南アフリカ上空に突如現われた正体不明の宇宙船。攻撃もしてこない彼らを難民として引き受けた南ア政府は彼らと共同生活を送ることになる。それから28年、市民と彼らとの争いは絶えず、共同居住区第9地区はスラムと化したため超国家機関MNUは彼らを強制収容所に移住させる計画を立てる。それがすべての引き金だった。
シャッターアイランドに比べて非常に分かりやすい、私にはやっぱりこういう単純な筋書きの方がいいですね(笑)。宇宙人らをエビ(prawn)と蔑称で呼ぶ地球人、私エビが好物なんですけど…。
南アフリカ、第9地区という名称から公開前からアパルトヘイト問題の隠喩だという話題でいっぱいの本作でありますが、アパルトヘイトと一緒にされても困るのは、エイリアンらが正直あまり好ましい存在として描かれていないことですね。生肉を食しなぜか猫缶(キャットフード)に目がなく、猫缶詐欺が横行しているって…。スラム(居住区)やギャングとのやりとりのシーンなどところどころ表現としていいのかと思うシーンもあり、内容はR15だと感じます、小さい方にはオススメできません。なかなかにグロテスクな映像も多く、評価が分かれるとは思いますが、ラスト様々な謎を残し続編を煽るところにまた、心惹かれてしまいました。続編も多分観ますね。
俳優の有名どころも使わず派手なアクションもない割によくできている、という巷の評判通りです。エイリアンも実によくできてます、動き回る触手が実にリアルで怖いです。最新のSFXも見られ適度に娯楽と家族愛?も描き、盛りだくさんです。
評価:(5つ満点)
精神を病んだ犯罪者の収容施設がある孤島シャッター アイランド。厳重に管理された施設から1人の女性患者が謎のメッセージを残して姿を消す。孤島で起きた不可解な失踪事件の担当になった連邦保安官のテディ・ダニエルズは徐々にこの孤島の怪しさに気付き始める…。
実は…最後の最後であるラストシーンまでトリックが全然つかめていませんでした!エンドロールが始まっても
『は?終わり?で実は何がどうだったの?』 と思っていたら、帰りかけていた他のお客さん達が
『どこから気付いてたー?』 と話してました。すみません、どこからも何も今現在も分かっていないのですが…。
という意味では私はこの映画を満喫?したらしいですが、やっぱり私にはこういう大仕掛け物はダメのようです。全然トリックが分からないため楽しませんでした(爆)。映画は私にはストーリー重視の方がいいようです。
本当にこの作品の狙いというものが全然分からないので、友人にもし観たら解説をしてくれ、とメールを送ったら 『観ない。大体オススメじゃない映画をわざわざ観に行かない。』 とアッサリ拒否のメールが…そりゃそうだ。寝不足なのもありましたがその言い訳をしなくても今回サッパリ分かりませんでした。
映画の始まる前に 『登場人物らの視線、仕草に注意しましょう』 とか 『まだ映画を観ていない人にこの結末を話しては絶対にいけません』 とかアレコレ言われて、それだけでちょっと閉口気味だったのもあります。ええ、結末は誰にも言いませんとも!だから誰か解説してちょうだい。インターネットで個人の方の解説ブログとかも見ましたが、それでもイマイチ納得できない。色々なところがアナグラム(文字の入れ替えにより言葉遊びをする)になっているそうで、その辺がもっとよく理解できるほどの英語力がなければ、本当にこの映画の面白さを理解できない、ということだけは、よーく分かりました(笑)。
ということでデカプリオはいつまでも若いなーってのが感想、以上です(笑)。
評価:(5つ満点)
