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読書と映画と観劇と

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たいせつなこと*M.W.ブラウン

img20050821.jpg1949年にアメリカで出版されて以来読み継がれてきた名作を、半世紀の時を超えて今日本の子どもたちに初紹介。たいせつなことは何かを優しく詩的な文章で語りかける。
マーガレット・ワイズ・ブラウン作、レナード・ワイスガード絵、内田也哉子訳。


あるインタビューで内田也哉子が 『実は絵本ばかり読んでいて大人向けの本は読んだことがない』 と話していました。その彼女がアメリカの本屋で見つけた、本書です。2001年に翻訳され出版されて以来、私の買った本は24刷でした。
原題は The Important Book です。

『幸せの絵本』 にも紹介されていますが、この本をいつも贈り物としてお友達に贈っている、という人の意見が載っていて、ぜひ手にとって見たいと思いました。

私が好きな箇所はりんごのところです。

 りんごは まるい
 りんごは あかい
 したくの できた りんごは
 きから ぽたんと おちてくる
 かじると なかは しろく
 あまずっぱい つゆが
 ほおに はじける
 そして りんごの あじが
 くちいっぱいに ひろがる

 でも りんごに とって
 たいせつなのは
 たっぷり まるい
 と いうこと
     (引用 『たいせつなこと』 マーガレット・ワイズ・ブラウン作 より)

各ページの最後にはいつも
『でも○○にとってたいせつなのは ○○ということ』
というフレーズが入っています。
そう、りんごにとって大切なのは 『たっぷり まるい』 ことだけなのかもしれません。

ちょっと疲れてきたら、読んで欲しい絵本です。表紙のりんごの絵もきれいです。

評価:(5つ満点)
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100万回の言い訳*唯川恵

img20050821.jpg結婚7年、夫婦仲は悪くない。だけど何かが足りない気がする。それが子どもかもしれない、と子どもを作ろうと決心した妻 結子。思いかけずマンションが火災の被害にあったことで別居生活を余儀なくされるうちに、それぞれが恋人や周囲の大切な人々との生活も大切にしたいと思い始める。結婚とは、夫婦とは、既婚者の恋愛とは何か。それぞれの意味を問う。『小説新潮』連載を単行本化。

唯川恵はどの作品も悪くないのですが、コバルト色がやっぱり強いなぁといつも思います。あと群像(一人称がいっぱい)小説が好き。今回も一人称は何人も入れ替わります。それもいいけど、ほぼ1人に絞った 『燃えつきるまで』 あれが一番の秀作だと思っているので、唯川さん今度は主人公は1人の小説を書いてみたらいいんじゃないかなぁ。などといつも余計なことを考えております。

今回の作品から学習したことは、夫婦になる(結婚する)と言い訳も増えてきますが、明らかにこれは言い訳(ウソ)だな、と思っても突っ込まないこと、ということです。
この作品の夫婦、結子と士郎はさすがに2人とも四十路に入ろうという年齢のせいか、とっても大人です。明らかにウソくさい(笑)シチュエーションでお互いが言い訳をしていても、それならそれでいいか、と相手を許しているというか許容している。うーんエライ。見習わないと(笑)。

その言い訳は100万回、というのはちょっとおおげさですが100回くらいはしてますね、この作品の登場人物たち。夫婦は厳密に言って 『家族』 という単位ではない、と考えさせられる作品です。
と意味深な感想書いてみる(笑)。

評価:(5つ満点)

対岸の彼女*角田光代

taiganno.jpg30代既婚子持ちだが言いようのない孤独感に苦しむ 『勝ち犬』 小夜子と、独身子なしであり会社経営者として必死に生き抜いている 『負け犬』 葵。立場が違うということは時に女同士を決裂させる。女を区別するのは常に女。性格も生活環境も全く違う2人が葵の会社で出会い、上司と部下の関係を超えて女の友情は果たして成立するのか?それぞれの生い立ちから現在の家庭環境を通じ、女の友情について正面から捉えた意欲作。第132回直木賞受賞作。

