独立。主な著書に 『無印OL時代』 『人生勉強』 など。


前々から映画 『かもめ食堂』 は観たいと思っていました。その前に原作本を自動車文庫で発見!で思わず手にとってしまいました。群ようこは実は初めて読みました、何となく勝手に私とは接点がない小説を書いていると思い込んでいましたが、これはなかなか良かったです。

ある日突然、サチエは30代後半にして 『外国で食堂を開く』 という夢を実現させることを思いつく。この展開はまさに 『思いつく』 といった感じで、そのためのサチエの資金繰りの方法がこれまたおかしくて。資金が無事集まったのも、サチエの運の良さを含め、全て運命なのかも。

評価:(ちょっとオマケ)

家守綺譚*梨木香歩

img20061227.jpg時は明治の頃。亡き友である高堂の父親に頼まれ、彼の家に留守番として住むことになった学士 綿貫征四郎。疎水の水が流れ入るこの家の池には河童や人魚が流れ着き、白木蓮の蕾は竜の仔を孕み、サルスベリには懸想される日々。そして雨と共に、床の間の掛け軸に描かれた湖からボートに乗って、亡き友 高堂は当たり前のような顔をしてしばしば帰って来る。周囲に渦巻く天地自然全ての 『気』 と綿貫の交歓の記録。書き下ろし。
(梨木香歩)1959年生まれ。児童文学者のボーエンに師事。 『西の魔女が死んだ』 で日本児童文学者協会新人賞、『裏庭』 で児童文学ファンタジー大賞を受賞。主な作品に 『エンジェルエンジェルエンジェル』 『沼地のある森を抜けて』 『村田エフェンディ滞土録』 『春になったら苺を摘みに』 絵本に『ペンキや』 『マジョモリ』 『ワニ』 『蟹塚縁起』 など。


随分前に 『超オススメ!』 と強力オススメを頂いたにも関わらず、読むのがすっかり遅くなりました。というのも雑誌 yom yom にこの続編が載っていたのがきっかけで思い出したのです。最初の短い一節を読んでこれは!と思いました。
そして、見事アタリです。

主人公は作家(もどき)である綿貫征四郎。友人であった高堂は湖でボートに乗っているうちに行方不明になり死亡とされたが、彼の遺体は未だ上がって来ない。

文学で身を立てたいと思いつつも思うようにならない日々を過ごしていた綿貫の元へ、高堂の父親から自分は娘の家に行くので代わりに古い家に住んで、家守をして欲しいと頼まれる。家賃は不要、貧乏な綿貫には渡りに舟。そこで高堂の家へ来たのだが…。

評価:(5つ満点)

まゆとうりんこ*富安陽子/降矢なな

mayuurinko.jpgまゆは林の中で迷子のうりんこ(イノシシの子ども)に出会いました。まゆはうりんこのお母さん代わりになろうと大張り切り、ごはんのサラダを作ってあげたり一緒にお昼寝したり、いつのまにか崖に登ってしまったうりんこを助けたりします。そのたびに 『おかあちゃんって大変だなぁ』 と思うまゆ。うりんこが無事母親のイノシシと再会すると、まゆもおかあちゃんにたまらなく会いたくなり、走って三本杉の下の家に戻りました。
(富安陽子)1959年東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。 『クヌギ林のザワザワ荘』 で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、『空へつづく神話』 で産経児童出版文化賞を受賞。
(降矢なな)1961年東京都生まれ。スロヴァキア共和国のブラチスラヴァ美術大学で石版画を学ぶ。主な作品に 『まゆとおに』 『ちょろりんのすてきなセーター』 『めっきらもっきらどおんどん』 など。


『やまんばのむすめ まゆのおはなし』 シリーズの最新作、こどものとも2月号です。また懐かしいまゆが帰ってきました。クリスマスに 『まゆとおに』 を第2王子がもらったので、我が家ではシリーズ全部が揃い嬉しいです。

まゆは今回、うりんこに出会います。迷子で心細そうなうりんこを見て、まゆは 『あたしがおかあちゃんになってあげる!』 と張り切ります。ゴハンを用意してあげては自分もお腹が空き、昼寝をしているうりんこを見て自分も眠くなって寝てしまい、その間に迷子になったうりんこが危ない崖の上に!
無事助け出して、まゆは何度も 『おかあちゃんって大変だなぁ』 と思うのです。

そしてうりんこを無事イノシシ母さんに返してから、急に自分のおかあちゃんに会いたくなり、かけ通しにかけて、三本杉の下の家に戻ります。
どろんこになったまゆを見ても怒らずキレイに洗ってくれてふかふかのさつまいもをたくさん蒸かしておやつに出してくれるやまんば母さん、そのワイルドさが毎回いいですね。

こんなお母さんにならなくちゃ…ってかなり修行が必要ですけど。

評価:(5つ満点)
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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