野党初となる首相の凱旋パレードが行われている仙台で、ラジコンヘリ爆弾を使った首相暗殺事件が起きる。時を同じくして、久々に旧友 森田と再会を果たしていた青柳は、突然現れた警官から発砲され、追われる身となる。全ては青柳を暗殺犯に仕立てるための罠だったのだ。何のために、なぜ自分が犯人に選ばれたのか。絶体絶命の状況で青柳は学生時代の仲間に助けられながら逃亡を続けるが。
原作 伊坂幸太郎。
この、スタイリッシュさがやっぱり伊坂幸太郎。とまず思ってしまう。ちょっと鼻につくほどのカッコよさ、それがスクリーンの中ではますます映えてしまう、伊坂作品はやはり映画向きですね。
全編を通じ流れるビートルズ 『ゴールデンスランバー』 。ビートルズと同じ4人組だった学生時代のサークル仲間、4人で活動したサークル、アルバイトした仙台花火大会の準備、思い出の曲と思い出の花火が懐かしい人々を再び繋いでいく。くわーやっぱりカッコイイを通り越し、ひたすらにスタイリッシュ!スマートすぎてもう何も言えん(笑)。
いつもやや過剰に感じる堺雅人の演技も、今回は追い詰められた指名手配犯を演じるにあたりちょうどいい感じ。脇を固める吉岡秀隆、竹内結子もバッチリ。劇団ひとりはなかなか存在感があるんですねぇ。そして香川照之は今回も男のいやらしさ満開の、すごーく厭な警察官僚を見事に演じきっており満足です。更に永島敏行のクレイジーなスナイパー役、この狂気ぶりが非常に良かったですね。入院患者の柄本明や通り魔のキリオについてはフィクションめいてるというかマンガだこりゃと思ってしまいましたが、それでも十分楽しめたのは、やっぱりこの全編を貫く 『スタイリッシュキープ』 (笑)の空気なのではないかと、思うのでありました。
評価:(5つ満点)
昭和初期の信州第二刑務所。そこに拘置所を2度も脱走したいわくつきの囚人、鈴木雅之が移送されてくる。簡単には脱獄できないはずの信州第二刑務所を鈴木は1時間もたたないうちに脱獄。その後刑務所近くの線路沿いで身柄を取り押さえられた鈴木に看守長の金村は興味を持ち始める。その後も何度も脱獄を繰り返す鈴木と彼を見つめ続ける看守の心の交流を描く。なぜ鈴木は脱獄を繰り返すのか?そしてついに彼が投獄された 『監獄島』 で衝撃のラストが待ち受ける。
脱獄すること10数回、手錠を外すため体を張って道具を房内に持ち込んだり、ドアの鉄格子を外すためにこれまた体を張って…とその奇想天外な発想は吉村昭 『破獄』 に通じる執念ですね。板尾演じる鈴木はただひたすら脱獄し、毎回いつも同じように線路沿いで捕獲されるのはなぜなのか?刑務官らに対する反抗心だけとは思えないその奇怪な行動の意味は?
その謎が徐々に明らかに…と国村隼演じる刑務官と共にシリアスに盛り上がっていく中、獄中で拘束中の鈴木がいきなり歌い出すシーンは大爆笑!!私一人ゲラゲラ笑ってしまった…。この歌は吹き替えではなく板尾さんが歌っているそうで、なかなかそれがうまくて、もう笑いが止まらない!
鈴木が脱獄を繰り返す理由、胸にある 『逆さ富士』 の入れ墨の意味、など鈴木の過去が一気に明らかになったところで、ラストの舞台はいきなりの監獄島。こんなところ昭和初期でもないってば…そして看守らの服装や態度を見ると、これは映画 『蟹工船』 のパクリ?と細かい笑いの要素を忘れない演出。
戸籍を抹消され人間扱いされない監獄島(※だからそういう所は日本には過去にも未来にもありません)からも、脱獄する鈴木。これが最期の脱獄となるはずだった…がっ!衝撃のラストシーン。シリアスを保ち続けてきた国村隼の演技の髄が、ここに詰まっている!ラストいつまでも私は笑い続けてしまいました…板尾さん、素晴らしい笑いをありがとう!このシュールさ、誰にも真似できない!必見です。
評価:(まだの方はDVDでもぜひ!)
