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読書と映画と観劇と

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そらいろのクレヨン*蓮見圭一

img20050821.jpg『死んでゆく子どもは、死んでゆく大人よりもずっと大切だったから…。』 愛する者を失った悲しみを乗り越えてゆくとはどういうことか。表題作を含む5つの短編集。
収録作品:かなしぃ。/詩人の恋/セイロンの三人の王子/1989、東京/そらいろのクレヨン


ラジオの朗読番組でこの 『そらいろのクレヨン』 を読んでいたそうです。そこで私も読んでみました。一番良かったのは 『そらいろのクレヨン』 ですね。次は 『1989、東京』 かな。 『かなしぃ。』 もよかったけど、あとはちょっと仕掛けに懲りすぎて、更に 『セイロンの三人の王子』 なんて題名に懲りすぎて、印象としてはあまり良くないですね。題は大事ですがあまりにも凝った題だと題だけ浮いちゃいます。

●そらいろのクレヨン
この本に収録されている5作のうち、一人称がきちんと表現されているのは本作でした。あとの作品はどうも聞いた話、という印象。

子どもを亡くすということ。それを受けとめなくてはいけない現実。そしてそれを抱えながら今日も生き抜いていかなくてはならない、という現実。つらいテーマですが、亡くなった子どもは確かに家族の一員として存在していた。そして今も心の中に存在しているのだ、ということを教えてくれる作品です。

読んでいると悲しくて、あまり感想は書けません。

●1989、東京
今回はこれが一番現実味があったというか、私の理解しやすい世界のような気がしました。どんな人でもどうしようどうしようと悩みながら生きているのかもしれないなぁ、と何につけこの頃悩んでしまう私には、ちょっとホッとする話でした。

蓮見圭一という作家は初めて読みましたが、一人称の書き方がちょっとハッキリしないところがあんまり私好みじゃないですね。でも自分ではなかなか手に取らない作家の本を読むのもたまにはいいと思います。

評価:(5つ満点)
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ペンキや*梨木香歩

img20050821.jpgしんやは小さい頃からペンキの色が匂いが好きだった。幼い頃フランスで亡くなったという父もペンキ屋だったのだ。お客の望む色をその話から仕草から探し出しそれを塗ることによって人々を幸せにするペンキ屋という仕事。若い頃仕事に悩んだしんやは父の墓があるというフランスへ渡る。父の墓は見つからず、代わりに父の形見という古ぼけたハケを見つけ持ち帰るしんや。ハケはしんやの仕事に誇りと自信を持たせてくれた。やがてしんやも満足した仕事を終えて一生を終える。一人の職人の一生を異国的なタッチの絵と静かな言葉で奏でる絵本。梨木香歩 作、出久根育 絵。

梨木香歩の絵本をまたまた自動車文庫で見つけました。ちょっと表紙のしんやの顔は怖いし、これはどうかな、と思っていたのですが、2回3回と読み込んでいくうちに、この絵こそがこのお話にふさわしい、と感じるようになりました。
出久根氏の絵は印象派の一時代のように、筆の跡が見える作品です。これが更にしんやをペンキ屋らしく表現しているような気がします。

しんやは若い頃、どうしてもお客の要望する色が出せず、かあさんが話してくれたフランスにあるという父の墓を尋ねに行きます。お金がないので船に乗って船で仕事をしながらフランスに渡るしんや。父もそうしてフランスへ渡ったそうです。

しんやは甲板掃除をしながら、朝焼け、夕凪、漆黒の夜の海を眺めます。この3つ、それぞれ異なる海の素顔を描いたページがとてもいいですね。

そしてしんやがなくなり、息子と妻が墓参りをする最後のシーン。お見逃しなく。

評価:(5つ満点)

マジョモリ*梨木香歩

img20050821.jpg神社の娘であるつばき。家の横には御陵(ごりょう)と呼ばれる、人が足を踏み入れていはいけない神聖な森が森があり、子どもたちはそこを 『まじょもり』 と呼んでいた。
春になりまじょもりにも花が咲き乱れる頃、ある朝つばきに森から招待状が届く。驚きとまどいながらも招待状を手に初めて森の奥へ行くつばき。そこで出会った不思議な女性ハナさんと、つばきよりも遅れてやってきた気の強そうな女の子。3人の不思議なティーパーティーが始まりました。
日常(ケ)の隣り合わせにある、非日常(ハレ)の世界を、小さな女の子の視点から描いた大人向けの童話。梨木香歩 作、早川司寿乃 絵。