今度は全文読みました。角田光代は初めて読みましたが良かったです。特に葵の生い立ちからの描き方は秀逸ですね。主人公はやはり葵、でしょうか。
葵の高校時代の友人、ナナコの言葉 『本当に大切なものはあそこ(学校)にはないの。』 ではどこにあるのか?人生はそれを探し続ける旅なのでしょうか。

本屋大賞2005にもノミネートされましたが、本作は他の角田光代作品と比べても(数冊読んでみました)やはり構成がしっかり出来ていて、一番の秀作ですね。今後の作品が非常に楽しみです。

さて 『勝ち犬』 小夜子と 『負け犬』 葵それぞれの生活を軸に物語が進行して行きます。どちらも自分の生活を精一杯生きているのに、努力しているのに、どこか満足しきれていない。

『対岸の彼女』 という題は、小夜子と葵、お互いが川をはさんで立っていた(立場が違う)けれども、それは交流を断たれていたという意味ではなく、お互いを友として求め合っていたという意味だと私は感じました。学生時代ではなく大人になってから、つまり長い人生を生きていく上での他者とのつながりの1つである 『友情』 とは何かをテーマにした作品です。

評価:(5つ満点)

残虐記*桐野夏生

img20050821.jpg失踪した作家が残した原稿。そこには25年前の少女誘拐・監禁事件の被害者が自分であったという驚くべき事実が記してあった。一通の手紙をきっかけに、奔流のようにあふれ出した記憶。1年間の監禁生活が少女にもたらしたすさまじいまでの影響とは。桐野氏自らが 『グロテスク三部作』 と呼ぶ第ニ作目。
『週刊アスキー』連載に加筆して単行本化。 柴田錬三郎賞受賞。


人が生きてゆくために必要なものとは何か。 『自分は愛され、必要とされている』 という確固とした信念ではないかと思うのです。東野圭吾 『白夜行』 での感想でも書きましたが、親としての何よりもの責務は日々子どもに幸せな毎日を送らせることだと、痛切に感じる一冊でした。

本作は作中、失踪した作家の手記(作品)という形で書かれた小説です。この小説の前後をはさむ形で作家の夫という人物の独り語りが入っています。こうした形式をわざわざ取ったのはなぜか。

本当に、これまで普通に生活を送ってきて突然監禁される生活に陥るということは想像しがたいものです。まさに監禁された本人にしか分からない、その理不尽さ、恐怖、絶望感。今回は作者はそれを描き出そうとしたのではないかと思います。そして、監禁により生まれた、何年経っても癒されることのない心の傷。

評価:(5つ満点)

幸せの絵本

img20050821.jpg私達は絵本というモノが欲しいのではなく、絵本を通じて得られる 『幸せな時間』 が欲しいのです…。人気サイト 『絵本ナビ』 が全国のパパとママの声を集めて作った絵本ガイド。名作100冊のあらすじ・イラストと生の声を収録。続編も出版予定とか。

ダ・ヴィンチで紹介されている記事を見て 『買うべし!』 と決心したものの、その雑誌切抜きをどこかへなくしてしまい、同じく絵本が大好きと話していた学校司書の同僚に
『オレンジのクマさんの表紙で、絵本紹介サイトのまとめた本で…』
というワケ分からない説明で教えてもらってやっと買えた、大事な本です(感謝)。

まず表紙のオレンジ色とクマさんで癒されます。このイラストレータの方はなかなか有名な方です。更に私の最近のラッキーカラーはオレンジ、と勝手に決めているので、それがおんなじだったのが嬉しいです。そして何よりもこの本の編集コンセプトが素晴しいではありませんか。

絵本というモノが欲しいのではなく、絵本を通じて得られる 『幸せな時間』 が欲しいのです。

全く、同感です。
王子達に絵本を読もうとすると、やはり興味のないものは嫌がります。いつも同じ気に入った本を読んでくれとせがまれます。それも大事なことなのですが、知らん振りして読み始めた本にだんだんと吸い寄せられていく王子達を見ていると、ヤッタ!という感じです。

評価:(買うべし!)