女手一つで娘を育ててきた姉 吟子と、大阪で芸人に憧れながら破天荒な暮らしを送る弟 鉄郎との再会と別れを描く家族ドラマ。長らく消息不明だった鉄郎が吟子の娘 小春の結婚式に突然現れ泥酔して披露宴を台無しにしてしまう。戦後に生まれ育った姉弟のきずなをバブル景気直前に生まれた娘を通して、現在と今後の日本の家族の姿を映す。10年ぶりの現代劇となる山田洋次監督が市川崑監督の 『おとうと』 に捧げたオマージュ。
この映画の最大の見どころは 『べてるの家』 であり、そこで人生の最期を迎える人の半生を振り返ってみるとこうかな?ということでできた作品です。中年姉弟の姉弟愛だと思って観ていると一体どうなの?何かブレてない?という感覚がぬぐえませんが、ラスト舞台がべてるの家になってからようやく映画の趣旨が見えてきました。
全体としてはよい映画ですが、吉永さん主演の映画をまともに見るのはこれで2本目で、それでようやく違和感の理由が分かってきました。彼女はやはり、女優というよりスター
なのです。どこにいても何に出演しても彼女は 『吉永小百合』 。だから、吟子という役柄になりきれていない、どころか最初っからそういうことは誰も求めていないわけです。この際どの映画に出ても役名は 『小百合』 にしてはどうか、とまで思うのですがいかがでしょうか(ウソ)。
若手の加瀬亮、蒼井優が今回もとても良かったです。誰の視点でこの作品を鑑賞するか、でだいぶ印象が変わってくる作品ですが、配役のことはさておき山田洋次監督の直球な作品作りはやっぱりいいですね。ただ、しつこいけど吉永さん鶴瓶さんではない配役だったらもっとどうだったろう、と思ってしまいました。
ちょっとキレイすぎる関係の描き方で、この姉弟にはもっとずっとドロドロの罵り合いとかして欲しかったですね。
評価:(5つ満点)
パルナサス博士の率いる旅芸人の一座がロンドンにやってくる。出し物はパルナサス博士が持つ力で不思議な鏡を通し、人が密かに持つ欲望を形にしてみせるというのだ。しかし不老不死の博士には重大な秘密があった。撮影中に急死したヒース・レジャーの役をジョニー・デップら友人達が引き継いで演じた4人1役の競演。
見た目B級でも結構シュールな映画もあるのでB級映画もあなどれないのですが…コレは内容もちょっとB級だったかな。もっとグロテスクでも良かったのに。悪魔の描写などかなりイマイチであまり怖くないのです…。生に固執するパルナサス博士らの固執ぶりも、言うほどでもないじゃんという気がしてしまう。
この、 『人が執着することのバカバカしさ』 をもっと前面に出して欲しかったですが。でもヒース・レジャー、ジョニー・デップは本当にカッコよかったので、まあよしとします。
評価:(5つ満点)
かつて売れっ子カメラマンと呼ばれた俊介は今ではロクに仕事もせずぐうたらな毎日を送っている。それに対し妻のさくらはあれこれ文句を言いながらも世話を焼いている。結婚10年目。夫婦生活が終わりを告げようとして初めて妻の存在の大きさに気づく俊介だったが…。大人になりきれない中年夫婦の我儘と愛情を描く。
久々に泣かせてもらいました。うーん、薬師丸の存在感というか醸し出す雰囲気の上手さ、すごいわ。演技力というより空気力というか、彼女だからこの難役ができたんだな。石橋蓮司のオカマぶりもすごい、こちらも必見です。
この映画の醍醐味は、夫婦の関係は実は…というオチが中盤過ぎでもう明かされるところです。このオチは映画や小説では反則だろう、と憤るこちらの考えも汲み取り、そこから更に展開する二段三段オチ。北見と弟子とオカマのブンさんの関係も、パタンパタンと真実が展開されていく感じ。
素直になれない中年男と女の、結婚10年子どもなしのちょっとゆるんだ関係と感情を見事に表現していますね。トヨエツのちょっとたるんだおっさん体型も、おっさん言動も非常に巧いです。そして薬師丸の透明感というか少女性というか、あの何とも言えない初々しさは!見終わって館内のポスターの 『もう一人で暮らせるね/消えないでくれ』 とあるフレーズを見て、これまた巧い!!と一人大満足。
『今度は愛妻家』 というタイトルも素晴らしく、更に井上陽水の唄う主題歌がエンドロールで、心に沁みて行くのでした。泣きたい方は、必見です。
【後日談】
友人に 『全般にトヨエツも石橋蓮司も良かったがー何と言っても薬師丸の透明感が空気感が…』 とメールしたら返信に 『結局アンタは薬師丸のファンなだけじゃないの?』 。そうだったのか…友人によれば確かに私は薬師丸主演のドラマ 『恋愛中毒』 『ミセスシンデレラ』 とか一生懸命見ていたとか。そうか、自分でも知らなかったけど私は薬師丸のファンらしいです。今度から薬師丸主演の映画は必ず観ることとします(笑)。
評価:(5つ満点)