友人が勧めてくれた本です。
児童文学作家としても有名な梨木香歩の描く、絵本の世界。図書館では子どもの絵本の書棚にありますが、これはどうみても大人向けの絵本ですね。話も内容にピッタリの早川氏の絵も装丁も、ぜーんぶ気に入りました。うちにも女の子がいたら、毎日読ませたい本です(いえ、男の子でもいいんですけど)。

つばきちゃんと後から遅れてやってきた女の子、ふたばちゃんとのやりとりが可愛いですね。どこかのんびりしたハナさんも面白いです。

昔はこうしたマジョモリのような、入ってはいけない神聖な所が身近にたくさんあったような気がしますが、この頃はなくなってしまったような気がします。こうした民俗的な遺産(有形、無形に関わらず)はだんだんと失われがちなような気がします、今の大人の私達が大切にして次の世代へ伝えていかなくては、と思います。

評価:(5つ満点)

もうおうちへかえりましょう*穂村弘

img20050821.jpg正義の味方はもういない。金利はまったくゼロに近い。高度成長期に育ち、バブル期に青春を過ごした41歳独身歌人は、デフレとスタバとケータイに囲まれて、ぼろぼろの21世紀を生きている…。歌人・穂村弘によるエッセイ第2弾。

抱腹絶倒。の一言です。大絶賛です。ホムラさんのエッセイが面白いらしい。とは聞いてはいたのですが、想像以上でした。

私の愛読誌 『ダ・ヴィンチ』 にホムラさんのエッセイの連載が始まり、これがかなり私好み。 『もしもし運命の人ですか』 というのがエッセイの題なのですが、毎回ホムラさんがカン違い恋愛を繰り広げ、その根拠となる 『ホムラ式純愛(と私名づけてみました)』  について語るという…これもかなりオオウケです。毎号読んでますが単行本になったら買っちゃうかも。

本書について。
『もうおうちへかえりましょう』 が示すように、自他共に認める 『オタク』 ホムラさんの生活とそれに対するこだわりがいっぱい詰まった一冊です。

【ボーリング砂漠】
人付き合いが苦手なホムラさん。何よりもボウリングが盛り上がれない。なぜみんなはああいう風に自然に 『ナイスストライクー!』 と言って手を合わせられるのか?何と言って声をかければいいのか?どうして、ボウリングではみんなあんな嬉しそうなのか?ホムラさんには疑問がいっぱい。でも…言われてみるとどうしてボウリングではみんな盛り上がらなくてはならないの?ホムラさんの言う通りじゃん!

評価:(抱腹絶倒!)

三つのお願い*L.クリフトン

img20050821.jpg1月1日に、自分が生まれた年にできた1セント玉を拾うと、三つのお願いがかなうという。せっかく1セント玉をひろったのにゼノビアは親友のビクターとけんかをしてしまう。最後のお願いをする時にいちばん大切なものに気づいたゼノビアがした、お願いは…?
ルシール・クリフトン 作、金原 瑞人 訳、はた こうしろう 絵。
『国語四年(上)かがやき』 (光村図書出版)掲載作品に加筆、絵本化。


そうなんです。
教科書の最初のお話でした。なかなかいいお話だね、と思いながら第1王子の音読を聞いていて、たまたまアニマシオン(本を活用した新しい読書の取組方法、別記事近日UP予定)の授業で使えそうだったので買ってみました。

挿絵は、正直教科書の方が私好みでしたね。でもこのお話なら4年生は全員読んでいるので、読み終わったお話を使ったアニマシオン、という授業にはうってつけです。なかなか全員に事前に本を読んできてもらう、というのは難しいからです。

更にこの訳者に注目(ってほどでもないけど…)。芥川賞を取った金原ひとみのお父さん、金原瑞人です。だから?どうということはないですけど…。

でもやはり、訳は上手ですね。邦題は 『三つのお願い』 とありますが、原題は 『Three Wishes』 です。おんなじだって?そうですね…。あとお願いが叶ったところでゼノビアがいつも言う 『どんぴしゃり。』 という言葉、最近聞かなくなっていたので何だか嬉しいですね。どんぴしゃり、ですまさに。