初夜*林真理子

shoya.jpg林真理子の短編集。文芸春秋 『オール読物』 連載を単行本化。
収録作品: ペット・ショップ・ストーリー/初夜/メッセージ/眠れる美女/お帰り/儀式/いもうと/春の海へ/帰郷/雪の音/秘密


ちょっと前に 『短編集は面白くない』 などと書きましたが、撤回します。やはりいい作家が書く作品は長編でも短編でも面白いです。私は林真理子の書く 『正しい純文学・正しい日本語』 の作品が非常に好みです。今回もどれも良かったですね。

林真理子は日本語の持つ美しさ、難しさを実に上手く表現できる数少ない作家の1人かと思っています(すごいおおげさな物言いだな)。自身でも 『自分は純文学を書く作家であるという意識を忘れたことはない』 というような発言を以前していたような気がします。純文学とエンターテイメント文学の差がなくなってきている現在、貴重な意見に思えます。

今回も 『春の海へ』 という作品の冒頭にあった一文。

車は橋にさしかかる。巨大な吊り橋は三月になったばかりの水色の空を何分割かしていた。

ここで私は数秒間止まってしまいました。

 吊橋の橋脚が、空を何分割に分けていた。
 空を分けていたのは、吊橋。
 それを見上げているのは、私。

こういう文章が書けるようになりたいものです。

評価:(5つ満点)

ジス・イズ・パリ/ロンドン

img20050821.jpgミロスラフ・サセックによる、1959年初版発行された 『ジス・イズ』 シリーズの復刻版。著者が実際に世界各国の都市を旅しながら描いたとされる本作、『パリ』 『ロンドン』 『ニューヨーク』 『サンフランシスコ』 がまず復刻版として発売されたが、丸善丸の内本店で 『ヴェニス』 と 『アイルランド』 を発見しビックリ。1950〜60年代の様子が見えて楽しい一冊。巻末には現在のそれぞれの都市との違いを解説。

楽しい本です。話題になっていたのでロンドンかパリを買ってみようかな~と思っていたらこれまた自動車文庫にありました。大判の絵本に懐かしい感じの絵で、昔の街並みを眺めているだけでも嬉しくなります。

【パリの現在】
メトロにファーストクラスの車両があったとか!1991年に廃止されるまであったそうです。知らなかった。

ルーブル美術館も改修がだいぶ進み、現在中庭にはガラスのピラミッド、エントランス・ロビーがルーブルの象徴となっていますね。

【ロンドンの現在】
1950年代、ロンドンは世界最大の都市だったそうです。現在はフィリピンのダバオとか。

コベント・ガーデンは現在はショッピングセンターですが、当時は生鮮市場だったそうです。昔は牛乳屋さんがたくさんのビンを載せて売り歩いていたとか、1日4回は紅茶を飲むために休憩していたとか、ロンドンっ子の生活が垣間見えて楽しいですね。

グリニッジ標準時で知られる天文台は当時ロンドン市内にあったそうです。1990年にケンブリッジに移ったそうですが、現在は天文台としては機能していないとか。

また一番大きなデパートは当時は 『セルフリッジ』 ですって。今は 『ハロッズ』 だそうです。セルフリッジはどちらかというと庶民的なイメージですね、今は。私の中ではジャスコとかダイエーのような感覚。

もし見かけたら手にとって見て欲しい一冊です。

評価:(5つ満点)

旅の絵本6*安野光雅

img20050821.jpg旅人が小舟でたどり着いたのは小さな国、デンマーク。赤と白の国旗が鮮やかです。アンデルセンの故郷デンマークを旅するうち、アンデルセンの童話の描写に各ページで出会います。巻末にはその解説がありますが、知らないお話がこんなにあったのか、と思わせるほどアンデルセン童話も色々あるんですね。各ページの描写を必死に探すのもいいですが、のんびりとただ眺めていたいシリーズです。

今年も続けて 『旅の絵本6』 が出ました。買おうと思っていたら自動車文庫にあったので借りてみてみました。デンマークに縁のある人に贈りたい一冊ですね。個人的には次はオランダなどを描いて欲しいですが、安野画伯の体調もあるでしょうし、次回作は気長に待ちたいと思います。

評価:(5つ満点)
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名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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