ゼノビアのママもいい感じです。こんなママになりたいものです。

評価:(5つ満点)

これはのみのぴこ*谷川俊太郎

img20050821.jpg『これはのみのぴこ』 で始まるお話。次のページは 『これはのみのぴこの すんでいるねこのごえもん』 そして次のページは 『これはのみのぴこの すんでいるねこのごえもんの しっぽふんずけたあきらくん』 と続いていき…。谷川俊太郎のリズム感のある、楽しい言葉遊びの絵本。

学校司書の仕事をしていて、図書館の読み聞かせの会にも入っている同僚に 『いつもどんな絵本読んでる?』 と聞いて勧めてもらったのが本書です。絶対ウケる、との彼女の話ですがうちの王子達は最後まで聞いてもくれなかった。ううーん、私の策が甘いのだろうか?今夜辺り、再挑戦してみるか?

最初は 『のみのぴこ』 の絵なのですが、次はそののみが住んでいる 『ねこのごえもん』 の絵。という風に次々と文章の行が増えていきます。谷川俊太郎の流れるような詩のような文章も見事です。和田誠の挿絵も分かりやすくてピッタリ。

早く私も 『またのみのぴこ読んで~』 とリクエストされるよう、頑張らねば。

評価:(5つ満点)

アイムソーリー、ママ*桐野夏生

img20050821.jpg置屋の片隅で誰の子どもかも分からず戸籍も持たず育ったアイコ。人を信じることを知らない彼女は常に過去を消しながらどこまでも走り続ける。それでも彼女が最後まで求め続けたのは、母親の背中だった。桐野氏の 『グロテスク三部作』 の最終作、第三作目。
『小説すばる』 掲載に加筆。


物語はとある焼肉店から始まります。
児童養護施設、星の子学園の元保母と元園児であった一組の夫婦。親子ほども年齢差のある2人が焼肉店に入り、そこで店員として働くアイコに気付く。アイコに話しかける元保母であった妻。飲みに誘うも、元園児であった夫は 『アイツ、気味が悪いから誘うのはよそうよ』 と最後まで言い張っていた。結局アイコは飲み屋には来ないのだが…。

という物語の始まりはいつもの桐野夏生調で大仕掛けあり、とワクワクさせられるのですが、どうもその後の展開に書き込み不足というか取材不足というか、物足りなさを感じました。グロテスク三部作の最終を締めくくるにはちょっと、物足りないかな。でも1作目の 『グロテスク』 が凄すぎたからかな。

評価:(5つ満点)

本屋大賞2005

img20050821.jpg『本屋大賞』 は全国の書店員が 『いちばん!売りたい本』 を選ぶ賞として、2004年の4月に誕生した。書店員が 『読んでよかった』 『もっと売りたい』 と思った本を選んで投票し、その集計結果のみで大賞が決定する仕組みで、新刊書店に勤務する書店員(含むアルバイト、パート書店員)なら誰でも投票資格を有する、かつてない開かれた賞である。(『本屋大賞2005』 本の雑誌増刊 より)

昨年から始まった本屋大賞。これは既存の文学賞の選考方法があまりにも閉鎖的であることに対する挑戦とも言われています。何より現場の書店員が 『売りたい』 と思った本、というところが核心を突いているじゃありませんか。本屋に勤める人って、どう考えても本がキライ、という人は少ないだろうだからです(たまにマンガしか読まない人も勤めてますが…)。

去年の第1回本屋大賞を受賞した 小川洋子 『博士の愛した数式』 がこの受賞効果でベストセラーとなったことも記憶に新しいですね。その選考経過を記したのが本書、本の雑誌増刊号です。実はまだじっくり見てません。でもこれだけでも当分、ブックガイドとして役に立ちそうです。

ちなみに今年の大賞は 恩田陸 『夜のピクニック』 です。
何度か図書館で借りたのに、読まずに返しちゃいました。どうも、恩田陸に対するイメージがあんまりよくないので、今すぐ読もうという気になれないのが残念。読まれた方のコメント、お待ちしております。そのうちには読もうとは思っているのですが…。
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プロフィール
名前:
DaisyAKM/菜摘
年齢:
53歳
誕生日:
1972/02/16
職業:
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